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父が作った野菜


[よ] 日常生活

夏になると思い出すもの。
その1つに、野菜の浅漬けがあります。夏になると母はいつもきゅうりやなすびなどの野菜を浅漬けにして食卓に出していました。
私の実家は農家です。主に米を作っていますが、畑では自分たちが食べる分だけの野菜を季節ごとに栽培しています。米を作っているので当然朝からご飯食だったわが家では、夏の浅漬けは定番メニューでした。
その他、トマトやしその葉、おくらなどの野菜を畑からとってきては食べていた私にとって、スーパーで見かける形の整った野菜はあこがれでした。

自家栽培といっても米以外は売るためのものではないため、父の栽培技術はいまいちです。温度などの管理をきちんとするわけでもないため出来具合は天気にも大きく左右されます。形が変だったり、虫食いのあとがあったり、とても人様に食べてもらえるようなものではありません。そして不ぞろいの形の野菜は、切ったり皮をむいたりといった作業がとても難しいのです。

両親と離れて暮らすようになり、スーパーで野菜を買うのが当たり前の生活になりました。形のよい野菜の切りやすいこと!料理もはかどると喜んでいました。
そんなある日、実家から荷物を送ったとの電話がありました。いつもはお米と日持ちのする食品や私がリクエストしたものが入っているのに、今回はどうやらきゅうりやトマトを送ったとのこと。父が作ったから娘にもぜひ食べさせたいと、ほんの少量送ったそうなのです...。
正直うんざりしました。
実は以前も送ってきたことがあるのですが、段ボール箱で何日も揺られてきた野菜たちは届いたころにはすでに元気がなくなっていたのです。それ以来「送らないで」と言っていたのに。
それでも今回はなんとか腐らずに届くことができました。
目に飛び込んできたのは予想どおり、ちょっと虫食いのあとがあるトマトや、うりのように大きく、そしてうねってしまったきゅうり。
相変わらずだなあ?、と一口かじってみると、そのおいしさにびっくり! 普段食べている野菜とは違い、野菜本来の味がぎゅっと詰まった感じがします。
「あ?、この味だ、懐かしいなあ」
きゅうりは塩をつけながら丸かじりしてしまいました。 残りのきゅうりも浅漬けの素の助けを借り、無事浅漬けへ変身です。 懐かしい夏の味を噛みしめました。

季節を選ばず、どこでも買えるようになった野菜たち。 でも本当においしいのはやはり旬のもののようです。 自分がぜいたくな環境で育ったということをあらためて感じました。
恥ずかしくて面と向かっては絶対言えないけど、父にはこの先もずっと野菜を作り、送ってきてほしいなと思います。

野菜
上から「市販のきゅうり」「父が作ったきゅうり」「小さめのニガウリ(参考まで)」です。
バカでかいのがおわかりいただけると思います。
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