- はじめに
ここ数年、企業の教育スタッフの方から新入社員教育についてよく質問をいただくようになりました。
90年代初頭までは、「うちはこうやっている」と自慢話めいたことを聞くことの方が多かったのですが、最近では迷っておられる企業の方が多いのかもしれません。
考えてみるとこの間、採用抑制の時代があり、処遇方針が能力主義から成果主義へとシフトし、人材への価値観も変化し、教育コストの効果を問われるようになり…と、どこに軸足をおいて教育すればよいのか判断がしずらくなっているのかもしれません。
そういう質問を受けるようになって気づいたことがあります。新入社員教育については、教育機関も、プロの研修講師にも知識やノウハウが少ないようです。あるのは、ビジネスマナーを中心とした2日間程度のプログラムの進め方くらいで、新入社員研修全体というところには、そのイメージすら持っていないようにも感じます。
というのも、新入社員研修全体の企画と運営はほとんど企業内でやられています。外部の教育機関は、その中のいくつかの講座を細切れで請け負っている程度です。仮に一括で受託しているようなコンサルタントがいたとしても、新入社員研修は同じ時期に実施されるため、複数社を請け負うことはできません。ノウハウがたまらないのもうなずけるところです。
そこでここでは、改めて新入社員研修について整理してみることにしました。
と言っても、私どもにも総合的なノウハウが無いのは同じで、以降の記述は日常の活動の中で企業の方から断片的に聞いたり、相談を受けた内容をまとめたものです。どちらかと言えば教育熱心な企業が中心で、統計データに基づくような正確なものではないことをご了承ください。
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