ここが変だよ、日本の習慣 メイン画像

ここが変だよ、日本の習慣


[ち] 旅行・海外生活

カルチャーショックというには大げさですが、土地による習慣の違いに、改めて自国を知ることは結構あります。
7年もいると、中国の生活があたり前になっていますから、私の場合は逆に日本に帰ったときに「あ、そうだったね、日本では」と思い出すことになります。

春に日本へ戻ったときのこと。
母と出かけた際、小腹がすいたし休憩しようということになりました。軽くおやつ程度にスパゲティでも食べようと思っていたのですが、そのとき私がなんとなく指をさして入ったお店は、そこそこ本格的なイタリアンレストランでした。
そのお店が今の私たちに相応しくないことは席につく前に気づいていました。なんとなく気まずい雰囲気が漂い、メニュー選びもドギマギ。
「あまり食べたいメニューがなければ出ちゃおうか?」
と囁く私に、
「それは失礼でしょ。もうお水も出されたし......」
となんだか緊張気味の母。
後にわかったことですが、その日は私が北京に戻る前日だったので、「私の気に入ったお店で美味しいパスタを食べさせたい」という母の思いと、「母にあまり負担をかけたくない(私が支払うといっても聞かないだろうし)。でもあまり騒がしいお店は嫌がるかな?」と気遣う私と、気持ちの歯車が噛み合っていませんでした。
お互いに警戒しているような、なんだか気まずい雰囲気でした。

まだ5時前だったので
「2人で1皿でちょうどいいよね」
と私。お値段も結構高いし、お腹もすいてないのに無理にお金を使うことはない思ったのです。その言葉に母は青ざめ、
「このようなお店で、2人で1皿なんて!」
と言いました。うーん......そうか、母に恥をかかすのもよくないし、とりあえず無難なパスタを注文。
お酒も頼まないし、安いもの2つでは格好が悪いと母は思ったのでしょうか、微妙に高い海鮮系のスパゲティを注文していました。

でも、期待していたんです。美味しければことは丸く収まる。
ところが出てきたパスタは硬かった。アルデンテが硬めとはいっても、これはちょっと生煮え。
そりゃ当然、「硬いので、作り直すか何とかして」と店員に言うのが中国式。たいていは、水を加えて煮るだけなのでまずくはなりますが、"何とか"食べられるモノにはなる。
食べ続けたら胃が悪くなりそうと思ったので、母に
「ちょっと硬すぎるね、言おうか?」
と遠慮がちに言うとまた青ざめて、
「そんなことしたらいけない」と。
なぜ客がまずいものを我慢して食べねばならないのか!とちょっと憤慨しながらも、これ以上母の機嫌を損ねたくないので黙っていました。
ああ、もう日本だとやりにくいなぁ!
中国だと、たとえ混んでいる時間にビールとおつまみだけであろうが、味が悪かったら作り直せと言おうが、客がお店に対して遠慮することはあまりありません。
その代わり、店側も従うばかりではないのが面白い。これを食べたらいいとか、まだ注文が少ないとか、いろいろ意見をいいます。以前、上海に行ったとき、洋風レストランで
「スプーンください」
と言ったら
「その料理にはスプーンは必要なし」
と答えが返ってきました。
おいおい、客が欲しいとお願いしているのに!必要かどうかを判断するのはあなたじゃないでしょう!と思いました(言ったかもしれない)。

それともうひとつ、
(注:ここから先はお食事中以外にご覧いただいたほうがいいと思います。)
中国習慣がしっかり身についてしまったんだ!とハッとするのは"トイレ"の時です。
まず、音。女性トイレでは"水の流れる音"が出るようになってますよね。ボタンを押すと1分ほど"チョロチョロ"と音がする。その間に再度押せば"30秒延長します"という説明も書いてあります。人に用を足す音を聞かれるのが恥ずかしいという女性が多く、水を流す習慣ができたことから、節水のためにできた "水の流れる音"システム。
これって日本以外にもあるのでしょうか?中国では見たことありません。何も悪いことしているわけじゃない、出る音は出るんだと。......そう思っているかどうかはわかりませんが、ともかくそんなことは気にしない。ですから、日本に帰ってくるとつい"音のボタン"を押すことを忘れていて、ほかの個室から聞こえてくる人工的な水の音を聞いて、やっと「あ、しまった。日本ではそうだった......」となります。
それと、使用した紙類。
中国ではトイレの中で使用したモノ全てを、基本的には設置してあるくず入れに入れます。水に溶けない生理用品のみならず、小で使用した紙も、もちろん大で使用した紙も......。
捨てやすいようにくず入れは蓋がありません。全てが丸見え。初めて中国に来た日本人はビックリし、そこへ捨てていいものなのか戸惑うようです。
特に女性モノについては日本のように綺麗に捨てるという意識がないので、目をそむけたくなる状態になっていることも少なくありません。
北京のトイレ事情がここ数年で驚くほど良くなったとはいえ、もともとそのような習慣があるのは、水圧が低く、詰まりやすいからです。
外資系のホテルやビルのトイレではあまり気にすることはないのですが、やはりゴミ箱は設置してあります。
できれば自分が使用したときに詰まりを引き起こしたくないので、私もできる限り流すことを控えています。そうして日本に帰ってくると「あれ?捨てるところがない。あ、日本では流していいんだった......」と、一人でつぶやいたりして。

どちらにしても、日本人は「他人が自分をどう思うか」ということを非常に気にして、遠慮したり、自分の存在をアピールしないようにすることが多いようです。
逆に気付かれなくても相手を気遣う、という美徳が日本の習慣であるからこそ"意見を言う"ことは倦厭されているのでしょうね。でもいいことばかりではないです。
互いにあまり遠慮をせず言い合い、すっきりして満足する、という中国風も、わだかまりが少なくて済む、良い習慣かなと思います。

気まぐれ歳時記 Topへ
Related Entries


Contact

お問い合わせ

WEBからのお問い合わせ

研修、業務マニュアルのご相談、
お見積りは無料です。
お気軽にお問い合わせください。

お電話でのお問い合わせ

045-561-2251
  • 受付時間 月曜〜金曜 9:00〜17:30
  • 年末年始・祝日を除く