公開日:2026年01月08日
前回、「リーダー格への昇格者を対象としたOJTのしくみ(1)」について解説しました。
今回も引き続き、同じテーマで解説します。
この昇格者を対象としたOJTのしくみを機能させるためには、いくつかの工夫が必要となります。まず、昇格後の最初の目標設定面談が重要です。従来より要求レベルを高め、実際に職務の拡大を促せるかが最初のポイントとなります。
そこで、面談で使用するシートを1枚準備しましょう。前年の役割や目標と、今年の目標を対比して記入できるようにします。
以下が「担当職務比較シート」のサンプルイメージです。
■シートイメージ(担当職務比較シート)
「主な役割」の欄には、職能要件書、行動基準書、コンピテンシーモデルなどより、ポイントを拾って転記します。これは前年と今年の期待内容の違いを読み込み、意識させるための作業となります。
「職務・目標」の欄には、前年と今年の目標を記入します。それによって前年と今年の職務の違いが一目瞭然となります。そして面談の中でこの対比を見ながら対話を行い、十分なレベルまで目標を高めていくようにします。
しかしながら、目標を高めようとしても、業績評価への影響を気にして躊躇してしまう場合があります。そのようなときは、このOJT期間に限って業績評価に関する救済措置を設けておくことも必要かもしれません。そうした特別な措置を検討できるのも、OJTをしくみとして準備するメリットだといえます。
このように面談時の仕掛けを準備したとしても、上司側が十分に要求レベルを上げられるとは限りません。上司そのものが高いイメージを描けなかったり、面談時に妥協が入ったりするためです。
そこで、もう1つの仕掛けとして面談内容の「部門内レビュー」を義務づけます。例えば上司が課長だとすると、部内の課長会議の席で、面談で使用した「担当職務比較シート」を用いて面談した上司が報告します。それを部長や他の課長を交えて、要求が十分かどうか議論します。時間は20分程度にすると負担にはならないでしょう。
このレビューを義務づけておけば、面談が確実に実施されるだけでなく、この対象者の階層に対してどの程度の要求をすべきかが、部門内の管理職の間で共通認識が生まれるようになります。また他の課長も昇格者の目標を知ることになるので、みんなで意識して昇格者に声をかけるようにすると、本人のモチベーションアップも図ることができます。
レビューは、目標設定の面談後だけではなく、評価のあとにも行うようにします。特に業績評価の救済措置を設けた場合は、救済内容の妥当性を検証する意味でも評価後のレビューは必須としたほうがよいでしょう。この部門内レビューの効果は、昇格者とその上司の課長に対してだけはなく、他の課長にとっても集合研修でケーススタディなどを行う以上の学習効果が期待できます。
次回は、新任管理者のOJTのしくみについて解説したいと思います。