No.73

業務分析フォーマットの使い道

category:業務の整理・標準化/業務フロー/マニュアルの作り方


公開日:2025年 08月 20日

業務分析フォーマットとは、私たちが業務マニュアルを作成する際の「下準備」として長年活用してきたスプレッドシート形式のツールです(Tips No.52参照)。
もともとは業務フロー(工程)を整理してお客さまと共有するために使いはじめましたが、それ以外にもいろいろな用途で活用できます。
今回は、そんな業務分析フォーマットの使い道についてご紹介します。

なぜ業務分析フォーマットを作ったのか?

最初にこのフォーマットを作った背景について、少しだけご紹介します。
きっかけは、「コンサルを入れて業務の標準化を図ったものの、現場にはなかなか定着しない」といった企業の声でした。そうした悩みに応えるかたちで、私たちは業務の再整理から現場への定着支援までを一貫してサポートするようになったのです。
業務の流れを整理するには、社内外の関係者と情報を共有しながら検討を重ねる必要があります。そこで、誰でもすぐに使えて、かつ修正もしやすいよう、業務フローをスプレッドシートに整理したのが、このフォーマットの原型です。
つまり、業務分析フォーマットは「業務を整理するためのツール」です。
そこから「現場に浸透させるためのツール」として、業務マニュアルを構築する、というわけです。

業務分析フォーマット)

使い道1:新しい業務の設計

業務分析フォーマットは、新しい業務を立ち上げる際の業務設計にも有効です。工程をざっくりと洗い出し、作業手順や役割分担を設計する際に、当社でもよく使用しています。
このフォーマットをGoogleシートなどで共有し、オンラインでメンバーが話し合いながら同時に工程を組み立てていくとムダがありません。
この使い方であれば、フォーマットの一部だけで十分に役立ちます。

業務分析フォーマットショートバージョン

使い道2:業務のヒアリング

2つ目は、業務ヒアリングでの活用です。お客さまへのヒアリングや、社内他部署への聞き取り、業務の引継ぎなどに役立ちます。
あらかじめ資料などをもとに大まかな工程を想定しておくことで、効率良く情報を聞き出すことが可能になります(規模にもよりますが、当社の場合、ヒアリング回数は1〜3回です)。また、最終的にこのフォーマットで整理することを共有することで、相手とのゴールイメージも一致させやすくなります。
注意点としては、「ヒアリング中にフォーマットをすべて埋めよう」などと思わないこと。細かい手順を逐一聞き出すのは現実的ではありませんし、その内容が正しいとも限りません。具体的なヒアリング方法については、また回をあらためて解説します。

使い道3:業務の標準化・自動化の準備

業務を標準化したい、プロセスを再構築し自動化したい(BPR、RPAなど)、そんなときの準備にも有効です。業務の工程がコンパクトに可視化されることで、どのレベル、どの範囲を変えたらよいのか、といった検討がしやすくなります。
また、複数の業務を横並びで比較することで、項目名や作業範囲の整合性も調整できます。このような比較・調整は、業務フローチャートなどよりもスプレッドシート形式が向いています。具体的な手法については長くなるので、これについてもまた回をあらためます。

業務の標準化・自動化の準備

使い道4:業務マニュアルの作成

そして本来の目的である、業務マニュアルの作成にももちろん活用します。
業務の工程、作業手順の明確化、関連情報の構造化などをこのフォーマットをもとに行い、最終的には現場で使いやすい媒体に落とし込んでいきます。
Web形式(Googleサイトなど)やPowerPointなどで作ることもありますが、業務分析フォーマット自体が、そのまま簡易な業務マニュアルとしても活用できます。
なお、当社が考える業務マニュアルの構造については、Tips.46も参照してください。

実際のプロジェクト事例

最後に、業務分析フォーマットを実際に活用したプロジェクトの事例をご紹介します。
ある企業では、ISOの認証は取得していたものの、現場の運用との乖離があり、毎回監査で指摘を受けていました。そこで私たちは、業務分析フォーマットを使って業務を一から洗い出し、マニュアル化するプロジェクトをお手伝いすることになりました。
まずは、メンバー全員に業務分析フォーマット(現在の仕様とは少し違います)の使い方をレクチャーのうえ、各自が担当業務をフォーマットに沿って整理。その内容を当社が精査し、工程の切り分けや業務間の整合性などを調整しながら、最終的にはWeb形式のマニュアルとして仕上げました。
このマニュアルは現在まで10年にわたり、毎年改訂されながら現場で活用され続けています。

1つの業務項目をどう整理するか──現在は、「業務の整理と可視化 実践」講座で、その具体的な方法を詳しく解説しています。
「何から手をつければいいかわからない」という方でも、テンプレートを使ってすぐに一歩を踏み出すことができるでしょう。
「業務の整理と可視化」実践講座」



また、今後もこのブログやYouTubeのチャンネルで、業務の可視化・標準化に役立つノウハウを発信していく予定ですので参考にしてください。
それでも「自社だけでは難しい」「どう整理するのが最適か判断がつかない」といったお悩みがある場合は、どうぞご相談ください。



Youtubeでも関連情報を解説していますので、あわせてご覧ください



author:上村典子kamimura

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