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1.新入社員研修の概要

更新 2006.07.26(作成 2002.02.07)

はじめに

ここ数年、企業の教育スタッフの方から新入社員教育についてよく質問をいただくようになりました。
90年代初頭までは、「うちはこうやっている」と自慢話めいたことを聞くことの方が多かったのですが、最近では迷っておられる企業の方が多いのかもしれません。
考えてみるとこの間、採用抑制の時代があり、処遇方針が能力主義から成果主義へとシフトし、人材への価値観も変化し、教育コストの効果を問われるようになり…と、 どこに軸足をおいて教育すればよいのか判断がしずらくなっているのかもしれません。

そういう質問を受けるようになって気づいたことがあります。新入社員教育については、教育機関も、プロの研修講師にも知識やノウハウが少ないようです。 あるのは、ビジネスマナーを中心とした2日間程度のプログラムの進め方くらいで、新入社員研修全体というところには、そのイメージすら持っていないようにも感じます。
というのも、新入社員研修全体の企画と運営はほとんど企業内でやられています。外部の教育機関は、その中のいくつかの講座を細切れで請け負っている程度です。 仮に一括で受託しているようなコンサルタントがいたとしても、新入社員研修は同じ時期に実施されるため、複数社を請け負うことはできません。 ノウハウがたまらないのもうなずけるところです。

そこでここでは、改めて新入社員研修について整理してみることにしました。
と言っても、私どもにも総合的なノウハウが無いのは同じで、以降の記述は日常の活動の中で企業の方から断片的に聞いたり、 相談を受けた内容をまとめたものです。どちらかと言えば教育熱心な企業が中心で、統計データに基づくような正確なものではないことをご了承ください。



研修期間

研修期間については、1日だけというところから半年間くらいまで、幅広く耳にします。
漠然としたところで言えば、1週間程度という企業が一番多いのではないかと思います。 さらに10日程度、2週間程度、3日間、4月いっぱい、5月中旬まで、3ヶ月間などと続きます。
ただしこの研修期間の概念は、お答えいただく方によってまちまちです。人事部門が主催する集合形式の研修だけを指している場合や、 仮配属、正式配属までの期間を指している場合、また配属後に行われる各部門での研修も含めている場合、さらには1年間は人事部門が 人件費を負担しているのでその期間は研修期間とお答えになることもあります。
また、1つの企業でも職種によって研修期間が異なることはよくあり、事務系は1週間、技術系は6ヶ月という企業もあるようです。
業種で言えば、システム関連、メインテナンス関連の企業が比較的長く、卸系の企業が短いように感じます。 ただ、卸系でも医薬卸のように幅広い商品知識を必要とする企業では決して短くはありませんので、 どのくらい充実した研修ができるかはむしろ企業の体力の問題なのかもしれません。

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研修のスタート日

4月1日の入社式に引き続き、という企業が一番多いようですが、3月21日あたりからはじめる企業も少なくないようです。 これは、4月分の給料の対象期間との関係ではないかと思われます。
中には高卒は入社日前、大卒は入社日後という企業もあります。高卒を早めに開始するのは基本動作を身につけさせるのに手間がかかることや、 大卒と分けて実施するときに会場やスタッフの都合で大卒と時期をずらさざるを得ないなどの理由のようです。面白いところでは、 卒業式からの期間をあけすぎるとトラブルを起こす確率が高いとか、入社式のときに役員さんの前できちっとお辞儀が出きるようにさせるため、 という話も聞いたことがあります。
これは高卒の方々を低く見ているということではなく、これまで学んできていないだけで、その分じっくりと研修をしてやれば大丈夫という ことなのだろうと思います。

