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2002年8月12日

レールスターの女性車掌

category : [仕事・職場

writer :[K]

私は西日本への出張が多く、新幹線をよく使います。
先日は博多から広島まで、レールスターで移動しました。JR西日本の人気のひかり号です。
途中の駅から70〜80代くらいの男性が乗ってきて、私のひとつ前の座席に座りました。足が丈夫ではないようで、つえをついておられました。
席に座ると、ワゴンサービスの女性を捕まえ「車掌を呼んできてくれ」と頼みました。
その女性は「車掌は今、隣の車両にいましたので、すぐに来ると思います」と丁寧に答えたのですが、老人は聞き入れようとせず、「すぐに呼んできなさい!」としかりつけるように言います。女性は慌ててワゴンを止め、走って車掌を呼びに行きました。
しばらくして駆けつけて来た車掌も女性でした。そして、少し気が荒そうな老人に対して堂々と、丁重に対応していました。

レールスターは大阪が終点ですが、その老人は大阪より先に行く予定らしく、到着ホームと乗り換えの出発ホームを確認したかったようでした。足が丈夫でないため、乗り継ぎが間に合うか心配だったのだと思います。
車掌によると、このレールスターの新大阪での到着が20番線、次の新幹線の出発が26番線ということでした。すると続いてその老人は、
「わかった。それで20番線と26番線にはエレベーターは付いてますか」
「いえ、26番線にはありますが、20番線にはエスカレーターもエレベーターも付いていません。それで、お乗り換えは新神戸で......」
私は、なるほど、慣れたもんだな、と感心して聞いていたのですが、途中で老人が怒り出し、
「何て言ってるかわからん。もっと、わかるように言いなさい」と説明を遮りました。どうも耳が遠いようです。車掌も落ち着いて、やや大きな声で、
「申し訳ありません。20番線には、エスカレーターや......」
「聞こえん。もっと、大きな声で、ゆっくり言いなさい」
「はい。20番線には......」
「ハッキリ、大きな声でしゃべりなさい」
「すみません。新大阪の20......」
「あるのか、ないのかと聞いとるんだ。それだけ答えなさい」
「ありま......」
「あるならある、ないならない。イエスかノーか、それだけ答えればいいんだ」
「はい。ノーです。ありません」
「ノー。ない。ないんだな? なんでそれを早く言わん」
「申し訳ありません」

老人の名誉のために書いておくと、耳が遠いうえ、興奮してしまっているので車掌の声が聞こえなかったのだと思います。足が丈夫でないことで乗り継ぎの不安や自分自身へのいら立ちもあったのでしょう。ひょっとすると、乗ってきた駅で1度訊ねたものの「車掌に聞くように」などと言われ、たらい回しにされた気がしていたのかもしれません。
(JRの場合、駅の窓口や改札で何かを訊ねると、乗ってから車掌に聞いてください、という対応がよくあり、私も不愉快な気分になったことがあります。もちろん、車掌でないと対応できないことも多いようですし、窓口や改札での混雑を回避するためだろうとは理解できるのですが。)

しかし、それだけでは収まりませんでした。
女性の車掌は、より便利な乗換方法を伝えようと説明を続けました。
「それで、新大阪でのお乗り換えは不便ですので、新神戸で......」
「JRは何をしている。なぜないとわかってるんだったら付けない」
「すみま......」
「お前は知ってたのか。ないと知ってたのか」
「はい。申し訳あり......」
「何でないとわかってるんだったら、付けるように言わない。お前は提案したのか?」
こんなやり取りが延々10分近く続きました。
最後は「新神戸乗換」とメモに書いて示したことで、老人のほうも「そうか! 新神戸か」と気づいたようです。安心したのか、あとは穏やかに到着時間や待ち合わせ時間などの説明を受けて、納得したようでした。

この間、女性の車掌はできるだけ笑顔を絶やさず、根気強く対応していました。本人のもともとの資質なのか、よく教育されているのか、すごいなと感心させられました。
一方で、公共の施設が身体が不自由な方に対してまだまだ優しくない状況にあり、そのことが今回の老人のように、不安にさせ、いら立たせ、しなくてもいい争いをさせているのだとも感じました。
ただ、ワゴンサービスのスタッフや車掌が女性でなかったらどうだったかな、とも感じます。年配の男性の中には、まだ若い女性に対して見下したような態度を取る人が少なくないようです。女性が社会で働くということには、こういうハンディもあるのかもしれないなと考えさせられました。

そのやり取りが終わろうとしたとき、老人は女性の車掌の胸元のネームプレートをわしづかみにし、名前を控えていました。老人は「会社に言っておく」と言ったようでしたが、苦情なのか、感謝なのかまでは聞き取れませんでした。
これは8月1日の昼ごろの列車での話です。その車掌は、Hさんというお名前でした。
私は非常によく対応されてたと思います。


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