No.31

例えばパンデミックのような

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更新日:2021年 06月 01日
公開日:2008年 09月 18日

遠くない将来に起こるであろう大変なこと。そう聞いて何を思い浮かべるでしょう。地震などの天災やテロのような人為的災害でしょうか?

「起こるかもしれない」のではなく、起こることが確実とされている点では、新型インフルエンザの世界的大流行(パンデミック)も緊急性の高い現実的な問題と言えます。 日経ビジネス誌(2008年8月18日号)の記事によれば、この新型インフルエンザ発生に対し何らかの対策を施している企業は、上場企業のうち1割に満たないとのこと。中小・零細企業に至っては推して知るべし、でしょう。 今回は、例えばインフルエンザ・パンデミックのような事態に対し、マニュアルができることを考えてみたいと思います。

対策すべきか?

新型インフルエンザのようなリスクに対してどの程度の対策を行うかは、事業の性格により異なると思います。ライフラインを担う企業や、食品、生活必需品を扱う企業、海外に拠点展開している企業などにとっては、より深刻に受け止められていることでしょう。
一方、いったん発生したら影響力が大きすぎるため、「その時は諦めるしかない」という理由で「何も対策しない」という選択もありえます。
しかし取引活動は連鎖していますから、一企業が対策しないということは、その分だけリスクが拡大することは間違いありません。"予防"と"発生"において、何らかの対策を講じておくべきでしょう。
一企業が対応するには問題が大きすぎる、だから作らない、ではなく「まず作ってみる」ことです。例えば以下のような手順でマニュアル化することをお勧めします。

マニュアル化の手順

まず、対応すべき状況と対策項目を洗い出してみます。「状況」は時系列でとらえ、対策項目は企業が重視する項目を優先順位の高い順にあげるとよいでしょう。これらをマトリックスにしてみてマス目を埋めていくようにします。そうすると、決めないといけないところが洗い出されます。これらの問題を明らかにすることが第一の段階です。 例えば、出勤停止はどの段階か、事業所の閉鎖はどの段階か、操業再開はどの段階か、その手続きを誰がするか......といったことが検討できる状態にするわけです。 なお、インフルエンザ・パンデミックについては一時的な流行では終わらず、第2波、第3波が来ると予想されるので、その点も考慮する必要があるでしょう。

○状況

  • 海外でヒトからヒトへの感染が確認された。
  • 国内でヒトからヒトへの感染が確認された。
  • ......

○対策項目

  • 資金
  • 出勤
  • 出勤後の勤務
  • 設備
  • 賃金
  • ......

次に、どの程度の対策が必要かという目安をつけます。 全部の問題に対して対応できないにしても、自社なりに優先順位をつけて、徐々に対策を揃えていきます。具体的に、"予防"対策として何を行うか、"発生"対策として、どういう状況下でどういう行動をとるべきか、を決めていきます。

そしてこれらの対策をマニュアル化します、特に発生時の対策については、危機の状態に応じた行動基準をパッケージ化して明記しておくようにします。

マニュアルをどう使うか?

さて、緊急事態発生時は、通常の行動パターンをがらりと変えさせることになります。行動を変えさせるということは価値観とセットになっているので、口でいうほど簡単ではありません。 この点では、制度の移行時などもそうです。「移行マニュアル」などを作って、事業所ごとに説明会を開くなど、現場に浸透させるには相当な労力と時間を要するものです。
しかし、災害発生時はそんな余裕はありません。いざという時に即座に実行に移せなくてはなりません。起こってから読んでいては遅すぎるのです。そこが通常の業務マニュアル類と大きく異なる点です。発生してから参照するのではなく、むしろ危機管理体制を維持するための行動指針としてマニュアルをとらえるべきでしょう。マニュアルの使い方としては、"定期的"に以下を行うことが大切です。

  • 行動指針を確認・共有し、訓練すること。
  • 必要な備品が揃っているか、決められた日常行動のルールが守られているかなど、基準をもとにチェックすること。
  • マニュアルの内容を点検し改修すること。
  • ......

業務ノウハウのマニュアル化も

新型インフルエンザへの対策マニュアルはもとより、業務マニュアルもあわせて整備しておきたいものです。 業務担当者が出勤できなくなった場合、最低限の後処理を誰かが代わって行う必要があるかもしれません。その場合、いかに速やかに処理を完了できるかが重要となります。 また、パンデミックが終息し、事業を復旧しようとした場合、いったん縮小した体制から速やかに通常業務へと機能を回復しなければなりません。その場合、担当者が元の仕事に復帰できるとは限りません。特に仕事が属人化してしまっているような業務はボトルネックとなってしまいます。事業継続のために、早めに業務ノウハウをマニュアル化しておく必要があるでしょう。

最後に、実は弊社も新型インフルエンザへの対策を検討し始めました。弊社は研修事業も行っていますが、新型インフルエンザが発生した場合には当然研修どころではなくなることでしょう。新型インフルエンザは弊社にとって死活問題なのです。でも、どうにもならないから何もしない、と諦観するのではなく、できる限りの対策を行いたいと思っています。その取組みを気まぐれ歳時記でご紹介していますので、ぜひあわせてご覧ください。

author:上村典子kamimura

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