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教うるは学ぶの半ば

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フードスタイリストYUCA(女性)  2019-05-30

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教うるは学ぶの半ば

イタリアでの生活は、今年で8年目となる。イタリアに移住し、自分が日本人であること。そして、日本の文化・風習にも、より関心を持つようになった。日本では、考えなかったことわざの深意についても"なるほどー!その通り!"と共感する事が多くなったのは、イタリア生活が長くなってきたからか?はたまた歳をとったからであろうか?そこは微妙に謎だ。

例えば、"石の上にも三年"。私にとっては、まさしく信憑性のあることわざである。
イタリアに来て1年目は、言葉の壁・文化の違い・西洋人との考え方の違いに悩まされたものだ。続いて2年目、だんだん周りの環境にも、仕事にも慣れてきた。が、言葉の壁は、まだまだ立ちはだかった。さらに3年目、ようやく意思疎通が自分なりにできるようになるにつれ、仕事・交友関係と、自ずと道が開けてきた。
そしてふと呟いた言葉。"石の上にも三年!"。納得。3年間という耐え忍ぶ期間がなければ、全力で丁寧な仕事をしていなければ、真摯に相手と向き合う体制になければ、この達成感・安定は決して味わえなかったであろう。そして6年後、異国の地で起業し、仕事を選べるようになろうとは、誰が想像できたであろうか?長く険しい道のりであった。何度も投げ出してしまおうか?あきらめようか?と疑心暗鬼になったものだ。
そして、今だから言えることわざ。"継続は力なり"。

今回は、かれこれ5年以上携わる仕事を例にとって話してみよう。
イタリア現地にある料理学校にて、非常勤講師を勤めている。そこは、日本で料理経験のある方を対象にしたイタリア料理専門学校で、毎年、日本各地から多くの料理専門学校生が修学・研修旅行に、そして、日本で経験を積んだ料理人が、現地のレストランでの研修を目的に、それぞれの経歴をもってやってくる。
私の仕事は、イタリア人シェフの通訳と料理補助だ。同じ料理、材料でも講師により変わるレシピや手順。例えば、日本でも一世風靡をしたティラミス。サヴォイアルディというビスキュイ生地を作り、コーヒーに浸すのだが、コーヒーは、授業の前に用意することになっている。講師によっては、「コーヒーに砂糖が入っていないじゃないか!」あるいは、全く逆の意見で、「あれ?コーヒーに砂糖を入れたのかい?」。
そこで、知恵をつけた私は、事前に「シェフ、本日の授業で使うコーヒーには砂糖を入れますか?」と問う。すると、「どっちでもいいよ!」と返答するシェフもいる。
このように、よく知る料理でも、講師次第で、レシピには記載されていない細かい違いがあり、戸惑うことも少なくない。加え、料理界においては、季節により変化する食材、同食材でも品質や産地による違いはもちろん、同じレシピでも講師が変われば、考え方、作り方まで異なる。
外来のミシュラン星つきシェフが来る際には、前もって予習をしておかなければ、メニューの意味さえ理解できないこともある。イタリア語が話せるだけでは勤まらない仕事なのだ。なおかつ料理への情熱がなければ。教える立場にありながら、実際は、毎回が学習である。"習うは一生"。

"石の上にも三年"、"継続は力なり"、"習うは一生"。
実は、どれも職種に関係なく共通することわざではないだろうか。さらに、教える立場の人も学ぶ側の人も、対する人が変われば、毎回、同じ対応では通用しない時もあるかもしれない。たとえ、経験・理解している事でも、「知っています!」、「わかっています!」、「こうしなさい!」、「ああしなさい!」ではなく、まずは、聴く耳を持ち、謙虚に、そして柔軟に受け止め、対応できてこそ人として成長するのではないだろうか。"能ある鷹は爪を隠す"である。

今年も、未来のシェフたちが、料理学校の研修を終え、それぞれの研修先となるレストランへ巣立っていく時期がやってきた。希望と不安でいっぱいの彼らに、上記のことわざに加え贈る言葉は、"案ずるより産むが易し"。そして、"ローマは一日にして成らず......"。


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