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新入社員に割り振れるような適度な難易度、締切の仕事が見つかりません。

私は社内教育・研修を担当しております。
OJT指導者から以下の質問を受けたので、お知恵を拝借したくご質問させていただきました。
新入社員は5カ月の研修期間を経て、今月よりOJT期間となります。しかし、新入社員に割り振れるような適度な難易度、締切の仕事が見つかりません。どのようにしたらよいでしょうか。何か良い方法があれば教えてください。
なお、5カ月の研修では以下のことを学習しています。
・ビジネスマナー
・パソコン基本操作、ネットワークの基礎、データベースの基礎、OSS/Linuxの基礎、プログラミングの基礎(COBOL、Java)
・プロジェクト開発の基礎

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もし私が教育担当者なら、このOJTリーダー(OJT指導者)の質問に対しては次のように回答します。
「必ずあります。考えてください。もし、すぐに割り振れる仕事がないなら、仕事を割り振ることができるように指導してください。それがOJTリーダーの役割です」
実際の場面では、OJTリーダーに前向きに取り組んでもらわないといけませんので、質問者に共感を示したうえで、もう少し言葉を選んで回答するとは思います。
しかし、すぐに仕事を担当させられないからOJTリーダーを選任しているわけですから、こういう場面ではやや強めの回答をすることで、OJTリーダーの役割を意識づけしていくことも必要かと思います。少し具体的に解説します。

まず、新人が配属される職場は、人手が不足しているか、今は足りていても今以上に業務量が増大していくと予測される職場のはずです。そのため、仕事自体はたくさんある、という前提に立って構わないはずです。その溢れた仕事が新人でも担当しやすい仕事かどうかは、職務の性格や職場状況によります。
しかし、どういう状況であれ、それぞれの職場条件の中で新人を育成するために工夫するということに関してはどの職場も同じです。

OJTリーダーが担う新人の育成には、3つ程度の目標があります。
まず、配属されてきた新人を職場に適応させること、第二は新人に何らかの業務を担当させることができるようにすること、そして第三はその業務の担当者として自分で仕事を回せるようにすることです。
仮に、単純な繰り返し作業が膨大に存在している職場があったとします。その場合、すぐに新人に仕事を割り振ることはできますが、作業ばかりで時間がつぶれてしまい、第二、第三の目標を達成するのは苦労します。逆に質問されたOJTリーダー(指導者)の職場のように、簡単に新人に割り振れる仕事がない職場も確かに存在します。そのような職場は、第二の目標までの距離が長いことを意味していますが、この距離が長いほど具体的な指導計画を組んで取り組む必要が強くなります。
つまり、それぞれの職場にはそれぞれの難しさがあり、それぞれの条件の中で工夫しなければならなりません。この点ではどの職場も同じだと教えてあげるべきかと思います。
さて、先ほどの新人育成の3つの目標に照らして、今回のご質問で関連が深いのは第二の目標にいかに到達するかという点かと思います。この目標を自転車に乗 れるようになるまでに例えると補助車をつけて乗れる状態となります。そこに到達するまでは一人で乗せると危険ですので、サドルのまたぎ方やハンドルの持ち 方、あるいはブレーキのかけ方やベダルの踏み方を教えることも必要ですし、(路上以外で)二人乗りして感覚を覚えさせたり、自分が荷台に座って一緒に漕いだりと、つきっきりで指導する期間が必要です。
また、車の運転に例えるなら、第二の目標は仮免許の状態となります。自転車に比べると技能が複雑で危険度も高いので、より長い期間、教習コースのような模擬的な環境でつきっきりの指導が必要になります。
つまり、新人に仕事を割り振ることが難しい職場は、自転車よりも車の運転に近い職場と言えます。そのため、つきっきりでの指導期間も長く必要ですし、それを効率良く習得させるために工夫された指導計画も必要ということになります。

これらの指導に時間を要する職務はどの企業でも増えており、複合的な技術や技能を必要とする受託開発系の職務や企画提案やコンサルティング要素を含む折衝・ コーディネート型の職務などが該当します。システム開発の仕事は前者に含まれますが、他の職種と比べると必要な技能や技術の定義が進んでおり、仕事の結果 もチェックしやすい分だけ、実効性のある指導計画は作りやすいほうかと思います。
とは言え、実際の仕事では品質的にも厳格で、納期的な余裕がある仕事も少ないはずですので、それを新人に割り振るのは簡単ではありません。しかし、何らかの形で要素的な技能を習得させない限り、いつまでたっても仕事を割り振れるようにならないので、何らかの作業を準備してやる必要があります。これには3つしか方法はありません。

1)納期がないか、十分余裕がある仕事を準備する。

2)模擬的な課題を準備する。

3)自分が担当している仕事のうち、部分的な作業を切り出して渡す。

このうち、1)は無いという前提ですが、新人の配属が決まった段階から所属長や他の職場メンバーに聞いて探すと案外見つかります。例えば職場内で使うちょっとしたシステムだったり、手が空いたらそのうちやろうと思っていた改修のような仕事です。また2)は新たに作るのでなく、過去に終わった仕事で構いません。できれば、必要な技術要素をコンパクトに体験できるよう、要件をアレンジしてやるとベターです。しかし、ここまでは収益貢献が乏しく、実践的でも ありません。そこで、どこかで3)をやることになります。ただしこの場合、本当に新人に分担してしまうと仕事に穴を開ける危険性があるため、新人に渡した仕事は必ず自分でもカバーする腹づもりでいることが必要です。
また、自分でやってしまえば数時間で終わる作業なのに、新人にやらせようとすると解説資料を準備し、その仕事の背景や全体像から解説し、新人がやってる間 は常時質問に対応し、終わったあとに内容を検証して場合によっては全部自分でやり直すなど、数倍の時間と労力を要してしまうことを覚悟する必要もあります。
しかしこれも、新人を育成するためには必要なプロセスですし、どの会社のOJTリーダーもやっていることなのです。

以上、長くなりましたが、「何か良い方法はないか」というご質問に対し、まず教育担当者としての受答えの仕方や姿勢について触れ、後半で新人に仕事を割り振 るまでの進め方に関して記述してみました。冒頭の受答えの仕方のところでは、「それを考えるのがOJTリーダー(指導者)の役割だから、やってください」 と原則的な回答を紹介しました。
しかしながら、ただやれというだけでは教育担当者(もしくは会社)としては無責任ですし、指導経験が少ない人にはハードルが高いと感じる人も出てきます。 そのため、やはりOJTリーダーに対して何らかの研修を設けたり、マニュアルやツール類を提供してやる必要はあるだろうと思います。貴社においてもそのこ とを意識し、現在「四半期に1回のOJT指導者のミーティング」を開催されていることと思います。そういう機会は非常に貴重ですし、そのなかでOJTリー ダー(指導者)同士の情報交換や相互アドバイスの場を設けていくと、ある程度は解決できるのではないかと思います。

*高度熟練技能を要求される職務も新人がすぐに担当できませんが、そういう職務は技能者としてのステップを踏むので、新人の段階ではそれなりに担当できることがある場合が多いようです。


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