No.06

業務マニュアルは内部制作か外部委託か

category:考察等

公開日:2001年 04月 09日
更新日:2021年 06月 01日

「業務マニュアルを内部制作すべきか外部委託すべきか、ということで迷われる場合があるかと思います。そこで、簡単な比較表を作ってみました。
もちろん社内スタッフの実務状況や能力などにもよりますから、一概にどうとは言いきれません。異論もあることでしょう。ただ、一般的には以下のような傾向があると考えています。
なお、ここでいう内部制作とは、社内の実務担当者が作る場合をいいます。
(以下は2001年時点の内容です。ご了承ください)

内部制作の場合(社内の担当者)

外部委託の場合

適している領域

  • 本業の負担にならない程度のもの。
    (比較的シンプルなもの、ボリュームがないもの)
  • 専門技術に関するもの。
  • 複雑な処理。
  • 抽象的な概念を扱うもの。
  • ボリュームがあるもの。
  • 特殊な製作技術を要するもの。
    (翻訳、DTP、画像処理、HTML、印刷など)

費用

  • 担当者分の人件費と設備費がかかる。
    (ただし担当者が手空きならば埋没原価となる)
  • マニュアルを制作している間の機会損失は大。
  • 実務担当者の人件費に比べると、かなり割安。
  • 設備投資も必要ない。
  • 一般に費用対効果は高い。

制作期間

  • 日常業務が優先されるので、マニュアルは後回しにされがち。
  • 一般に時間がかかる。
  • 比較的短納期。
  • 段取り、スケジュールが明確。

品質

  • 担当者の力量に委ねられる。
  • 主観的になりがち。
  • 一定の品質を保証できる。(ただし、委託先によって得手不得手があるので見極めが必要)

制作上のメリット

  • 打合せ等の手間がかからない。
  • 改訂があった場合、速やかに修正をかけられる。
  • 利用者の視点にたって、客観的に作成できる。
  • 他社事例、他業界の知識から、幅広い視点で提案が可能。
  • 制作環境が整っているので、多様な表現、形態に対応できる。
  • 編集者、デザイナーなど、各分野の専門家を組織できる。
  • 他部署でマニュアルが必要になった場合に、連動が図れる。
  • 実務担当者が実務に専念できる。

制作上のデメリット

  • 実務をよく知っているために、以下の恐れがある。
    • 主観が入りやすく、それに対して修正がかかりにくい。
    • 専門用語を多用するなど、難解になりがち。
      (初心者のレベルにあわせて作ることが難しい)
    • 業務の矛盾点などに気づきにくい。
  • 一般に、マニュアル制作の環境や技術が十分でない。
  • ヒアリングや、打合せの手間を要する。
  • 委託先によって、品質の差が激しい。 (あたりはずれがある)

以上を総括すると、次のようにいえるのではないかと思っています。

*ご参考までに......

  • 定型的な業務または会社固有の専門技術については、構成と内容は内部制作し、必要に応じて部分的な作業(デザイン、印刷、HTML化など)を外部委託するのが現実的。
  • 複雑な処理、抽象的な概念を扱うもの、ボリュームがあるものなどは、企画・構成の段階から外部の専門スタッフに委託した方が費用対効果が高い。(ただし、委託先を吟味すること)
  • いったん制作した後のメンテナンスは、実務担当者が行えるのが理想的。

懸念すべきは「高いコストをかけたあげく、わかりづらいマニュアルを作ってしまい、さらなるコストを生み出す結果になる」という状況があることです。なお、基本的には人件費ほど高いものはないと思っています(もっともそれが余剰人員なら、埋没原価ということになるのかもしれませんが......)。いずれにしても、コストがコストを招くような悪循環はぜひとも避けねばなりません。

*コストについては以下を参照ください。

Tips03「わかりづらい業務マニュアルの弊害」

author:上村典子kamimura

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