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家庭学習の指導

一緒に遊ぶことの意味

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研究職(男性)  2011-03-23

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一緒に遊ぶことの意味

一口に家庭教師のアルバイトといっても、教える相手の年齢によって仕事の内容は変わってきます。もし相手が高校生なら、こちらは勉強を教えることに集中できるでしょう。しかし、相手が小学1年生だったらどうでしょうか。この年頃だと、じっと机に座っていることにまだ慣れていない子が多いし、生活面の手助けや保護もある程度必要です。こちらは勉強を教えるだけでなく、一緒に遊んだり、大きなケガをしないよう見守ったりする。つまり、家庭教師であると同時に、保護者のような役割も兼ねることになります。
これはこれで、勉強ばかり教えるのとはまた違った発見があるでしょう。少なくとも私の場合はそうでした。

大学生の頃、6歳の男の子を教えたことがあります。父親は日本人なのですが、母親がフランスの方でした。父親は仕事で忙しく週末しか子どもとゆっくり過ごせない、母親も働いているので帰りが遅い日は子どもを学校へ迎えにいけないというのです。そこで私の役目は、学校から家に帰るまで子どもの安全を守ることと、主に日本語をしっかり教えることの2つでした。母親によれば、「家庭教師というよりはベビーシッターになりますが、フランスの大学生は男女問わずベビーシッターのアルバイトをします」。日頃から子どもと接する機会が少なく、「大の男がベビーシッターなんて」というためらいはありましたが、なんとなく面白そうだしフランス語の勉強にもなるだろうと思い承諾しました。
まず夕方、学校へ迎えに行きます。一緒に家に帰ると、おやつタイムです。男の子の母親が朝に用意しておいてくれるものです。食べながら、その日学校であったことなどについて話をします。その後は、外で遊びます。虫を採ったり、ボールで遊んだり、近所の子を誘って公園でゲームをしたり。天気が悪い日は家でDVDを観たり、絵本を読んであげました。
遊び疲れて眠くなる前に、学校の宿題をさせます。男の子はテストでいい点をとって母親を喜ばせたかったようで、比較的素直に言うことを聞いてくれました。勉強の後は、お風呂に入れます。といっても、もう一人で入れる子だったので、私がしたことといえば湯加減の調整や、お風呂場に出たゴキブリ退治などです。
母親が帰ってくると、その日の報告をして私の役目は終了です。男の子にバイバイをして退散します。

どちらかといえば、一緒に遊んでいる時間のほうが長かった気がします。男の子を見ていると、いろいろ面白かったのですが、なかには懐かしい感じのする発見がありました。
子どもは遊んでいるうちに次々と新しいルールをつくります。「~しちゃいけなかったんだよ」や「~の場合は、マイナス1点ね」など、まるでいつも新しい法案ばかり通している国会のようです。かつての自分もよくこんなことをやっていたなと思います。
今思えば、これは非常に興味深いことです。ふつう社会がうまくやっていくためには、ルールをつくるだけでなく、そのルールを守る段階が必要です。それが責任を引き受けるということでもあります。そして、ルールは本来、自分の権利を守るものですが、それが増えすぎれば、かえって自分を束縛することにもなりかねません。しかし子どもの遊びでは、後先も考えずにルールが追加されていくのです。つまり、どこか「無責任」なわけです。

私はこの「無責任」さが懐かしく、そして新鮮に感じました。たしかに、子どもはまだ自分がルールを守ることの重要さをあまり理解しておらず、ただ自分に都合よくルールをつくればいいと思っているだけだと考えることもできます。それは、わがままさを指摘する見方です。でも、ほんとうにそれだけでしょうか。特に良いとか悪いとかの問題ではなく、子どもは、すでに出来上がった関係を維持することよりも、どんどん新しい関係を結んでいこうとする傾向が強いのだと思います。だからこそ、いろいろ工夫して遊びの中に新しい要素を導入していくことができるのではないでしょうか。ただ、こうした傾向は、ある程度の時間一緒に遊んでみないと、なかなかこちらには伝わってこないものです。それは、当時の私には貴重な機会でした。

結局、当初期待していたほど語学の勉強にはなりませんでした。しかし、男の子と一緒に過ごした時間は、今でも私がものを考えるときの大切な糧となっています。


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