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新入社員研修コーナー 考察

新入社員教育についての考察(2)

新入社員研修コーナー
1.研修期間 6.導入研修での実施項目
2.研修のスタート日 7.ビジネスマナーの定着
3.合宿研修 8.フィールド実習
4.外部機関の利用 9.少なくなった講座
5.長期間研修する場合のカリキュラムの組み立て 10.茶髪対応
11.新入社員をどう育てるか


7.ビジネスマナーの定着

ビジネスマナーはどの企業でも一通りは行っているようですが、力の入れ方はかなり差があります。 販売業、サービス業などの接客業務が中心となっている企業では、新入社員研修の中でも中心テーマとなっていて、徹底するまで何度も反復訓練を行っています。教え方についての工夫も多く、ノウハウもあるようです。
一方、形式程度にしかやっていない企業もあります。どちらかというと技術系の企業やメーカーでも川上に位置する企業では力の入れ方は弱いようです。ただ、それらの企業でもすごくマナーがよいところもあります。傾向としては、業種の問題よりも、閉鎖的な業界だったり競争にさらされていない企業では問題意識が低いように感じます。
マナーが定着するかどうかは、職場での実状が一番影響が大きいと言われます。つまり、せっかく教えても配属先ではその通りにやっていないので、誰も実践しようとはしないということのようです。
しかし、それより私が重要だと感じるのが、研修期間中の教育スタッフの姿勢のようなものです。外部の講師にマナーは教わったけど、自社の教育スタッフがその通りやっていないと「やらなくていいんだ」ということが伝わります。また、マナー研修の時間ではちゃんと見本を見せて教えても、その後の時間で教育スタッフが実践してなかったり新入社員ができていないときに注意しないと、やはり身につけようとはしません。
ビジネスマナーを定着させようとするなら、研修の期間中を通して習慣づけることが大切ですし、期間中は教育スタッフ全員が意識して、また他部署から講師として来てくれる人にもお願いして、率先して教科書通りの手本を示し続けることが大切だと感じます。

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8.フィールド実習

教室を離れて行う講座を取り入れている企業も少なくありません。パターンとしては、オリエンテーリングや歩行ラリーなどに代表される問題解決とチームワークを目的にしたものと、工場実習(見学)、営業実習、市場調査のような事業への関心や知識を高めることを目的としたものなどです。
いわゆる野外研修は、学習効果が高いという評価がある反面、運営が難しく、どうしても専門機関に委託するケースが多くなります。それなり費用がかかる研修となっていましたが、採用数が減少した企業では1人当たりのコストがかかりすぎるというような理由でやめてしまったところもあるようです。
また工場や物流センターなどでの体験実習も受入側の問題で難しくなってきているようです。分社化されるなど体制が変わったこと、省人化や機械化が進み体験できる作業が少なくなったこと、品質管理が厳しくなったこと、現場に出すにはそれなりの教育が必要な反面、教えるための人員的な余裕がなくなったこと、などなどの側面が見られます。
企業としてCSのレベルをあげ市場要求に応えていくには、自分の仕事の川上の工程や川下の工程に関する知識の必要性が高まっているのに、逆にそのための体験をさせづらくなったというジレンマがあるように感じます。
営業実習や販売実習は今でも多くの企業でやられていると思いますが、同行させている程度で、新人に担当させることができる部分はさほど多くはないようです。
市場調査は、全員で行く視察に近いものと、グループに分かれて顧客の店舗や競合店を調べてくるというスタイルのものがあるようです。
また、何かのテーマだけ与えて街に出し、調べてこれたことをまとめさせるというフィールド調査のような講座を取り入れているところもあったようです。これは自社事業に直結した知識を身につけるのでなく、市場からものを見る目を養成したり、仮説検証型の学習スタイルを身につけさせるというのが目的とされていましたが、「半分はお遊びだね」というふうに評価される方もいました。
こういうゲーム性のある講座はトレーナーによって効果に差が出やすい側面があるのも確かですが、結構いろいろなものを学べる要素はあると思います。しかし、学習効果が具体的でないものは、継続していくのが難しいのかもしれません。

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9.少なくなった講座

ついでに、一時は流行ったけど、最近聞かなくなったというものを少しあげてみたいと思います。

●パソコン、ワープロ研修。
学生時代にほとんどの人が身につけているので必要がなくなったということのようです。最近は社内ネットのしくみとルールの解説だけをすれば十分という話も聞きます。あとは各職場で指導できる人がいるし、できない人は全社員向けに開催される講座に個人で応募できるようにしているそうです。

●社内取材と広報物作成。
チームにわかれて社内の各部署を取材に行き、それを模擬的な社内報や会社案内のようなものにまとめるというものです。
これは一時話題になりましたが、最初の数年は新鮮でも、何年かやっていると各部署からのクレームが多くなり、やれなくなったというような話を聞いたことがあります。

●その他ゲーム系
いろいろありましたが、話題になっては消えていくような気がします。
やってるほうに飽きが来るのでしょうか? 世代が変わって受講者受けしなくなったのでしょうか? 最近、新たに流行っているものもあるようですが、その効果についてはあまり情報がありません。
一方で、コミュニケーション、チームワークなどをテーマとした、1時間ほどでやれる定番のゲームは根強く残っているようですが…。

