今回は、業務マニュアルを作るために押さえておきたい情報構造について解説します。
業務マニュアルの1つの目的は、業務の初心者が業務を理解することです。
そのために必要な情報は何か、またそれを業務マニュアルや作業マニュアルにどう展開するかを明らかにします。
業務を理解するための情報
まず、業務の初心者が仕事を理解するうえで、どのような情報が必要になるのかを考えます。
当社では、情報をその性質に応じて、基本概念、業務フロー、関連情報(詳細情報)の3つに分け、図のように構造化しています。これを情報構造モデルと呼んでいます。
なお、基本的には左から右へ進むほど情報は細かくなると考えられます。そのため「関連情報」を「詳細情報」と呼ぶこともあります。
また、必要に応じて基本行動を加える場合もあります。
これはあくまで情報の構造を示したものであり、そのまま業務マニュアルの構成と一致するわけではありません。ただし、Webマニュアルを作成する場合には、この構造をそのままワイヤーフレームとして活用することもできます。
また、この情報構造モデルは、Webマニュアルに限らず、最終的なマニュアルの形式や媒体が何であっても、基本となる考え方です。
業務によっては、これ以外にも必要となる情報もあります。例えば、基本行動、管理情報、コミュニケーション情報、帳票サンプル、参考資料などです。
ただし、例図の情報構造モデルは、業務の規模や種類を問わず、共通して必要となる基本的な情報の枠組みとしてとらえてください。
基本概念
基本概念とは、業務を行うためにあらかじめ理解しておくべき概念や知識のことです。
大きく分けると、組織の事業活動に関する基本概念と、業務に関する基本概念があります。
業種によっては、これに加えて業界に関する知識が必要になる場合もあります。
組織の事業活動に関する基本概念
例えば、経営理念、事業活動の概要、取扱い商品、関係者(ステークホルダー)、コンプライアンスなどです。
業務に関する基本概念
例えば、業務の全体像、業務遂行の体制、使用システム、業務のキー概念などです。
業界に関する基本概念
必要となる業界知識は、業界によってさまざまです。
例えば、分業体制が敷かれている業界、法令により強く規制される業界、貿易に関わる業界などでは、業界固有の知識が業務遂行の前提となることもあります。
これらの基本概念は、いわば業務の前提となる土台です。
新人や異動者が部門に配属された際に、初期段階で習得しておくべき内容といえます。
また、記憶に残りやすくすることが重要であるため、当社では図解を中心に、簡潔に解説するよう心がけています。
業務フロー
業務フローとは、業務の標準的な進め方についての情報です。業務項目ごとに図のような業務フロー図と手順解説から構成されます。
業務項目単位で整理
社内の各担当者が自分の業務をマニュアル化する際には、まず業務項目単位で業務フローを整理します。
その際、業務フローには入りきらない周辺情報があることに気づくはずです。
そうした情報を業務フローから切り分けて、情報構造モデルに沿って切り分けることが大切です。
なお、当社では、業務項目ごとの業務フローを、「業務分析フォーマット」というスプレッドシートを用いて整理しています。
業務項目と業務マニュアル
ここで、業務項目とは何かについて補足しておきます。
当社では、業務の体系を、業務項目を柱とした2階建てでとらえています(Tips67参照)。
当社が「業務」と呼ぶのは、図の2階部分に当たる、事業区分、業務区分、業務項目です。
そして、基本的には業務項目を業務の最小単位と位置づけ、この単位ごとに1つの業務マニュアルを作成します。
ただし、必要に応じて、業務項目よりも大きな単位で業務マニュアルを作成することもあります。
関連情報(詳細情報)
関連情報とは、用語定義をはじめ、判断基準、例外ケース、作業マニュアルなど、業務フローに紐付く情報です。
用語定義
用語定義とは、業務で使う用語の意味をあらかじめ明確にしておくことです。
最初に定義をそろえておくことで、その後の作業を効率よく進めやすくなります。マニュアルとしては、用語集としてまとめる形になります。
業界用語や社内用語など、業務で飛び交う言葉は定義しておくとよいでしょう。
判断基準
判断基準とは、業務を進める際に、それを参照して処理を判断・決定するための情報です。
形式としては、一覧表やチェックリストなどが中心になります。
これらを業務フローの中に入れると細かくなりすぎるため、別の情報として切り分けて整理します。
例外ケース(Q&A)
例外ケースとは、標準的な業務フローとは工程が大きく異なるケースを整理したものです。例えばトラブル対応や特別な対応などが該当します。
これも業務フローの中に組み込むと複雑になりやすいため、切り分けて別途まとめるようにします。
業務マニュアル上は、「Q&A」や「こんな場合は」などの形で示すとわかりやすいでしょう。
作業マニュアル
ここでいう作業マニュアルとは、一連の動作に関する手順などをまとめたものです。
主に、具体的なモノの操作や取扱いに関する手順がこれに当たります。
1人の担当者が連続して行う動作が中心ですが、複数の人が協力して同時に行う動作も含まれます。
作業標準書、標準作業手順書、操作マニュアルなどがこれに含まれますが、当社ではこれらを業務マニュアルと区別して、作業マニュアルと呼んでいます。
最後に
社内で業務を整理し、マニュアル化する際は、まず業務項目ごとの業務フローを整理します。ここが業務の中核となる部分です。そのうえで、業務フローに紐づく周辺情報として、基本概念や関連情報を整理していくと、進めやすくなります。
情報を構造化するメリットについては、Tips55も参考にしてください。
業務フローの整理は、業務分析フォーマットを使うと手軽に進められます。
「業務の整理と可視化」実践講座を受講いただくと、業務分析フォーマットのテンプレートやサンプルもダウンロードできますので、ご検討ください。
YouTubeでも関連情報を解説していますので、あわせてご覧ください
author:上村典子













