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がんばっては、いる


[の] 日常生活

以前、ランチタイムに時々通っていた駅近くのうどん屋さん。店内はいつもそこそこ混んでいました。
しかしある時からフロア係が新しい人に替わり、雰囲気も変わってきました。新しい担当者は、40代半ば?50代の女性の方。とても張り切っているし、がんばってます。
お客が入ってくるなり、大きな声で「いらっしゃいませ?!」「こちらへどうぞー!」
とっても元気がいいのです。
席に座るやいなやお冷が運ばれてきますが、勢いよすぎてコップから水がこぼれそうです。レジに立つ人を見かけると「ありがとうございましたー!」と小走りにレジへ向かいます。ランチタイムの店内を1人でキリキリまわしている感じ。
ずいぶん気合い入ってるなぁ、などと、最初はその程度の感想でした。ほほ笑ましくさえ思ったものです。

ところがです。
何度か通っているうちに、私は段々とイライラしてきて、やがて不快になり、ついにはそのお店に行かなくなったのです。イライラしたのは私だけではなかったのでしょう。いつの間にかその店は、ランチタイムにも関らずお客がまばらな有り様になってしまいました。

さて、なぜこんなことになったのか。自分でもその原因が知りたくて、ある日フロア係の動作を観察してみました。
そして1つの結論に至りました。なんといいましょうか。それは、動作が完結していないということです。

例えば、「いらっしゃいませー!」の「せー」でお客さまに背を向けて、「こちらにどうぞー」と歩き出している。
「お待たせしましたー!」とうどんをテーブルに置くと同時に、レジに立った人に顔を向けて「ありがとうございましたー!」となる。
うどんをテーブルにちゃんと置いたことを最後まで確認しないから、汁が跳ねそうになっても本人は気付かないのです。いつも急いでいるから、動作音も大きい。椅子を直すのもガタガタと大きな音を立てます。食器を片づけるものガチャガチャします。そんなだからサラやコップを落とすこともしばしば。
甲高い声と食器の音、せわしない動作で、客はなかなかリラックスできません。せっかくのランチタイムなのに......。

がんばってる、張り切ってる、やる気まんまん、それは間違いない。なのに相手不在、独りよがりのがんばりなのです。がんばってる自分をアピールするためにがんばってるような......。
たぶんこの人は、相当な人数のお客と毎日顔を合わせているはずです。でもお客の顔を誰一人覚えていないのではないでしょうか、そんなふうにさえ思えます。

ランチタイムは戦場でしょう。さぞや気持ちも焦るでしょう。それは私にもわかります。
でもねぇ、ちゃんと相手の表情を見ましょうよ。1つひとつの動作はちゃんと完結させましょうよ。それから次の動作に移っても決して遅れることはないでしょう。むしろ割れたコップの処理にかかる時間は少なくなるでしょうし、お客も気持ちよく食事ができるでしょう。

さて、店主は問題視しているのでしょうか。でもこのフロア係の人に、客観的な状況を納得させて行動を改めさせるのは、さぞ難しいでしょうね。「私はこんなにがんばっているのに、何が悪いっていうの?」そんなふうに抵抗されるかもしれません。

"がんばり"もその方向を間違うと、かえってマイナスになってしまうんだなぁと、つくづく我が身を振り返って考えさせられた一件でした。そう言えば、学生時代にアルバイトしていた喫茶店で、私も似たようなことをしていた気もします。あの頃は、相手じゃなくて自分だけを見ていたような。

みなさんのまわりではそんなことないですか? ひょっとしてあなた自身が、とか......。

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