No.77

業務ヒアリングの進め方とコツ(2)

category:業務の整理・標準化/ワンポイント/テーマ別


公開日:2026年 10月 16日

他社の業務、あるいは社内他部署の業務をヒアリング(インタビュー)するための方法とコツ、当社の(ヒアリングの)手順を解説します。今回は「当社の手順」についてです。
前提として、他者の業務をヒアリングして業務マニュアルを作ることを目的とする場合を想定しています。

0. 概略の確認

上長に確認

実務担当者にヒアリングする前に、上長に当たる人に概略について確認しておきます。
まず、ヒアリングを行う目的や目指す成果、背景にある課題などを共有します。そして、ヒアリングの対象業務、対象者の選定、進め方についてもすり合わせしておきます。 可能であれば業務の全体像やヒアリングの対象業務の概要について、上長からあらかじめ大まかに説明を受けておきます。

ホームページやAIの活用

もし上長からレクチャーを受けることが難しい場合は、ホームページを参照したりAIを活用し、職種と業務内容について、大枠のイメージを持っておきます。
ただし、AIは間違えることもあるので鵜呑みにはできませんが、大体のイメージを掴むには便利です。

1. 準備

資料の読み込み

組織図、システム構成図、業務分掌規程、既存のマニュアル類、研修教材など、可能な範囲で資料を提供してもらい、あらかじめ目を通しておきます。知らない業務の資料を見てもなかなか頭に入らないかもしれませんが、少なくとも知らない用語はピックアップしておきます。

用語の整理

ここで用語というのは、業界用語や社内用語です。社内用語には、商品アイテム、システム名、機材、画面操作上の言葉、帳票名、作業の通称、略語などがあります。不明な用語は、ピックアップして可能な限り調べておきます。
理解しにくい資料であっても用語を拾い出していくと、だんだんと繋がってくるものです。わからない用語については、ヒアリングの場で確認します。

工程のイメージ

ヒアリング対象の業務について大まかな流れをイメージして書き出しておきます。
当社の場合は、図のような「業務分析フォーマット」の工程区分と担当者のところまでを作成するようにしています。業務を自分なりにイメージして仮説を立ててみることが大事です。これは頭の中に話を聞くためのフレームワークを作っておくということです。

工程のイメージ

なお、工程のイメージについては、「業務の整理と可視化」実践講座でも具体的に解説していますので、ぜひご受講をお待ちしております。

準備物

現場でのヒアリングの準備物は、事前に仮説を立てた業務分析フォーマット、白紙のメモ用紙、付箋、文房具です。
そして、録音・録画、写真撮影ができるものとして、カメラ、タブレット、パソコンなどを準備します。ただし、事前に録音・録画の許可をもらっておくことが大前提です。
現場を移動しながら話を聞く場合は、硬いクリップボードがあると便利です。その場で帳票などを受け取る際もすぐ挟んでおけるのでアナログなものが便利でしょう。

2. ヒアリング 1回目

1回目のヒアリングは、現場でのヒアリングです。初回の目的は基本を把握することです。標準的な作業を順に追いかけながら素材を集めていきます。

目的・進め方・予定を共有

まずは、ヒアリングを行うことの目的と進め方、予定について共有します。
それから業務のアウトラインを確認します。何をする業務なのか、発生するタイミング、サイクル、使用する主なシステム、関係者など、アウトラインを抑えます。業務分析フォーマットを使う場合は、フェイスシートにまとめます。

フェイスシート

業務のアウトラインを確認

大まかな流れについて自分なりに仮説を立てた業務分析フォーマットの工程区分をもとに確認していきます。
もし画面を共有しながらヒアリングできる場合は、業務分析フォーマットを写しながら確認します。

基本(標準)の手順を確認

基本(標準)の手順は、1つひとつの工程区分に沿って、実際の作業現場を回りながら聞いていきます。手順と分担、使用する手段などを順に確認します。
1回目のヒアリングでは、「もし未経験の新人に教えるなら何から教えますか」「新人に何から担当してもらいますか」などと投げかけてみると相手も考えやすいでしょう。
実際に業務分析フォーマットに入力しながら聞くこともありますが、1回目のヒアリングでは、手元のメモ用紙に書き込むのがよいでしょう。もちろん録音もしますが、話はいろいろなところに飛びますから、やはりメモは必要だと思います。あとでどこの段階の話だったかがわかるように工程番号で紐付けしておくと便利です。

帳票類の受取り

業務で使用する帳票類については、一式受け取っておきます。帳票には、担当者が起票するもの、システムやアプリから出力するもの、他の担当者から受け取るものなどがあります。帳票があると、あとで業務を整理するときに理解を助けます。帳票もメモと帳票を番号で紐付けしておくと、あとで整理しやすくなります。

撮影

使用する物や作業前後の状態などを写真撮影します。また手元作業などの動きのあるものは動画撮影します。システムなどの画面操作については、相手に画面録画をお願いします。あるいはノートパソコンなどがあれば、その場でweb会議ツールを使って操作画面を共有し、それを録画するのが手軽です。
1回目のヒアリングでは、このような撮影も素材集めのためと割り切ります。もし、マニュアルに掲載する目的で撮影したいのであれば、2回目にあらためて追加で撮影します。

3. 情報整理 1回目

1回目の情報整理では、聞いた話をもとに業務分析フォーマットに沿って、以下の手順で整理していきます。

  1. 基本的な手順を整える
  2. 基本とそれ以外の情報を切り分ける
  3. 基本処理には、名称をつける
  4. 工程区分を見直す

このような作業を行ったり来たりしながら情報を整理していきます。そうすると、ヒアリングで聞き取れなかったことや曖昧になっている部分がたくさん出てくると思いますので、質問事項も業務分析フォーマットにメモをしておき、2回目のヒアリングに備えます。

4. ヒアリング 2回目

2回目のヒアリングの目的は、詳細を詰めることです。疑問点を解消し、1回目では聞けなかった詳細について確認していきます。情報を整理したあとの業務分析フォーマットは、2回目のヒアリングの前にあらかじめ相手に渡しておいて目を通しておいてもらいます。そして、ヒアリング当日は、業務分析フォーマットを共有しながら工程ごとに順番に確認していきます。

5. 情報整理 2回目

業務分析フォーマットで業務の流れや分担を整理したら、それ以外の情報についても整理していきます。もしマニュアルを作成する場合は、以下の情報構造モデルに沿って基本概念や関連情報を整理していきます(Tips75参照)。この情報整理は、工程のヒアリングと並行して進めます。
情報構造モデル

なお、業務分析フォーマットの詳細な使い方については、「業務の整理と可視化」実践講座で詳しく解説しています。テンプレートやサンプルもダウンロードできますのでぜひご受講ください。



YouTubeでも関連情報を解説していますので、あわせてご覧ください



author:上村典子kamimura

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