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2007年3月16日

再会そして別れ

category : [日常生活

writer :[の]

大げさなタイトルですが、なんということのない日常のささいな一コマです。
以前この歳時記で「シャンプー名人」というのを書きました。あれからすでに2年3カ月。実は以来一度も"名人Yさん"にシャンプーをしてもらっていませんでした。行く度いつも「また今回もはずれか」と残念がっていたのです。もちろん指名すればいいのでしょうけど、なんというか、美容院というのは私の最も苦手な場所の1つで、できれば存在を透明にしたいくらいなのです。ちょっとしたトラウマがある、とでも思ってください。
しかし前回、帰りがけにたまたまYさんがカウンターにいたので、意を決し「シャンプーの指名ってできるんですか?」と尋ねてみたのです。「時間的にあえばできるだけ希望に沿います」という答えでした。

それから2カ月以上たった先週末、私はそんなことをすっかり忘れて美容院に向かったのでした。ところが、シャンプー台に案内してくれたのはあの名人Yさん。ああそうか、そういえば前回そんな話をしたっけ。
なのにそのYさんが言うには、もうすぐ別の支店に異動になってしまうとのこと。えー、そんなぁ。
やっとYさんに担当してもらえるのに、もうこれが最後ということ?こんなことならもっと早く言っておけばよかった......。
Yさんの腕は2年3カ月の間にさらに磨きがかかっているようでした。それとも特別サービスだったのか、本当に上手。本当に残念

シャンプーが終わり、カット担当に引き継ぐとき、Yさんは雑誌を選んで持ってきてくれました。
まず「オレンジページ」が2冊。私がいつも好んで見ていることを知ってのことでしょう。大きな店舗とはいえ同じフロア内ですから、そのくらいは観察していたのかもしれません。
おや?と思ったのは、そのオレンジページの一番上にドンと置かれた犬の専門誌です。美容室内でもかなりレアな1冊。なんで一番上にこれが?確かに私は犬好きではあるけど、もし私が猫好きで犬嫌いだったらどうするんだろう。これってリスキーな賭じゃない?
そういぶかりながらハタと思い出しました。2年3カ月前のあの日、そう言えば数少ない会話の中で、彼は「猫好きですか?犬好きですか?」と、その時の私にとってはどうでもいい質問をしたのでした。「どっちも好きだけど、犬かなぁ、できれば飼いたいけどねぇ」そんな適当な受け答えをしたことを思い出しました。
オレンジページの上に自信たっぷりに置くのは「私はしっかり覚えてますよー」という強烈なアピールなわけですね。ははぁ。
犬の専門誌が読みたかったかというとそうでもないけど、そのYさんの記憶力と気合いは見上げたもんだな、と思ったのでした。

カット担当のAさんの話では、毎年この美容院(チェーン)に入ってくる新人は5〜6人だけど、その半数は1年以内に辞めてしまうそうです。最初の4年間は、アシスタントとして毎日シャンプーや掃除などの下積み生活。華やかなイメージと裏腹に現実はとても地味な作業の連続で、こんなはずではなかったと失望する人も多いらしいのです。Yさんはちょうど4年目だそうで、そろそろアシスタントも卒業らしい。でもハサミを握れるようになっても、指名がとれるようになるまでは大変な道のりなんだとか。
Aさんが言うには「残ってるアシスタントの子達って必死ですからね。お客さまのことをよーく覚えてるんですよ」とのこと。どこの世界も大変ですね。

ちなみにカット担当にAさんを指名している理由は、技術より心地よさです。基本的におしゃべりでないところがいいのですが、技術的には正直まぁまぁかな。時々は会話もするけど、こちらの関心やペースに合わせてくれるので、疲れないのです。質問責めにあうこともないし、本を読んでいるときに「今何読んでんですかー?」なんていきなり覗き込まれてドッキリすることも、貴重な眠りをじゃまされることもない。だからとても心地よいのです。小1時間ほどを一緒に過ごすわけだから、これって結構大事なことだと思いませんか。

そのAさん、ぼそりと「実は私もYと一緒に異動なんですよ」ですって。えー、そんなぁ。
心地よさのAさんとシャンプー上手のYさん、この組み合わせは私にとって最高の巡り合わせだったのに。しかもAさんを指名するまでに1年半、Yさんを指名するのに2年がかりだったのに......。

この2人の異動先は少々遠く、気軽に通えるようなところではありません。そんなわけで、私にとっては嬉しくて淋しい「再会と別れ」だったわけです。これから私はどうしたらいいのでしょう。
こと美容院に関して(だけ)は奥手な私は、このあとまた数年がかりで担当者を探すことになるかと思うと、少々ため息がもれる春の夜なのでした。


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