他社の業務、あるいは社内他部署の業務をヒアリング(インタビュー)するための方法とコツ、当社がヒアリングを行う場合の手順を解説します。今回は「方法とコツ」についてです。
ヒアリングの方法と回数の目安について
ここでいうヒアリングというのは、実務担当者から情報収集をする行為です。
現場に出向いて対面で行う場合とオンライン会議形式で行う場合とがあります。現場に出向く場合は、撮影などもあわせて行います。
当社の場合、現場でのヒアリングの回数は1つの業務につき2回程度です。あとは補足的にオンライン会議を行います。遠方のお客さまの場合は、オンライン会議だけで業務マニュアルまで作り上げることもあります。ただし、当社はヒアリングの回数がかなり少ないほうだと思うので、参考までにとどめてください。
ヒアリングで1番大切なこと
ヒアリングで1番大切なこと。それは、現場の人たちへのリスペクトです。
つまりは相手の仕事に興味・関心を持ち、日頃の苦労も含めて理解し、その仕事を続けている担当者に対して、敬意を払うということです。
これから担当者と協力して業務を紐解いていくわけですから、基本的に「話してもらえる関係を築くこと」が第一です。ヒアリングでは、ベテランの方の話をきくことが多くあります。はたから見ると手作業が多かったり無駄に見えることもあるかもしれませんが、その中に過去の経緯があったり、その人なりの意味や工夫もあります。そういった背景も含めてしっかりきくことが大事です。
ヒアリングのコツ
コツ1:準備が7割
コツの1つ目は「準備が7割」ということです。何も準備せずに「ヒアリングの場できけばよい」と構えていると、まともに人の話はきけません。時間が無駄になりますし、何より相手に失礼です。
そのため、ヒアリングの場できこうとは考えないこと。ヒアリングは、むしろ確認の場と心得ます。貴重な時間を最大限有効に活用するために、できる限りの準備をしておくことです。
コツ2:2人で分担
コツの2つ目。現場でのヒアリングは、できれば2人以上で行います。
たとえヒアリングの対象業務が小さい場合であっても、話をきく、メモをとる、撮影するなどの行為をすべて1人で行うのは難しいからです。
例えば、物流業務についてのヒアリングであれば、広い倉庫内を移動しながらヒアリングすることもあります。2人で分担すれば、話の流れを途切れさせずに集中して効率的に回ることができます。
コツ3:2回に分けてきく
コツの3つ目。ヒアリングは1回で100%済ませようとせず、2回に分けて行います。
ヒアリングでは「大枠から詳細」へ「基本から例外」へときいていくのが基本です。
1回目は「基本を把握する」ことを目的とします。標準的な作業を順番に追いかけながら素材を集めていきます。
2回目は「詳細を詰める」ことを目的とします。不明点や疑問点の解消、1回目できけなかった詳細情報、追加で必要な撮影などを行います。
もちろん2回で済まない場合もあるかもしれませんが、1回で100%やり切ろうとしないほうが無難です。
コツ4:フォーマットを共有
コツの4つ目。情報整理のためのフォーマットを準備しておいて相手と共有します。
当社は、図のような「業務分析フォーマット」を加工してヒアリングにも活用しています。
フォーマットがあることで相手も答えやすくなります。ただし、ヒアリングの場でこの表すべてを埋めていくというのは、あまり現実的な方法ではありません。
フォーマットを共有する目的は、そこに書き込むことではなく、あくまでヒアリングのゴールを共有するためと考えます。
なお、業務分析フォーマットの詳細な使い方については、「業務の整理と可視化」実践講座で詳しく解説しています。
コツ5:深追いしない
コツの5つ目。深追いしないということです。ヒアリングの相手がベテランの実務担当者だとしても、その場ですべてのことに答えられるとは限りません。不意をつかれたら間違うことだってありますし、担当者自身が勘違いしていることもあります。また、人によって言うことが違う、ということもよくあります。
正解を知らなくてもそれなりにできてしまうのが業務です。そこがプログラミングとまったく異なるところです。
そこで、ここはちょっと怪しいかな、自信がなさそうだなと感じたら、それ以上は追及せずに次の機会に回し、課題を熟成させます。
間違いや曖昧さも含めてきけるのが、人間が行うヒアリングの良さでもあると思うのです。ただし曖昧さは保留しても放置はしないこと。曖昧さが残るところは、マニュアル化・標準化の大事な観点にもなりますので、時間をかけて周辺から掘り下げていくようにします。
では実際にヒアリングをどのように進めていくか、次回は「当社の手順」について解説します。
YouTubeでも関連情報を解説していますので、あわせてご覧ください
author:上村典子