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10.茶髪対応

茶髪の新入社員をどうやって指導すれば茶髪をやめさせることができるのか、ということで苦労されている企業が多いようです。
同世代で髪を染めている人が数パーセントという時代ならともかく、今や全く何も染めてない学生の方が仲間内では変人だったり、感性が鈍いという時代のようです。つまり、茶髪の問題は、企業社会の価値観と若者の価値観が乖離してしまっている象徴的な例かもしれません。
学卒の新入社員は、就職活動の間にある程度企業社会の論理を受け入れ、茶髪で入社してくる社員は少ないようですが、それでも茶髪のままの人は、それなりに自分の主張を持っています。高卒の人は、もともと企業の論理に抵抗感が強かったり、卒業後に校則から解放されて染めてきたという人もいるようです。
いずれにしても頭ごなしに茶髪は禁止、と言っても簡単には納得しないようですし、社内を見渡せば女性だけでなく男性も染めている先輩社員が少なくないようで、強くは言えない実状もあるようです。
「何でいけないのですか」「仕事とは直接関係ないでしょ」「女性がよくて男性がダメというのは差別です」「上司やお客から外見で判断されると言っても、そういう人の見方は偏見です」
などなど、出てくる意見はどれも反論しづらいものばかりです。

説得の方法としては「よく話しあう」ということに尽きるようです。
例えば、自社が相手にしているお客さまという視点を与え、いろいろな価値観を持ったお客さま全てに不快感を与えないようにするにはどうあるべきかというような対話です。
しかしこれだと、工場などでお客さまとも接さず、帽子やへルメットを被っている現場はどうなのかとか、当てはまらないケースも出てきます。
結局突き詰めると自社内の価値観と方針であって、どちらが合わせるべきかという議論になってしまい、教育スタッフにとっての決め手となる方策は無いようです。
どうしても、会社の価値観に合わさせたいのなら、採用時の雇用契約で合意しておく以外に無いのかもしれませんが、それだと今いる社員はどうなのかとか、有能な社員が逃げるのではないかとか、また違った問題が出てくるかもしれません。

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11.新入社員をどう育てるか

さて、一番重要な問題を最後に残しました。
かつては学生から組織人へということに主眼が置かれ、そのためにマナーを教え、規則を教え、組織に同質化させることに力を入れていたように感じます。
しかし、バブル景気の前ごろから、組織があまりに同質化しすぎたり、指示待ち族が増えたりしたことへの反省が語られるようになりました。また、個性とか創造性とかいう言葉が多く使われるようになって、新入社員研修にも違った要素を持ち込むべきだという意見が多く聞かれました。
「自分の頭で考えることができる人材」「自律的な人材」「問題解決力をつけさせる」「情報化時代に対応できるようにする」「ビジネスマインドを養成する」などなどです。
しかしながら、いろいろな試みはされてきたと思いますが、ここ数年の不況を背景に後退してしまったり、掛け声だけで終わったりで、具体的なノウハウは蓄積されてきていないようにも感じます。

一方で組織の側にも自信の無さのようなものを感じます。
一昔前のような同質化教育をやっていいのか。
教科書通りに教えると、職場に配属されたあとにギャップに苦しむんじゃないか。
個性を尊重し、主体性を持たせるような教育をすると、配属後にアツレキを生むんじゃないか。
また、本当にそれで大丈夫なのか、結局本人が損をするんじゃないか。
基本動作をしっかりたたき込むことが重要になってきているけど、どこまで要求していいのか、個性を殺さないだろうか。 などなどと。

そうして数年おきに、あるいは担当スタッフが替わるたびに、新入社員研修の見直しをかける企業は多いようですが、なかなか大きく変更することはできずに終っているのが現実のようです。
新しいものを少しでも取り入れると、教材やレッスンプランも作り直す必要が発生しますので、一気に大きく変えるのは難しいという側面もあるかもしれません。

どういう研修が望ましいのか、もっと効果がある変わった研修はないかという質問については、私たちも明快な答えを持っているわけではありません。同じことをやっても合う企業、合わない企業がありましし、一つの企業でもうまくいく年次とそうでない年次もでてきます。
結局は試行錯誤しながら自社としてのノウハウを作っていく以外に無いとは思いますが、2つほど重視して欲しいことがあります。

1つは、自社にとって重要だと思われる基本事項については、妥協せず、習得できるまで徹底的に指導すべきということです。自社にとって重要な基本事項というのは、安全であったり、品質であったり、顧客志向であったり、マナーであったり、コスト意識であったり、事業特性によっていろいろだと思います。あるいはマニュアル的な手順をしっかり覚えることであったり、逆に全てに疑問をもって探求する姿勢だったりするかもしれません。
これらのうちどれを中心に据えるかは、世間一般ではどうしているかということより、我が社は何を重視するべきかと主体的に考え、それを信じて教えることが大切なような気がします。

もう1つは、新人のときにこそ、できるだけ高いレベルを要求して欲しいということです。新入社員研修から職場に配属されてしばらくの間は、緊張感もあり、最も多くのことを吸収できる時期です。頑張らなきゃという意欲も最高レベルになっているはずです。少々ハイレベルのことを要求しても以外とあっさりクリアする人も出てきますし、他の体験がありませんのでそれが会社なんだと自然と受け入れてしまいます。
逆に要求するものが簡単すぎたり、何でも手取り足取りやってもらえて、フォローもしてもらえる環境になじんでしまったら、会社ってそんなもんかという感覚が身についてしまいます。
この初期キャリアの段階で身に付いた意識は、その後の職業人生の中で大きく影響し、なかなかそこから脱することが難しいようです。
ハイレベルのことを要求すると言っても、押しつけたりスパルタ的にやっていいというわけではありません。また、ついてこれない人もでてしまいますので、落ちこぼれそうな人達の学習ペースに根気強くつきあってあげる必要もでてきます。
接し方はフレンドリーに、しかし要求は落とさずハイレベルに、というようなスタイルで研修を進めることができたら、持っている能力を最大限に引きだすことが出きるのではないかと思います。


以上、明快な解答もないまま、評論的な内容になってしまいましたが、一箇所でも参考になるところがあればと思います。

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