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人事異動とOJT

スポットライト(1)〜いわくつきの異動〜

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機材販売  2003-07-08

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スポットライト(1)〜いわくつきの異動〜

OJTのネタになるかどうかわからないが、数年前に経験したちょっとした改革物語を書いてみようと思う。

ある夏の日、営業1課から業務課に配属が変わった。季節外れの人事異動だった。当時の営業1課長とは日ごろから折り合いが悪く、はじかれたような形での異動である。課長は保守的かつ政治的な人で、私はこの人が人間的に好かんかった。
幸いそこそこ業績を上げていたので、「なら、うちの部署にくれ」という手がいくつか挙がったらしい。その後どうして決まったかは知らないが、業務課に身売りされることになった。

業務課長とはそりが合った。どんどん自由にさせてくれる上、あまり口を出さず、上を説得してくれようとする気概のある人だった。(こう書くと理想的な上司だな)。でも頭がよくストレートな人なので、上からは煙たがられることが多かったようだ。だから結局上を説得できることは少なかった......。

上司はまずまずOK。しかしメンバーの雰囲気がよどんでいた。もともと営業と業務は犬猿の仲で、課内には営業への不満がくすぶっていた。課長はこの停滞した雰囲気を何とか盛り上げようと革命を起こしかけてはつぶれてきた。メンバーもそのたびに「どうせやってもムダなんだ、俺たちはしょせん営業の手で拭かれるボロ雑巾さ」という負け犬根性が染みついてきていた。

連戦連敗の大将は、それでもなんとか課内をもり立てようと必死だった。夜な夜なカラオケバーへみんなを引き連れていったり、オフのイベントを企画したり......。こうした涙ぐましい努力もあってか、メンバーからは好かれていたようだ。(私ははっきり言って閉口したけどね)
夜は元気いっぱい、昼間はどよよ〜ん、口から出るのは営業への恨み辛み。
課長の努力は結束を強めることには効果があったのかもしれないが、どよどよの濃度も濃くしてしまっていたように思う。数カ月前に入ったばかりの新人までしらけさせちゃっているからだ。

さて、そんな風土の中に、私は単身で敵陣から乗り込んできたことになる。
古巣の営業1課は、特殊な規格の商品を販売していたので、通常の業務の流れに乗らないことばかりをしていた。つまりいつも業務に迷惑をかけていた張本人なわけで、業務にとっては最大の敵なのである。

異動の日の朝、あいさつをした私に20数人のしらけた横目が光った。しかしその目の端には興味津々の鋭い光もあった。
『敵地で何やらもめてこっちに流れてきたらしい。こいつは敵か味方か、切れ者なのか単なるバカか?』冷たい視線が私を値踏みしているようだった。

新しい机に座って居心地の悪い数時間を過ごしたころ、課の女将と言われる人物が私のところにつかつかとやってきて、机の上にドンッと腰掛けた。ミニスカートがめくれあがって、私は目のやり場に困ってしまった。
「あんたが○○? 噂聞いてるよ。何でも営業課長と派手にやりあったんだって?」
......噂ってのは広がるのが早い。
「ちょっとは売れてたらしいじゃない? その営業様がさぁ、こんなとこに来て何するわけ?何かやってくれちゃうわけ?」

うへぇー、こぇー!と私は心の中で叫んだが、表面上は精いっぱい平静を装った。こういう人はドラマの中にしかいないもんだろうと思ってた私は、世間知らずであった。
彼女はじろーっと私を眺め回して「ま、お手並み拝見といこうじゃない」と言い捨ててさっそうと去っていった。

遠く課長の席に目をやると、課長は眉を八の字にして苦笑いをしていた。「まま、おさえてくれ」と言っているようだった。頼みますよー、課長。

業務課長は"いわく付きの異動"をしてきた私をテコにして、なんとか職場内に刺激を与え変革につなげたい、と企んでいたようだ。課長得意の飲み技で、私を赤ちょうちんに連れ出しては「あいつらは本当はいいやつらなんだよぉ。もっと仕事したいんだよぉ。でもこのままじゃみんなダメになってしまう。オレは何とかしたいんだ。力を貸してくれぇ〜」とへべれけになって酒臭く語っていた。純で熱い人ではあった。(でも、この飲み技は最後まで好きにはなれなかったが......)

さて、どよよ〜んの中で、私は数週間を過ごした。
私に課せられた使命は「改善」である。他部署から来たわけのわかんないヤツが改善とは、これまた反感買うよなぁ、と思ったがしかたない。営業の仕事を一番知っている人間は私なわけだし、実務では足手まといになるだけだしね。
まずは課内の業務内容を知らないことには話にならず、私は1人ひとりにヒアリングして回った。1対1で話してみると、そんなに嫌な人たちではないことがわかってきた。私は草の根的にじわじわとメンバーと打ち解けていった。

しかし難関が2人いた。1人は例の女将のTさん、もう1人は一番若手の女性Mさんだ。前者はともかく、後者は何が問題かというと、みんなが問題児扱いしていたことだ。周囲はMさんに「仕事ができないヤツ」というレッテルを貼っており、当の本人は劣等感の固まりで、メンバーの中でもっとも若いのにもっともしらけた雰囲気だった。

一応改善プロジェクトに予算をつけてもらえることになり、私はもう1人メンバーが欲しいということを課長に申請した。そのとき私が指名したのは問題児のMさんだった。

これにはみんな呆れたようだった。課長からも「大丈夫か?」と心配された。
私がMさんを指名したことにあまり深い理由はない。1つは彼女が一番ヒマそうだったから、1つはMさんがとても可愛かったから、という不謹慎な理由だった。それと同時に「本当に仕事ができないのだろうか?」という疑問があり、それを確かめたかった、ということもある。問題児同士で引かれ合ったということもあるのかもしれない。

営業の問題児と業務の問題児のキワモノタッグで、小さな改善プロジェクトはスタートした。



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