No.07

業務マニュアルがなぜわかりづらいのか、を考える

category:考察等

公開日:2001年 08月 08日
更新日:2021年 06月 01日

「わかりやすいマニュアル」を作るために、「なぜわかりづらいのか」を考えたいと思います。

なぜマニュアルがわかりづらいか

私は、わかりづらさの要因は以下に集約されるのではないかと考えています。


  1. 目的があいまい。
  2. 仕事の整理がついていない。
  3. マニュアルの構成がよくない。
  4. マニュアルの表現がよくない。
  5. 伝達手段のミスマッチ。

1〜2はマニュアル以前の"そもそも"の問題、3〜4は作り方の問題、5は手段の選択の問題です。 さて、今回は1の「目的があいまい」という点について、少し考えてみたいと思います。

目的が明確なこと、そしてそれを維持すること

一言にマニュアルといってもさまざまな用途があります。それにより同じ内容でも作り方が異なってきます。 そこでまず、制作目的を明確にするのが重要なことはいうまでもありません。さらに、それを維持していく必要があります。

制作過程でのゆがみ

最初は目的がはっきりしていたはずなのに、作っていくうちに目的がどんどんゆがんでいってしまう......、こうした現象は、マニュアルに限らず何かしらのプロジェクトを進める上でよく見受けられることです。制作過程において複数の人が介在することにより、さまざまな意図が折り込まれてしまうからでしょう。 特に完成段階に近づいてきて、見やすくなってくるとともに外野の声も大きくなるから困ったものです。(もっとも全く横やりが入らない場合も問題ではあります。それだけ"わかりづらい"ということでしょうから......)
取り扱うテーマにもよりますが、複数の部署に関連する場合は特にこの傾向が強くなるといえます。
社内の制作担当者としては、職制的に「ノー」と言いにくい場面もあることでしょう。しかしいったん妥協を許してしまうと、初期の目的はなし崩し的にゆがんでしまいます。かといって、力づくで押し通すのが得策ともいえません。マニュアルは"作ったら終わり"ではなく、作った後に実務を動かしていかなければならないものだからです。関係者の理解と協力が得られないことには始まりません。
目的を見失わないためには、有効なアドバイスと気まぐれなノイズとを見極めていくこと。そして時には代替案を提示しながら周囲に説得をはかる必要もあるでしょう。マニュアル制作担当者は、このような社内調整に少なからぬエネルギーを費やさねばならないと思います。

制作後のゆがみ

一般に、業務マニュアルには改訂が伴います。業務が変更になる場合もありますし、マニュアルの不具合を修正する場合もあるからです。
いずれにしても、改訂とはよりよいモノに改善していくための作業のはずです。しかし現実には改悪を招いてしまっていることもあります。いったん制作した後、中途半端なツギハギが繰り返されることによって、だんだんとわかりづらいものになってしまうというケースは、決して珍しいことではありません。
例えば、新入社員向けに作られたはずのマニュアルなのにいつの間にか専門用語が多用されていたり、他のマニュアルとの重複箇所が増えて、それぞれのマニュアルの位置づけが不明確になったりなどがあげられます。
こうしたことを避けるためには、マニュアルを作った本来の目的が後々まで引き継がれるように、改訂のルールやしくみを設計しておく必要があるでしょう。(改訂に関してはまた改めて)

いずれにしてもマニュアル作りは、作るのも作った後も根気のいる仕事です。
個人的には、目的を維持しながら改訂を重ねていくのも限度があるだろうと思っていますので、数年に1度は全面的に見直しをされることをお勧めします。これはつまり、仕事の棚卸しを行うということでもあります。

author:上村典子kamimura

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