弊社へもっともお問い合わせをいただくのは、やはり製造業のお客さまです。 化学、金属、食品、飲料、工作機械と様々ですが、どちらかといえば装置産業に属する業種が、(なぜか)多くなっています。 ご依頼内容は研修や講演会単発でのご依頼も多いですが、
というご相談も少なくありません。
化学、金属を取り扱うお客さまの場合は、原料の投入やサンプル・製品の取り出し、包装作業時などに、液体や粉末の飛散等が発生するため、大変汚れやすい現場が多く見受けられます。 また構内は広く、ポンプやモーターが外にむき出しで置かれているため、雨やほこりで サビやペンキのはがれが発生しています。 反応炉は高温になっているため原料が付着すると固まりやすくなっていますし、作業終了後の洗浄ではゲル化した製品等がパイプに詰まってしまったり……と、5S活動に取り組むのも容易ではありません。
そのため、本来は自主保全活動や生産性向上のための改善活動に取り組みたいのですが、 いきなりそんな高いハードルを持ちだしてしまうと、現場の意欲が高まらず活動は一向に進まないばかりか、反発を招き、途中で頓挫してしまうケースが多いようです。
このような時には、まずは5Sの基本となる「整理・整頓(2S)活動」からスタートし、次に清掃……というように、一つずつ階段を着実に登っていただくような活動をご提案させていただいています。 活動の導入時にはキックオフの集合研修を実施しますが、その後は2〜3カ月のサイクルで各現場を巡回し、改善指導したり、ヒアリングやアドバイスを行っていきます。
2S活動も、まずは整理活動にだけ焦点を絞り、不要品をピックアップ・廃棄、不急品を管理することで、職場内にいかにムダなモノが多いのか実感できますし、スペースも確保することができます。 整理で3カ月程度、そこから整頓に入りますので2S活動で約1年、が一つの目安です。 (書類の細かい部分まで、となるともう少しかかります)。
確かに本来の目的である活動に到達するためには、一見、遠回りの活動のように思えます。 (実際、お客さまからも、もっと期間を短くできないか、というご要望をいただく場合もあります)。
しかし活動を混在・並行して実行してしまうと、個々の活動が中途半端になってしまいますし、全体での進捗状況を把握することができなくなり、結果、積み残し課題も多く目立ってしまいます。
またモノの2Sは進捗状況と成果が目で見て分かりますので、やっている職場とそうでない職場の差は歴然とします。
まずはある程度の労力と手間をかければ、確実に成果と効果が実感できる「モノの2S」からスタートすることで、達成感を得ることができます。 これらの積み重ねによって、現場の動機づけも少しずつなされますし、競争意識やアイデア発想も芽生えやすくなります。そして次の目標(ステージ)も明確になります。
また、“汚れやすい職場”があるのも事実です。これらは積年の汚れがそのままになってきた経緯もあり、それらを改善するには、それ相応の活動時間を与えてあげる必要もあると考えます。(思いきった設備の更新や投資ができれば別ですが)
一つ一つの活動を着実に実行し、5Sの価値や成果を実感しながら、意識を高める……。 ご依頼いただいた製造業のお客さまには、このような活動をご提案させていただいています。