公開日:2025年05月01日
「OJTのツールを整備する(1)」でOJTを効果的に運用するためのツールを分類しました。今回は、指導手順書について解説します。
指導手順書とは、OJTの指導担当者が参照するマニュアルを指します。具体的には以下の3つが含まれます。
1)OJTの考え方や一般的な教え方の手順
2)固有のOJTのしくみにもとづく指導手順
3)個々の仕事や作業の指導手順
このうち、1)と2)は一般に言う「OJTマニュアル」にあたり、3)は「レッスンプラン」や「指導標準」などと呼ばれるものが該当します。これらは別々の媒体として作ってもよいですし、1つの冊子にまとめても構いません。また、目標管理制度を活用したOJTの場合は、独立したマニュアルではなく「目標管理マニュアル」の一部として記述されることもあります。
OJTマニュアルでは、通常、以下のようなことを記述していきます。
まず、全体像や概要を俯瞰できるページを必ず準備し、概念図や表によって、短時間で必要最小限のことが把握できるようにします。これだけでも十分活用できるものとなりますが、余力と必要性に応じて個々のテーマを詳しく文章で解説したページも作成していきます。
このように、OJTマニュアルでは情報を階層化することが使いやすさのポイントとなります。一目見ただけで取り組みが開始でき、必要があれば詳細情報や関連情報にあたれるという作りが望ましいでしょう。
OJTリーダーの研修では、1つの指導項目を取り上げて「レッスンプラン」を作成する演習を行うことが多いです。研修で「レッスンプラン」を作成してみることは、効果的な指導の仕方を研究するという意味での有効性はあります。しかし、これもきちんと作ろうとすると1項目に数時間かかることもあり、すべての指導項目について準備するのは現実的ではありません。
そこで、まず指導項目の一覧だけを作り、それに指導目標、指導の際の強調点などを書き込んでいきます。また、指導時に準備する指導教材も書き込んでおくと便利です。
そのうえで、重要性が高く、教え方によって理解や習得状況に差が生じやすい作業を絞って、詳細の指導手順書を作成していきます。そこには、教える順序や教え方のポイントのほか、例題や理解度を確認するための質問項目なども盛り込んでおくと、指導の品質を高いレベルで統一することができます。
なお、当社ではこれらの内容を踏まえて、汎用的なOJTマニュアルとして、『OJT実践ノート』を開発しました。ぜひご活用ください。
次回は、指導教材について掘り下げて考えていきます。