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新入社員のOJTと中堅社員のOJTの違い

公開日:2018年06月25日

新入社員育成のためのOJTと、中堅社員のOJTとでは、指導のポイントや指導方法が異なります。

新入社員を育成するためのOJT

新入社員の場合は、知識・スキルが白紙の状態であることを前提にします。
つまりスタートラインは皆同じであると考えます。もちろんアルバイト経験などによっても個人差はあるでしょうから、皆が全く同じレベルにあるとは言い切れません。

しかし、いったんは白紙の状態であるという前提に立つことが大事です。そのうえで業務で必要となる基本知識やスキルを網羅的に指導する必要があります。すでに知っていそうなことであっても省略せずに、その知識の程度を確認しながらもれなく指導します。
特にOJTの初期段階では、覚えることが多岐に渡りますので、指導項目リストで進捗を管理することをお勧めします。

*「指導項目リスト」とは「OJT実践ノート」で使用するOJT計画書のメインとなるシートのことです。


なお、新入社員のOJTで目標とするレベルは、「業務担当者」とし一人立ちさせるところまでです。つまり担当者としてある業務の領域を任せられる、ことを目指します。


中堅社員を育成するためのOJT

中堅社員とは、すでに業務担当者としてのキャリアをいくらか積んでいる人のことを言います。
担当している業務をひと通り自力でこなせている状態で、さらに職務の幅を拡げたり専門性を高めることで、レベルアップを図りたい人を指導対象とします。それによって職場の生産性につながるということも大事な観点です。

新人の場合は、白紙の状態を前提としていますが、中堅社員の場合は人によって能力・スキル・意欲などのレベル差があり、スタートラインがばらばらです。
また、新入社員のOJTでひと通りのことを教わって業務担当者になったとしても、そのままでは担当者として力がつくわけではありません。 中堅社員として「力がついた」といえるレベルまで育てるには、それぞれの職務において中核をなす能力を伸ばす必要があります。

そこで中堅社員のOJTでは、職務の中で重要で、かつ育成するのが難しいスキルに焦点をあてて「重点的、計画的」に育成するOJTを行うことが求められます。

OJTの定義で一般によく聞かれるのは「重点的、計画的」という言葉ですが、弊社では、これは中堅社員を対象とするOJTに当てはまるキーワードだと考えます。
新人のOJTでは、むしろ「網羅的、計画的」というキーワードがふさわしいでしょう。
中堅社員のOJTでは、スキルを具体化して1つずつ進めること、1つのスキルについては3か月程度で修得できるものを目安とするとよいでしょう。


OJTリーダーに適した人とは

対象者(トレーニー)が新入社員の場合は、OJTリーダー(指導担当者・トレーナー)は若手・中堅社員が担当し、対象者が中堅社員の場合は直属の上司が担当する場合が多いようです。
OJTリーダーを選任する目安を弊社では以下のように考えます。


新入社員のOJTリーダーを選ぶ目安
実務経験3年以上(4年目から7年目くらい)の人

職種にもよりますが、実務経験が乏しく、まだ自分に自信が持てない状態だと、自分の仕事に加えて新人の面倒をみることが重荷になります。
担当業務をひと通り自分でコントロールできる状態にあることを目安としてください。


新人の業務を7割程度は教えることができる人

営業や製造などの現業部門であれば、先輩後輩が同一職種、職務のことが多いため、新人の業務なら100%教えきれて当然ではあります。ところが、職務や担当が細分化されている部署になると、経験年数としてはちょうどよくても、新人の担当予定業務について経験していないというケースもめずらしくありません。
そうした場合は何とかやり繰りせざるを得ませんが、それでも「7割程度」は教えられることを目安とします。
「7割程度」教えることができれば指導関係は成立しますので、残りの3割は教えながら自分でも勉強することでカバーすれば、OJTリーダーにとってもよい学習機会となります。


伸ばしたい中堅社員(OJTリーダー自身の成長を図る)

これは、新人のOJTの目的でもある部分です。それまで「若手」「後輩」のポジションに甘んじていた人で、リーダーシップ経験を積ませたい人、一皮むけてほしい人がいれば積極的に任命してほしいという意図でこの視点を加えています。


中堅社員のOJTリーダーを選ぶ目安

対象者(トレーニー)が中堅社員の場合、OJTリーダーは、指導分野のスキルにおいて十分なキャリアを積んでいることが臨まれます。結果として年齢が離れていることも多く、直属の上司が担当する場合も多いようです。
新人の場合、教える内容はマナーや基本動作、職場のルール、業務上の知識やスキルなどが中心で、そのすべての面において相談役も担っています。 このように指導内容が職場生活全般にわたる場合は、ある程度年齢が近いほうがやりやすい面があります。
しかし中堅社員のOJTでは、中核スキルを強化することがねらいのため、OJTリーダーには十分な力量が求められます。
年齢やキャリアに差がないと、トレーナー側がライバル視して教えたがらなかったり、逆にトレーニー側が素直に指導を受け入れにくかったり、といった側面も考慮が必要です。

ただし、スキルの高い人が教えるのがうまいかというと、そうとは限りません。むしろ「仕事はやれるが、それを教えることは苦手」という人も多いようです。自分が当たり前にできることについて、相手の側に立って指導することはそう簡単ではありません。
その道のベテランほど、説明が不十分になったり、必要以上に厳しくなるケースも多いようです。
そこで中堅社員のOJTリーダーを任せるときは、予め指導教材を準備しておくこと、OJT計画を作ること、そして指導方法についての学習機会も与えるとよいでしょう。

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