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頼れる先輩からの一言

忘れられない言葉

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素材系メーカー 人事スタッフ(男性)  2006-12-22

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忘れられない言葉

私が入社した素材系製造会社では 新入社員時に、全員必ず(営業配属予定者も、物流配属予定者も総務配属予定者も例外なくすべて)最低1年間は、工場で勤務するという育成基準がありました。
私もそのルールにのっとり、入社初年度の1年間、地方工場に配属となりました。
大学卒業と同時に引越し、地方工場赴任後は学生時代とは大きく異なる、"早朝に起き、規則正しく会社に通い、始業前にはラジオ体操を行い、事務机に向かう"いう日々を過ごしました。

工場勤務時代、私は経理課に配属となり、まっさらな気持ちで作業実務を学びつつ職場に徐々になじんでいくこととなりました。
職場では、製造工法やライン管理技術、コスト管理手法など、新しい知識も入り、また日々出会う製造担当者、管理者、事務関係者、外部からの問い合わせ等も新鮮に感じられました。その一方、経理システムから仕訳法、パソコンソフトなど、いろいろなことを急に覚えなければならない羽目となり、頭の中が飽和状態になるまでそう長くはかかりませんでした。

就職活動の時に先輩方に、「普段はどれぐらいまで職場にいるのですか(残業するのですか)」と質問をすると、よく「上司の方針や職場によります」などと先輩方は答えてくれましたが、私が配属になった経理課は、本社との作業ラインの中で遅配など許されない状況にあり、まだ入社数カ月なのに真夜中まで残って作業を続けることもざらでした。
また自分の担当が早く終わった場合は、同僚や先輩に「何か手伝うことはありますか」と尋ねるのが常で、自分だけが早く帰宅することも許されない状態だったので、時々やりきれない気持ちになりました。
私の中では、新しい知識を吸収し、会社の中で与えられた仕事を責任をもってやり遂げるわくわく感も次第に薄れていき、入社3カ月を終えた7月上旬頃には疲れた状態で過ごすことが増えてきました。

そのような中で、私の指導担当として仕事面のサポートをしてくれたF先輩は入社時期は2年違いでしたが、私にとっては頼りになる神々しい存在でした。先輩を見ていると20代から50代までに及ぶ職場のメンバーの気持ちをうまく捉え、話を聞きつつ、淡々と自らの作業を進めています。また本社経理との連係から職場のこまごまとした事柄への相談対応、そして経理関係に詳しくない製造課からの相談まで、幅広く対応していました。

夏休みも近づいた7月下旬、そんなF先輩が私の様子を見にきてくれました。
F先輩「どお、初めて仕事をしてみた感想は?」
私「え、えー。まじめにやっているつもりなのですが、何かと慣れなくて。本当にいつもご迷惑おかけしています」
こんなやり取りをはじめ、数分話をしている最中に、F先輩は、私の心の中で意気消沈しているものを感じとったようでした。そして自分のパソコンに視線を戻しながらぼそっとこんな言葉をぼそっと言いました。
「はじめからできるやつなんて、どこにもいねーよ」
それは素朴な言葉でしたが、なぜか私の心の奥底から何かが目覚めるような感覚がしました。文字面でなくその言葉の意図するところが背骨に染みわたる感覚でした。

そう、新社会人の自分にはどこかおごりがあったのだ。新しいことにチャレンジする際には、自分の思い通りにならないことが多くても当然だ。置かれた環境や日々の出来事に一喜一憂するのでなく、自分が置かせていただいた職場で皆が互いに気持ち良く働けるように、1メンバーとして心配りをしたり、虚心になって、少しでも役に立てる存在になるように日々心がけることが必要なのだ。

そういった根底の部分がごっそり抜け落ちたまま、私は日々焦燥感に包まれて「ひとり」悪戦苦闘していたのでした。努力しているようでも、それは決してほめられる努力ではないし、自分自身としても成長の実感をつかむのが難しかったでしょう。

今思えば、先輩のひと言がきっかけとなって、このような考えが脳裏を走ったのだと推測しています。その日から私の肩の荷がすっと軽くなった感覚がして、私は春夏秋冬を新鮮な気持ちで過ごすことができたのです。
製造課からの問い合わせも苦にならなくなり、現場にもよく足を運びました。おかげで「お前は人なつっこい奴だ」と製造課でコーヒーをおごってもらうこともしょっちゅうになりました。
そして職場のメンバーをはじめ、工場の中でさまざまな友人を持つこともできました。

私の心の中でどんな変化がおきていたか、正確なことはわかりません。
ただ、私の脳裏に走ったような指摘を先輩がそのままの言葉で語ったとしても、おそらく私の心の中には反発心のようなものがおきて、きっと素直に受け取ることはできなかった気がします。

くだんの「はじめから出来るやつなんて......」という先輩のひと言は、私にとって、会社生活を通じて決して忘れられない言葉となりました。


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