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2002年3月26日

絶食した話

category : [食・健康

writer :[ち]

絶食したことはありますか? 私はつい最近するハメになりました。体の不調で入院したのですが、下痢が続いていたので、大腸を休ませるためです。外来で受診し、そのまま入院することになった初日の夜と次の日から丸3日間の絶食でした。
食べることが好きな私は、これまで、具合が悪くなっても食欲をなくすことはありませんでした。「医食同源」という言葉がありますが、それを都合よく「食べれば元気になる」と勝手に曲げて解釈し、多少無理しても食べていました。
しかし、これは必ずしもよいことではありません。「食べる」ということは内臓を働かせることであり、その分身体は疲れます。元気な時は良いのですが、弱っている時は強制労働をしているようなもので、かえって身体にダメージを与えることになってしまうのです。だから本当に身体が弱っている時は、かえって食べないほうが良い場合もあります。

さて、私は絶食した数日前から高熱と胃腸痛で食欲がなかったので(本当にめずらしいことです)、一週間くらい胃の中が空っぽでした。けれど、具合が悪いのも手伝ってか、その時は空腹をさほど辛いとは感じず、下痢を心配してチビチビ食べるよりも気が楽でした。そして便がすっかり無くなってしまうと胃から大腸までの消化器官がさっぱりと軽くなりました。
入院5日目に食事を始めることになった際、たくさん食べないようにしようと思っていました。瀬戸内寂聴さんが20日間ほど絶食をした時のことを何かの本で読んだことがあります。その中で食事を再度始めるにあたっての注意があったことを思い出したからです。
久しぶりに物を口にすると栄養を摂取しようとして、身体は「食べたい、食べたい」と言うけれども、決して思う存分食べてはいけない。ずっと休んでいた胃をいたわり、おもゆから、日を重ねて少しずつ少しずつ普通の食事に戻すようにしなければいけない、とありました。
しかし実際、ごちそうを前にしては(少なくともその時の私には「ごちそう」でした)、食べないようにする、というのは難しいことでした。久しぶりに口にする「お味噌汁」のおいしさには涙が出ました。と同時に、この時ほど食事をありがたく、うれしく思ったことはない気がします。

画家のミロは、空腹の状態を利用してあの独特の世界を描いたそうですが、私は何をする気にもなりませんでした。さらに、食べていないと心が歪んでくるようです。他の患者さんの「おいしいわ」という声や、おいしそうな香りを憎らしく思い、他人のささいな行動を不快に感じていました。いじけていたのでしょう。そうした感情さえ、食事を再開してから初めて気がついたのです。そして「食べられる」ということに感謝する気持ちが生まれました。
「絶食」という言葉には何か重さを感じますが、今回の経験は、普段忙しい中でとりあえず済ませてしまうこともある食事、それを改めて見直せた良い機会になりました。


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