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人事考課の舞台裏

人材会議

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シー・エフ・ツー 日高 之隆  2004-01-20

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人材会議

「人が人をみる判断基準なんて実にさまざまである」
毎年クリスマス時期になると、私が以前勤めていた会社のことを思い出します。
今回は、OJTとは直接関係ないのですが、人材育成の裏話として私の経験をお話しします。

その会社では、毎年1月1日が定期異動の時期で、異動の発表が12月24日と決まっていたので、陰ではクリスマスプレゼントと呼ばれたりしておりました。
1月1日の年度替わりから新体制でスタートするためです。

幹部や管理職の異動は、人事部で取り揃えた個人別人事データをもとに役員会で審議され、組織図とともに12月の初旬に決められていました。
一般職の異動は、管理職が決定した後、人事部が案をつくり役員会の調整を経て承認されます。これは12月20日前後に決まっておりました。
もちろん、管理職に昇進した空席の監督職や指導職の選定も含まれます。

人事部では、この資料づくりと異動案づくりは一大イベントであり、発表が終るまでの数カ月が、1年のうちで最も神経をすり減らす時期となります。

人事データには、年令や学歴、特技などの属人的内容や、社内職歴、人事考課履歴、専門分野特技、教育履修、適性検査や上司の特筆コメントなど、さまざまな内容があります。これらを写真付きの個人ファイルにまとめたり、役員会のオーダーに応じて順位ごとに並べ替えたり、いろいろと加工しなければなりません。
この異動会議資料を取り揃えるのに、数カ月前から準備し、蓄積し、更新していきます。
もしミスがあったら、社員の人生を狂わせかねない重大な問題ですから、大変神経をつかいました。

さて、一般職異動の人事部案をつくるときの話です。
人事部幹部で人材会議が開かれ、そこで議論します。
人事部長、人事課長、教育課長、厚生課長、企画課長、必要に応じて各課の係長クラスで構成されます。

係長を選任するときは現有の主任から、主任を選任するときは一般社員から、それぞれ一定基準をクリアした優秀な社員をノミネートし、1人ひとり吟味して選びます。
このポジションは今こんな問題を抱えており、来年はこんなことが課題だからこんな人材がいい、こっちはこんな人材がいい、といった具合に必要な人材像を絞ります。

各職場の必要人材像まではわりと早くコンセンサスが得られるのですが、それにふさわしい人材は誰かとなると百家争鳴、なかなかまとまりません。
皆さんそれぞれに人材に対する見方考え方が違っており、これほど違うのかと思えるほどです。

選考の一場面、
「この職場だけど、かなり荒れているみたいだね」
「課長と部下の間でうまくコミュニケーションが取れていないみたいですね」
「課長と課員の間をうまく取り持つつなぎ役がいないからですよ」
「昨年、○○係長を出したせいですよ」
「出したいといったのは課長本人だぜ」
「○○係長は力があったから、自分のポジションを脅かされるとでも思ったのじゃないかな」
「そんな課長が一番困るんだよな」
「それじゃ、どうすればいいかな」
「仕事はまあまあでいいから、皆をまとめられる親分肌の者がいいのでは」
「変な風に派閥にならないかな」
「親分肌と言うより、リーダーシップが取れる奴でないと」
「△△君なんかどうかな」
「彼はクセが強くて課長と合わんのじゃないかな。私は××君の方があのセクションには向いていると思うけど」
「課長のつなぎ役なら△△君でいいよ」
「つなぎ役だけで選ぶわけじゃないだろ。リーダーシップの問題として考えるべきだよ」
「彼は親分肌だし、リーダーシップはあると思うよ」
「人事考課や適性検査の結果ではそれほど評価されてないけどね。レクリーダーや宴会部長のカリスマというだけじゃだめなんだよ」
「彼だったらあそこをまとめられると思うよ」
「課題解決型のリーダーが必要なんだよ」

こうした議論の中で発見したのは、それぞれ自分自身の経歴や性格で、評価する人材像も大きく違っているということです。
例えば、営業畑を歩いてきたA人事課長は調整型であり、人当たりの良い温厚そうな人材を高く評価する傾向がある。
企画課長のH課長は論理性があり、積極的に自らリスクをとり、課題解決していくような人材を高く評価している。

最後は、どちらが声が大きいか、どちらが粘るか、人材選びにどれだけ執念を燃やすか、......結局は体力・気力でしかないような決まり方をするようなことがあります。
1つひとつの人事評価や異動手続きは正確に行われても、最後の判断のところではいかにあやふやな基準であることか。
もちろん、こんなことがすべてではありません。
他部署とのバランスとか、他の者との比較とか、他の社員の評判とか、およそ考えられるあらゆることを考慮しての判断ではあります。

しかし、こうして誰かが粘り強く推薦した人材が1人、また1人と、日の目を見ることになることは間違いないわけです。
その人材が真に優秀で、そのポジションにふさわしいのか、ミスキャストしていないか、それは誰にもわからないことです。

万人が認める人材になるにはやはりその後の個人の精進によるのでありましょうが、若い人材はこうした機会に豹変するのでありましょうか。


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