No.64

作業マニュアルにおける写真画像の活用

category:ワンポイント/テーマ別

公開日:2023年 11月 21日

特に技能系の作業マニュアルでは、写真やイラストなどの画像が効果的ですが、注意事項もあります。今回は「写真」を活用する場合の利点と注意についてご紹介します。

写真画像を活用するには

写真画像を活用することの最大の利点は、状態をリアルに伝えられることにあります。
リアルという点では動画もそうなのですが、場面を切り取ることで、より焦点を絞って簡潔に表現することができます。
業務マニュアルや作業マニュアルの中で使うと効果的なのは、ビフォー/アフター、好ましい状態/好ましくない状態があります。
また、一連の動作の段階的な状態(結果)や要所要所のポイントを視覚的に伝えることもできます。
ただし、写真は手軽なだけに、多用するとスペースをとるばかりで全体の手順がわかりにくくなることがあります。
基本は、まず手続きを文章に起こしてみること。そして文章表現だけではわかりづらい部分を写真画像で補うという使い方がよいと思います。

撮影は2段階で

下準備としての動画を撮る(1回目)

もっとも、マニュアル制作担当者が現場の作業を把握できていない場合も多いでしょう。
そんな場合は、一度下準備として作業現場の動画を撮ることをお勧めします。
これにより作業の流れを把握し、マニュアルに必要な写真の見当をつけます。

作業マニュアル_写真撮影の下準備動画

動画はマニュアル制作担当者自身が撮影するのが望ましいのですが、それが難しいときは現場の人に撮影を依頼してもよいでしょう。その場合は、ただ作業の様子を撮るだけでなく、手順と注意事項を話しながら撮影してもらうよう依頼します。

必要な写真を撮影する(2回目)

下準備の動画を確認しながら作業を文書化し、必要なショットをピックアップします。
動画から良いショットが抜ければそれに越したことはありませんが、ただ漫然と撮った動画というのは、あまり役に立たないものです。下準備→本番の2段階が結果としてはやくて確実だと思います。

2回目では必要なショットに絞って撮影します。
撮影効率をあげるために、あらかじめどういう絵がほしいのかを設定して臨みましょう。
マニュアルとしての最終的な仕上がりイメージや写真の活用方法も具体的にしておきます(例図は、Webマニュアルにする場合のイメージ)。

Webマニュアルのページイメージ

例えば、作業者と作業対象の位置、カメラの角度、写す範囲(全体かバストショットか手元アップか)など、可能であれば、ラフでもよいので絵コンテを作っておくと安心です。
後で「たくさん撮ったのに使えるショットがない」とならないよう、できる限りの準備をしておきます。

写真を撮るときの注意

撮影方向を変えない

写真の撮り方そのものというより、マニュアルに掲載するという観点から注意事項をお伝えします。

一連の作業における動作を撮るときや、同じ系統の作業を撮るときは、できるだけ一定の角度から、一定の大きさで撮影するようにします。営業のロープレ教材など、ドラマ仕立てにするときはむしろアングルにバリエーションをつけますが、一連の作業プロセスでは、途中でアングルが変わると見る側が混乱しますので、注意してください。
図のBは手順3の角度を90度変えてみたものです。連続性が途切れ、わかりにくくなっている例です。

作業マニュアル_方向を揃えて撮影

不要なものを写さない

私たちは日頃、見たいものに焦点をあててものを見ていますが、写真はそこに存在するものをすべて写し撮ります。そのため、実際に写真を撮ってみると、思っていたイメージと異なることも多いかと思います。例のように、目の前に大きな脚立があっても気づかないことすらあります。
そこで、写真を撮るときは必要なものだけが写るようにし、極力不要なものが写り込まないようにしましょう。もちろんカメラの機能で背景をぼかすこともできるでしょうし、Photshopなどのアプリを使えば、後から切り抜いたり、写り込みを消したりなども手軽にできます。しかし手軽といってもそれなりに手間はかかります。撮るときに不要なものをよけるという一手間を行うことで、その後の作業が効率的になります。

作業マニュアル_余計な写り込み

現実として、マニュアル制作担当者がいきなり作業現場に行って撮影することは、簡単ではありません。現場では作業の手を止めることが難しいでしょうから、よほど撮影に協力的な雰囲気がないと、写す側が気後れしてしまい、撮り損ねることもあります。そのようなことを防ぐためにも、あらかじめ撮影の目的と、2段階で撮影することを伝え、承諾を得ておきましょう。
撮影を効率的に進め撮影もれをなくすには、一にも二にも準備が大事です。
あとは、現場の協力を得られるよう、日頃の人間関係も大事かもしれません。


*ここに掲載した写真は外壁塗装の作業例です。受託制作したマニュアルの画像は掲載できませんので、拙宅の外壁塗装を依頼した塗装店さんに、教材やサイトに掲載する前提で撮影許可をいただきました。ご協力に感謝いたします。

author:上村典子kamimura

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