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北京との再開(2)


[ち] 旅行・海外生活

15時に飛ぶ予定だった北京行きの便が18時半に変更後、その時間を過ぎ、20時になっても搭乗は始まりませんでした。
責任者らしき人や機長が現れて、質問に答え始めます。(中国語、しかも早口な会話なので、聞き違いがあるかもしれませんが)
「清掃に何時間もかかるわけないだろう」という問いに、
「え?誰が清掃と言ったの?整備だよ」という答えが返ってきて、周囲がざわつきます。
機長が、何時何分にどうのこうの......と説明をしていると
「じゃあ、もう16時くらいには、18時半に飛べないことがわかっていたのだろう?なぜそれを連絡してくれないんだ」という突っ込み。
「このような事が起きるなんて、オリンピックだったらどうするのか!」
「国へ帰るのに自国の航空会社でこんな目に遭うとは」
「わたしたちの1日をどう責任をとるんだ」と、皆次第に声を荒げ、言いたい放題。
「私もよくわからないので」と、機長が気弱な返事をすると、
「出てきても何もわからないのか!なぜ出てきたんだ!」と痛烈な非難が続きます。
説明されると思っていたのに、結局何もわからないことに怒りを増幅させた人が多かったようです。
そのうち、機長も
「飛ばないものは飛ばないのだからしかたないだろう!」と逆切れして奥に引っ込んでしまいました。
その後、責任者らしき人が、
「今、北京に向かっている飛行機があるので、それでいくかもしれない。しかし、いつ出発かはわかりません。もう少し待ってください」と言い、
結局、誰が何度出てきても、状況ははっきりしないままでした。

カウンターにいる係の人は、乗客の気持ちを静めようと、何かを配ろうと思ったようです。簡易テーブルを組み立て始めていると、
乗客「なんだ、これは?」
係「おわびに飲み物券を配ろうと思いまして......」
乗客「そんなもんはいらん!飛行機を飛ばせ!」と怒るしまつ。(そのせいか、結局券は配られませんでした)係の人も、たまたまこのフライト担当になったばっかりに、とんだとばっちりです(残業代は出るでしょうから、私たちよりはましなのかもしれませんが)。


さて、こんな混乱の中、私はつい、うっとりと眺めてしまいました。
なんて熱いのだろうと。

今回の乗客は8割が中国人だったようです。もし日本人ばかりだったら、こんなにヒートアップしていないでしょう。日本人は、人が集まるところで声を荒げたり不満をぶつけたり、けんかをしたりということは避ける人が多いと思うからです(以前「ここが変だよ、日本の習慣」でも触れましたが)。
日本にいると「不満があるのに言わない」ことにストレスを感じることがあります。文句を言うばかりなのは問題だと思いますが、正直な気持ちを伝え合って、後腐れなく仲良くする中国人の気性を私は憎めません。中国に長く住んでいると、こういった習慣も身に付いてしまい、日本では困ってしまうのですが......それは私だけではないようです。友人は、周りから「クレーマー」とあだ名をつけられたとぼやいていました。

何か矛盾を感じると、つい「どうして?」って聞きたくなる私ですが、今回は「私が皆の気持ちを代表していうぞ!」と宣言しながら、苦情を訴えてくれる人が大勢いたおかげで、私自身は腹を立てる必要はなく、落ち着いていられました。久々に中国的気性、習慣を思い出して、ますます北京へ行くのが楽しみに感じられます。
それからいいことも。混乱の中、友人ができたことです。私の後ろに並んでいた韓国の女性と状況を伝えあううち仲良くなり、その後、数人が会話に参加してきて輪が広がりました。何かあったとき、一人だと辛いのですが、気持ちを誰かと共有できるととても楽になります。こんなことがなかったら、ただ同じ飛行機に乗っただけで、会話することもなかったでしょう。

そして21時半、どうやら今夜は飛びそうにないなと自己判断をした頃、航空会社から「せめて夕食」をとパンとジュースが配られました。
22時頃、「本日の便は欠航し、翌日の便に振替」というアナウンスが流れます。
そのときは、今夜飛ばないという不満より、早く結論を出してもらって休みたいという気持ちが強かったので、ようやく決着がついたことにほっとしていました。
預けた荷物を引取り、入国手続きをして(一度出国手続きをしたので、日本へ改めて入国)、送迎バスに乗って、用意されたホテルへ。寝不足と空港での10時間待機のせいで、私は骨の髄まで疲労していました。他の乗客も同様なのでしょう、もう大声を上げる人もなく、1つの家族のように、お互いに助け合いながら、誘導されるままに移動しました。
翌朝6時前に目を覚ますと「あなたの搭乗便は○○です。朝8時にホテルを出発」という案内の紙がドアの下から入っていました。まだ疲労がとれないせいか食欲がなかったので、どんよりとした気分で朝食用のレストランに向かうと、そこには前日から一緒だった人が大勢いました。前日のことについて不満を口にする人はなく、ホテルを取り囲む木々の眺めにうっとりし、目の前の朝食を楽しんでいます。言いたいことを言い切って、さっぱりしているなぁ!と改めて感心しました。


さて、1日遅れたものの、5月2日ようやく北京に到着。
オリンピック前で大きく変動している北京へ。
......といいつつ、新しくできた地下鉄や建物を見には行きませんでした。
予定より時間がなかったせいもありますが、今回は、新たにできた建築物や観光地よりも、むしろ、北京での「普通の日常」を(日本にはない、中国らしいのんびりとした時間の流れを感じて)過ごしたいという気持ちが強かったのです。
というのも、1年半前の帰国間際、部屋の片付けと、遊びに来ていた親の相手などで、非常に慌ただしく帰国したことをとても残念に思っていたからです。
観光もせず、北京でしたことは、

  • 友人の片付けの手伝い......私が帰国時にあげた(押し付けた?)ものもでてきて懐かしさに溢れます
  • 喫茶店で珈琲を飲みながらうだうだする......北京らしいソファのあるカフェで
  • スーパーへ行く......よく行っていた「イトーヨーカドー」で、ショッピングー!
  • マッサージ......日本と比べたら非常に安い。続けて行ったら、もみ返しが辛かった
  • 美味しいものを食べる......まず中華料理。そしてアジアン料理。日本で食べるのとは味が違うのです
  • 霧がかかったような空と誇りっぽい空気を体感......ショックを受けました。住んでる時には、ここまでひどいとは感じませんでした。

こうして、短いながらも充実した数日間を過ごしました。
北京、いえ、中国は今後増々大きく発展していくでしょう。
でも、私の知る熱い中国の気性は、できれば変わってほしくないとつくづく思います。

(おわり)

食事1 食事2
配られた夕食 「辣子鶏」中国行ったら食べなきゃ
食事4 食事5
スーバーでの実演販売。
まだあった!
左で作っていたのはこれ「牛肉餅」
山椒が効いていて美味しい
食事3 食事6
カフェで 数回しか食べたことがないのに急に食べたくなった北京の味「牛肉麺」
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