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募る思い


[ひ] 食・健康

スーパーにて食材を購入する際のこと。
子どもたちは食べ物の好き嫌いが多いため、選択基準はどうしても「子どもたちが食べられるかどうか」になってしまいます。

「おいしそうなお漬物、食べたい……」でもどうせ子どもたちは食べないし、たとえ買っても食べきれずに無駄にしてしまうだろうと、お漬物コーナーを素通りする日々……。

そんなある日、スーパーにて、野菜を入れるだけでぬか漬けができるキットを発見しました。
説明を読んでみると、すでにぬかは発酵済でかき混ぜ不要。また冷蔵庫で保管ができるとのこと。ぬか床は密閉式のビニールの袋にはいっているため、そのまま野菜を入れるだけという優れものです。
これなら保管も簡単で食べたい分だけ少量を漬けることができます。


募る思いを抑えきれず、ついに購入しました。


今が旬のかぶを4等分に切り、いざぬか床へ。


数時間後。楽しみにしていた試食の時間です。
漬け時間の関係で、やや塩味が強くなってしまったものの、きちんとおいしいぬか漬けです!これはうれしい。炊きたてのごはんとの相性も抜群です。


ぬか漬けを食べていると、ふと、今は亡き祖父を思い出しました。
実家では、毎年夏になると、祖父が漬けたナスとキュウリのぬか漬けが食卓に並んでいました。
ぬかの状態によって、トウガラシをいれたり、ぬかを追加したりと調整を重ねた祖父オリジナルのぬか床です。
朝に漬けられた野菜は、夕方には、それはおいしいぬか漬けになり、私にとって毎晩の楽しみとなっていました。


祖父いわく、おいしいぬか漬けには野菜の鮮度が大切とのことで、
私を地元の野菜直売所に連れていってもくれました。そこで、採れたてのキュウリとナスを購入するのです。
しっかりと私の手を繋いでくれた、しわの多い大きい手、きっちりとアイロンがかけられた白い半袖のYシャツと夏用のハット、強い日差しの光景が、今も色鮮やかに蘇ってきます。


私が作る簡易なぬか漬けは、残念ながら祖父の思い出の味には遠く及びませんが、このぬか床もいろいろな野菜を漬けていくうちに、熟成していくのでしょうか。


いつか祖父の味に近づけるように、少しずつ。少しずつ。
毎日の食事を楽しみながら、わが家の味を作っていきたいと思います。

ぬか漬け セクシー大根
祖父の味には及びませんが
おいしくできました。
いまにも歩き出しそうなセクシー大根です。
食べてしまうのがもったいないのですが、
おいしくいただきます。
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