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合宿研修

合宿形式の研修を入れるかどうかはまちまちのようです。1週間以上の研修が組まれている場合はどこかで数日間の合宿をやるケースが多いようです。 また、研修センターを持っている企業は1ヶ月缶詰めというところもあるようですし、配属先が広域に渡る企業は合宿でないと研修ができないという理由も あるようです。
かつては自衛隊研修や禅寺研修などをやっている企業が多かったようですが、最近ではあまり聞かなくなりました。しかし、それらの研修を入れていた 目的は残っていて、入社日前後に合宿を入れられる企業は、最初に生活習慣を改めさせたいからと言われるところが多いです。
一通りの研修を終えた後に、4月の中旬とかゴールデンウイーク開けに合宿研修を組まれている企業があります。カリキュラムの関係と言われる 企業が多いようですが、中にはバブル期の大量採用時代に研修会場が予約できず、しかたなく時期をずらして合宿をやったことの名残りだけかなと 思える企業もなくはありません。
入社から一定期間後に行われている合宿研修のテーマはまちまちですが、入社直後の合宿研修が規則正しい生活習慣に戻すことが念頭に置かれてい るのに対し、夜に課題をいっぱい与えて寝せないようにするプログラムも見られます。
こちらは、きつい思いをさせて達成感を味合わせたり、協力して課題に取り組むことで一体感を醸成したりするねらいがあるようです。

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外部機関の利用

どの企業も、新入社員研修はできるだけ内部でやろうと考える傾向があるようです。しかし一方で社外の人の話を聞かせたいとか、 社内ではできないプログラムを受けさせたいという理由で、一部の講座を外部講師に依頼されるケースも少なくありません。 研修全体に変化を持たせようという意図もあるのだと思います。
専任の教育スタッフがいない企業や手薄な企業でも、一部の講座を外部に委託されます。 この場合は、社会人としての自覚作りからビジネスマナーあたりを依頼されているケースが多いようです。
委託先は大手の教育機関だけでなく、銀行や生保などの金融機関、取引先や系列のメーカー筋で講師がいるところ、 個人のコンサルタントや会社の顧問の先生、会社のOBなどいろいろのようです。また、外部の利用というのとはちょっと違いますが、 著名人やある分野で活躍されている人を招いて講演会をやっている企業もあります。
採用数が若干名の企業では、公開セミナーを利用されるケースが多いようですが、逆に採用数が一教室に入りきれない人数(60名以上)になると、 複数の教室を運営するために外部に委託せざるを得ないという企業もでてきます。 この理由で委託する場合は、多少講師料が高くても複数の講師をコーディネートできる大手機関が中心となっています。

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長期間研修する場合のカリキュラムの組み立て

研修期間が長期にわたる場合は、カリキュラムの組み立てに苦労されているようです。特に部門や職種によって必要な研修期間が異なる場合は 調整が難しいと聞きます。
またパソコン研修や機材の利用方法を教える実習などで、一度に実施できる人数が限られる講座があると組み立てが難しくなります。
以前は、男女で講座を分けて、男性が営業実習をしている間、女性は接遇とパソコン研修というような組み立てが主流でしたが、 改正雇用機会均等法以降、男女で講座を分けることができなくなり、現在はいろいろと知恵を絞って実施しているのではないかと思います。 また以前は、全体での導入研修と現場実習が終わると各職場に配属し、あとはOJTを中心に進めるケースが多かったようですが、 最近では職場に配属してしまう前に、部門での研修を充実させようという企業が増えているように感じます。これは各部門での業務の高度化が進み、 人事部門だけでは対応できなくなってきているという理由や、カンパニー制などの導入でカンパニーでの人材育成意識を高めようというねらいもあるようです。
しかし、部門での導入研修をやろうとすると、全体での導入研修とどうしても内容が被ってしまいます。ですが今のところはそれをうまく調整して時間効率を 上げようとするより、教えるべき項目がもれるのはまずいが二重に教えるのは構わないと割り切って進めている企業の方が多いのではないかと思います。
こうして見ると、一番充実している企業のパターンは、『全体での導入研修』→『(全体での現場実習)』→『各部門での導入研修』→『職種別の実務(技能)研修』→『配属後のOJT』という流れになっているようです。


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