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取引先とのコミュニケーション

業者さんへの対応に見る2人の先輩

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制作会社(女性)  2011-06-28

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業者さんへの対応に見る2人の先輩

昔、精密機器の組み立てメーカーに勤めていたときの話。
その会社では本業のかたわら、技術系の情報誌も出版していた。当時出版部の人間は、新人の私を含めて5人。OJTリーダーと呼べる人はいなかったが、Sさんという26歳の女性が何かと面倒をみてくれた。今思えば、みな技術には詳しかったが編集制作についてはかなり外部の業者さんに頼っていた。印刷所の営業さん、制作会社のライターさんは、毎日のように出版部に来ていたので、もはや出版部の一員のような感じだった。ときどきは一緒に食事に行ったりもした。

そんなある日、某大手出版社からEさんが転職してきた。まだ30歳と若いのだけど、大手で8年の現場経験があるということで、すぐに我が出版部のリーダーになった。

Eさんは、前職のスタイルをこの会社にも取り入れようとした。
先輩達は本当はどう思っていたかわからない。でもみんな「大手出版社がそうしてるなら......」ということで、Eさんに面と向かって反対する人はいなかった。
業者さんに対しても対応がガラッと変わった。Eさんは「取引先が固定するのは慣れ合いになって良くない」といって取引先の見直しにかかった。そこまではまぁ納得できたのだが、さらにEさんは業者さんにずいぶん厳しい仕打ちをした。
毎日毎日、Eさんの怒声が響く職場になった。印刷所の営業さんを捕まえては「何やってんだよ。こんなミスありえないだろう!」と顔を真っ赤にして怒る。「お金払ってんだから、ちゃんとやれよ!」とか......。
「ビジネスなんだからさ、外注は叩いて叩いて使うもんなんだよ」と自慢げに言うEさんに、ひどく違和感を感じながらも、一方で新人の私は「そんなものなのかなぁ」とも思っていた。Eさんは他の人に対しても、もっと厳しく接するようにと指示をした。
しかし人間とは恐ろしい。半年もすると職場内にEさん流がしみついて、あんなに優しい雰囲気だったSさんまでもが、業者さんに怒声をあげるようになったのには驚きだった。そういう自分もできるだけ厳しく接するように努力してみた。後味の悪さを覚えながら......。

ときどき、Eさんはあまりに理不尽だと思うことがあった。ある日「一緒に渡した写真原稿がなくなった!」と騒ぎ立て、印刷所の営業さんをひどくなじった。しかしその後、写真原稿はEさんの机から出てきたのだ。翌日「すみません。隅々まで探したのですが......」と恐縮する営業さんにEさんがかけた言葉は「わりい、あったわ」の一言だけ。また、「今すぐ来て」と呼びつけておきながら自分は外出してしまい、ライターさんを2時間近く待たせたりもした。
そんなEさんだが社内の人に対しては友好的だった。なので「ちょっとやりすぎじゃない?」と冗談ぽく言う人はいても、本気で注意する人は誰もいなかった。

Eさんは、気に入らないことがあると次から次へと業者さんを変えていった。取引先が固定するのは問題があるのかもしれないが、こうコロコロと業者さんが変わるのでは何かと面倒で構わない。本当にこれでいいのだろうか。
そんな疑問を感じながら2年経った頃、私は独立した先輩Fさんに引っ張られてその会社を辞めた。
転職先の会社は数名の小さな制作会社だった。私は発注する側から下請け側に立場がかわった。ただ、印刷とデザインは外部に委託していたので、発注側にも立つ。
Fさんは、業者さんに対して丁重に接する人だった。またこんなことも言った。「お客さんはお金をくれる。外注さんはうちの利益を守ってくれる。外注さんのノウハウがあってこそ事業ができているんだよ」私は、前職で感じていた違和感に答えが出された感じがした。
転職先の会社では、取引先の人たちが本当に親身にやってくれた。例えばこんなことがあった。翌朝印刷にかけるはずのデータが壊れてしまい、にっちもさっちもいかなくなったとき、印刷所の人が無償で、しかも夜を徹してデータの復旧を手伝ってくれた。先輩が言う「利益を守ってくれる」という言葉が身にしみた瞬間だった。もし前の会社だったら、こんな献身的な協力を得ることは決してなかっただろう。

それから1年後、前の会社の同僚と食事に行く機会があった。そのとき「ほらこれ、見てよ」と、最近発行したという情報誌を手渡された。それはあまりにひどい出来だった。以前私がいたときよりも素人くさい仕上がりだ。やっつけで作ったとしか思えない。
「え?あの厳しいEさんの部隊だよね?」
「結局、業者さんもどんどん入れ替わるもんだから、品質がだんだん悪くなってるんだよね。Eさんは相変わらず怒鳴り散らしてるけど、結局これだもんね、そろそろ左遷だって噂だよ」
そうなのか、まぁそうかもしれないな、と今は合点がいった。

しかしもしあのまま会社を辞めずにいたら、新人だった自分はEさん流に染まっていたかもしれないと思うとぞっとした。小さくて苦労も多いけど、今の会社に転職してよかった。そうでなければ人間性を欠いたまま、それに気づかずに過ごしていたかもしれない。
立場がどうであれ、まずは人として礼を尽くすべきである。そうでなければ決していい仕事につながらない。以来、それが私の信条になっている。
そして当時、理不尽にきつくあたってしまった業者さんに対してお詫びを伝えたい。


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