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整理整頓の際に、全く置かないのも一つの手段ですが、それがすべてなのでしょうか?例えば、時計、モチベーションアップのアクセサリーなどは、おいて良いという指導をしていますが、それでは徹底できないのでしょうか?

5S活動を推進しており、少しづつでも進んでおりますが、疑問が一点。
整理整頓の際に、全く置かないのも一つの手段ですが、それがすべてなのでしょうか?例えば、時計、モチベーションアップのアクセサリーなどは、おいて良いという指導をして、何も置かないではなく、整然と自信を持って、人に見せられる机であれば良いと考えていますが、それでは、徹底できないのでしょうか?
やはり、徹底的に0有りきの方が良いのでしょうか?

まず、5Sには「こうでなくてはいけない」という絶対的な基準があるわけではありません。
それぞれの会社や職場で「こういう管理をするのが現実的で、きれいな状態が維持できる」というルールを作って運用するのが良いかと思います。仮に"標準的 なルール"というのがあるとするなら、それに創意工夫を加えた自社なりの、あるいは職場内での"ローカルルール"を作って運用しても構いません。
そのかわり、自分たちでルールを決めたら、それを徹底的に守るという姿勢は重要です。

ただ、最初から"ローカルルール"を作ろうとするとなかなか意見がまとまらないばかりか、どうしてもルールが甘くなったり、あいまいになったりしがちで す。そこで、5Sに取り組むときには、最初は多少窮屈でも"標準的なルール"にしたがって展開されることをお勧めしています。
これは、ルールを決めるのに時間がかかるというのもありますが、多少厳しいルールを用いて取り組んだほうが5S活動自体が進むためです。例えば、「棚の 上、机上、机の下にはモノを置かない」とすると、あふれているものが収まるまで整理を進めスペースを確保しようとする方向の意識が生まれます。ところが最 初から「必要なものであれば置いても可」としてしまうと、モノを片付けない理由を探す方向の意識が働き、何とか納めようという努力が生まれません。
もし、"ローカルルール"を作るなら、ある程度取り組んでみてどうしても収まらないモノや置いておいたほうが良いモノが残った段階で、その理由を確認し、 ルール化するのが望ましいかと思います。もちろん、"ローカルルール"と言えどもきちんと明確化(明文化)し、周知させる必要があります。
ところで、机上に関する整理整頓の"標準的なルール"は、以下のあたりとなっています。

  • 勤務中は、必要なものを机上に置いて作業をして構わない。
  • 休憩時間や離席するときは、資料や文房具などを机上できちんと整えて、離散しないようにする。
  • 終業時や外勤時は、全てのモノをしまって、机上に何も無い状態にして退出する。
  • ただし、電話とパソコンなど、ケーブルなどとつながり設置されている状態のものは例外とする。

これらのルールは、あるべき論として決められた'非人間的で融通のきかないもの'では決してありません。むしろ多くの企業において整理整頓に 取り組む過程で落ち着いてきた'最も徹底できるルール'で、それなりに経験や理由がある「ノウハウ」のように思います。
そこで、いただいたご質問の中にあった「時計、モチベーションアップのアクセサリーなど......」という部分と併せて考えてみたいと思います。
上述しました通り、これらは各職場でルールを明確にしてそれを必ず守るという運用ができていればなんら問題はありません。ただし、そのルールを作るときに 人によって判断に差が生じないようにしておくことが重要です。
例えば、「効率があがるモノ」「モチベーションがあがるモノ」なら可としたとします。ルールを決めたときには、時計とちょっとしたアクセサリーを想定して いたとしても、人によっては、

  • 効率があがるモノ:電卓、卓上カレンダー、翌朝1番に手をつける資料......
  • モチベーションがあがるモノ:家族の写真、動物の写真、目標カード、何かの記念品......

などと、際限なく広がってしまう可能性があり、結局本人が「効率があがる」「モチベーションがあがる」と主張すれば何でもOKとなりかねません。
一方、「時計とアクセサリー1個までなら可」としたとします。すると「なぜ時計はOKで卓上カレンダーはダメなのか」「アクセサリーは1個でなく2個でも いいじゃないか」などと疑問が生じ、これらにはなかなか明快な回答ができなくなります。そうすると次第に「じゃあ、コレとコレとコレとコレまでなら可」と いうふうにルールが広がりかねません。

もちろん、自社の社員であれば常識的な範囲は守られるはずだとは思いますし、上述したような「へ理屈」的なことをいう社員はそれほどいないとは思います。 しかしながら、ルールを緩和するとそこに「乱れる原因」を作ってしまっていることはよくありますし、「この程度なら」と思ったことが思わぬ展開をしてしま うことも少なくありません。
5Sで言われている"標準的なルール"は、そういう経験を重ねる中で落ち着いてきたものが多くあるように感じます。
例えば、効率化やモチベーションアップに関連するモノは認めてもいいが線引きが難しい。そこでよく考えてみると、それらの理由は終業後には関係がないはず で、それならば不可としよう。また、企業によってはノート・パソコンも終業時にはラックにしまうというルールにされているところもありますが、残ったケー ブルの後始末や翌朝の準備を考えると非効率のほうが大きい。ならば、「設置されているもの」という基準で可としよう、という具合です。
"ローカルルール"を作る際にも、まずは「何とか無くせないか」という視点で考え、認める場合にも「合理的理由はあるか」「広がらないか」などの検証をし ておく必要があります。

以上長くなりましたので、最後にもう一度整理しておきたいと思います。
冒頭で記述した通り、5Sに絶対的な基準はありません。しかし、5Sを徹底的に進めるためにもいったんは他社のノウハウが詰まった"標準的なルール"を採 用してみることを推奨します。
そのうえでもっと自社や自職場に適したやり方が見つかれば、それを"ローカルルール"とするのは差し支えありません。ただし、そのルールを定める際の視点 を間違えないようにすることと、決めたらそれを明示し、徹底することが、5Sを進める上では何より重要だと感じます。


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