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2020年10月 6日
業務マニュアルを受託開発する際にいつもやってきたことが、社内での業務標準化にも役立つかと思い、したためることにしました。これまで断片的に書いてきたことが少しつながるのではないかとも思います。あくまでも当社の進め方ですが、参考にしていただけたらと思います。
弊社が業務マニュアルを作る際の大まかなステップは図の通りです。 事前準備として、資料を整理し用語集を作成します。 それらを土台として1から3までのステップを辿ります。今日ご紹介するのは、「1.業務を整理する」のステップです。 このステップは、1.業務の棚卸し、2.体系化、3.標準化という工程を踏んで進めていきます。
業務の棚卸し方法にはいくつかあります。
弊社では、概ね機能展開をベースに、業務の内容に応じてその他の方法を組み合わせます。
以下に弊社の基本的な棚卸し方法をご紹介しましょう。
演繹か帰納かでいうと演繹法になるかと思います。
最初に業務の鳥瞰図を作ります。業務の位置関係を図にしたものですが、これを弊社ではマップと呼んでいます。社内にありそうでないものの1つと言えるかもしれません。業務体系の出発点になるため、ぜひ作成することをお勧めします。最初はラフで構いません。業務を整備しながら調整していけばよいのです。
図はラフなイメージですが、弊社では縮尺率の違いによって事業マップと業務マップの2種類を作成します。一番縮尺率の高いものを事業マップと呼んでいると考えてください。
単一事業を行っている組織であれば1つのマップだけで済むこともありますし、複数事業を展開する組織では、複数レイヤーの業務マップが必要になることもあります。
このようなマップを作ることで、マニュアル化する範囲を明確にし、業務項目を洗い出していきます。 業務マニュアルを受託する場合、この業務マップ案までは弊社にて作成します。これがないと全体の見通しが立たないので、できるだけ早い段階で作成し共有することが大事だと思っています。 なお、作成したマップは基本概念の解説でも活用します。
事業マップ/業務マップのサンプルをもう1つお見せしましょう。
以下は介護事業における事業マップと業務マップの例です。
ここでは、事業マップを参考に、業務の一番大きな親区分を「業務区分」とします。業務区分ごとに業務項目の一覧を作り、各業務項目を定義します。そして、各業務項目ごとの業務プロセスを階層化します。
業務プロセスの階層化とは、業務項目を構成する作業を、3階層程度に分解していくことです。
*ただし、業務や作業によって深さは異なるので、単純に階層化しただけでは、粒度がばらつく場合がありますが、それを回避する方法についてはここでは省略します。
この業務プロセスの整理に使用しているのが、たびたびこのTipsでもご紹介している『業務分析フォーマット』です。業務プロセスの階層化と、作業の構成要素を洗い出すために使用します。
受託開発する場合は、このフォーマットの使い方を社内のプロジェクトメンバーの方にレクチャーし、社内で作業を洗い出していただくことが多いです。 ときには、弊社がヒアリングしながら作成することもありますが、いずれにしても現場の人に確認しながら作成していきます。
このようにして、業務と作業を洗い出します。
なお、この段階で、簡単な業務フロー図も作ります。これは 前回のTipsでもご紹介した簡易フローです。あくまでも業務整理段階のフロー図ですので、プロジェクト内で検討しやすく変更しやすいものにします。ユーザー向けの本格的なフローはドキュメント化の段階で作りましょう。
体系化したら、業務項目/作業項目が適切な名称になるよう調整します。親子関係が逆転したり、異なる作業に同じ名称をつけたり、同じ作業なのに名称が変わる、などということのないよう留意してください。
名称のつけ方については、 Tips16、 Tips17も参考にしてください。
標準となる作業手順を設定します。
基本と例外を切り分けます。
業務項目/作業項目が、どこからどこまでの処理なのかを明確にします。
以上が業務の標準化です。
このあと、業務マニュアルとしてドキュメント化することによって、標準化された業務を、誰でも"見える"状態にします。
いかがでしょうか。
弊社の場合は、あくまでも業務マニュアルの作成をゴールとしており、そのための標準化ではあります。『業務分析フォーマット』も、分析とはいえ業務マニュアルに情報を落とし込むためのツールです。業務改善を直接の目的としたものではありません。
よって、動作分析までは行いませんし、工程に要する時間も計りません。
それでも、一定レベルの標準化・見える化までが比較的短期間に行えますので、結果として改善箇所も発見しやすくなるかと思います。
参考にしてください。
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