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人事部や労務担当部署が考え、あるいは主催する「福利厚生的な社内研修」 というようなものは行われているものでしょうか?

業務にかかわる研修は各社で盛んに行われていると思いますが、人事部や労務担当部署が考え、あるいは主催する「福利厚生的な社内研修」というようなものは世の中で一般的に行われているものでしょうか?
どのような研修がどのような層を対象にどのくらいの費用をかけて行われているものなのか、イメージがありましたら教えてください。(病院 事務)

前提条件として

まず、前提条件として2点ほど整理しておきたいと思います。1点目は、「福利厚生的な社内研修」が指す範囲についてです。
ある研修が業務なのか、厚生なのか、線引きが難しいところがあり、企業内でも「それは人事がやるべきことなのか」というような議論がよくなされます。ある いはその2面性をもった内容の研修もあります。
そこでここでは、「福利厚生的」の半範囲を以下のようなものを想定しながら記述することにします。

  • 会社への入退職時の事項に関するもの
  • 個人の生活に関するもの(住宅、結婚、出産、育児、教育、介護、死亡など)
  • 本人の健康に関するもの(保険、病気、ケガ、入院、災害、健康管理)
  • 財産形成、融資などに関するもの
  • 本人の人生設計に関するもの
  • レクリエーションに関するもの
  • 教養に関するもの

2点目は、「世の中で一般的」という言葉です。企業内の施策の充実度は、各企業によって大きな差があります。
特に人事労務関連の施策は、企業規模や社歴、労使関係によってかなり違いがあります。 そのため、これが一般的です、と言い切るのは難しい面があります。
そこでここでは、数百人以上の企業で、上場しているかそれを目指している企業など、比較的労務政策に力をいれていると感じられる企業に限って記述したいと 思います。

全般的な傾向として

まず、「福利厚生的」なものが研修からまったく除外されているか、少しでも意識されているかというところで線引きするなら、後者のほうが主流だ と思います。
まずほぼやっているはずのものは、福利厚生に関する「会社の制度」の説明です。これは入社時の研修の一コマとしてやっている程度というのがほとんどです が、何かを徹底しないといけないとき、制度を大幅に改定したときなどは、管理者研修の中でも1時間ほど時間を割いて実施しているケースがあります。

また、教養的なものや健康管理に関するものなども取り込まれています。
自己啓発系の研修制度の場合、その対象とする講座を、業務直結だけというところよりいくぶん広く捉え、取り込んでいるケースが多いようです。
これは趣味の講座なども取り入れることで、制度そのものの魅力を上げ、社員の制度利用率を上げようというねらいもありますが、業務と直結していなくても人 間としての幅を拡げることが将来的に会社のためになる、という考え方をされているところもあります。
ただ、援助率の方は100%会社負担とは行かず、一定割合、あるいは案内だけというケースなどさまざまです。教養や健康管理という面では、社内に著名な人 をまねいた講演会のようなものを時たま実施しているというケースもあります。 例えば、何かの定期的な会合で毎回講演者をまねいている様なときに、経済 人、コンサルタント、などを何人かまねいたら、ときには「くだけたもの」という感じで取り混ぜてやられていることもあります。

テーマ別に見て

各社で比較的多くやられているのは、定年退職が近づいた方々に対するライフプラン(人生設計)の研修などがあります。
この中では年金、財産と生活資金、退職後の生活、家族生活、健康管理などが取り上げられています。
この手の研修も、定年直前の方を対象とした退職手続の説明会を中心としたものから、57歳時、55歳時、〜40歳時くらいまで、企業によりどこを対象に集 めるかはさまざまです。
年齢が高いところを対象とした研修ほど厚生の色彩が強く、若くなるほど、自分の人生を見通してもう一度仕事で頑張ろう、という労働力の活性化の意味あいが 強くなっているようです。

また健康管理に関するテーマの講座も増えているようです。
もともと工場や物流などの作業系の職場では、何らかの形で意識づけのための機会が設けられていたようですが、従業員の高齢化が進むにつれて、ホワイトカ ラーも対象とした講座が組まれるようになってきました。
テーマとしては、腰痛対策、成人病対策、そしてストレスマネジメントなどです。腰痛対策、成人病対策などは、人事が行なう研修というより健康保険組合など が希望者を集めたサービスとしてやっているケースが多いようですが、ストレスマネジメントなどは研修の中の1コマを使ってやるというケースも多いように感 じます。
これらは、健康管理を目的に研修を実施するというより、研修の機会を利用してやる、といったほうが正確かもしれません。

上記のようなテーマは、中規模程度の企業までは人事部門の主催でやっているようですが、一定規模以上になると、人事部門から機能分化した、共済 会、健康保険組合、厚生年金基金などの主催へとシフトさせていっているようです。
これは、部門の役割の問題に合わせ、予算制度の問題、税制の問題なども関係していると思われます。

近年の傾向として

バブル期頃までは、福利厚生的なものでも社員に有益なものは能力開発側に取り込んでやっていこうという考え方があったようです。
しかし、ここ数年福利厚生費の増大が企業の大きな問題となり、その改革に取り組む企業が出てくると、能力開発費全てを福利厚生費の一部と捉え、福利厚生側 に能力開発を取り込んで行こうという動きが出てきました。
具体的には、福利厚生制度にカフェテリアプランを導入し、業務と関連する研修であってもカフェテリアのメニューの1つに位置づけてしまうというやり方で す。
これにはまだ賛否両論ありますし、一般的な動きにはなっているとは言えませんが、成果主義人事が浸透し、日本版401Kが本格的になるころには真剣に議論 されてくるのではないかと予想されます。


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