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仕事の厳しさを教わる

じわじわ効いてくる老オーナーの知恵

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製薬会社 利根 光  2009-04-08

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じわじわ効いてくる老オーナーの知恵

高校生のころ、個人経営の小さなスーパーでアルバイトをした。オーナーで鮮魚をさばく旦那さんと、総菜担当の奥さん、青果・レジなどを受け持つパートのおばちゃんが5〜6人、娘さんを入れた学生アルバイトが15人ほど在籍していて、常時10名以下で回すコンパクトな店舗だった。
オーナーは教育熱心で、いわゆる「ほうれんそう」=報告・連絡・相談についても、ここではじめて教えられた。いつも眉根を寄せた厳格なオーナーと、ダンスが趣味のほがらかな奥さんの組み合わせ。奥さんは「自分たちのお店を持つのが夢だった」と語っていた。脱サラして開業したオーナーが、サラリーマン時代に吸収した知恵を生かしつつ日々奮闘していたことが、社会人になった今わかる。

オーナーの話の中でいちばん印象に残ったのは、採用直後のこんなやりとり。
「本当は時給650円なんだけど、利根くんはよく働いてくれそうだから700円にしよう」
「ありがとうございます」
「ただしその分はしっかり働いてもらうからね。まずは常時駆け足から」
「駆け足ですか」
「そう。バイトの求人を出すと、最近の若い人たちはすぐに時給を聞いてくる。そういうことではいけない。自分が相手に何を提供できるかを考えてその対価を要求すべきだ。"私は○○をします、だから時給は○○にしてください"と自分から言えばいいんだ」

時給の交渉はアルバイトには荷重だと思うけれど、お金をもらう以上、それに見合う働きを心がけなければならない。
しかし生来機動性に欠ける私は、走りながら角を曲がろうとして豆腐を床にクラッシュさせる失態を二度三度と重ねた。向こうから来る人に激突したことも一度ではなかった。時給50円アップがために並足禁止とは! 自分の不注意ではあるけれど、かえってロストが多くなるのではないか......。しかしオーナーはロストよりも懸命さを重視し、叱ることはなかった。

ほかにも、こんな話があった。
「レジ残金の不足はきわめて深刻だ。たとえばレジから1円なくなったとしよう。この1円を利益として出すためには(電卓をパチパチ)○○円の売上がなければいけない。逆にいうと、たった1円でもなくしてしまったら○○円分の売上がフイになる」

当時はよくわからなかったが、売上と利益の関係について説明してくれていたのだ。ほかのバイトでは「絶対に金をなくすな!間違えるな!」と脅されるか、「過不足が出るのはしょうがない」と慰められた?ことしかない。オーナーはバイトの子たちに、お金の重みとつながりを教えたかったのだと思う。あれから何年もたって会社に入り、PLやら損益分岐点やらに触れ、ようやく理解することができた。

ここのスーパーの時間管理は1分刻みで、勤務した時間はすべて給料に反映された。早く出れば出ただけ、遅く残れば残っただけ甲斐があるかわりに、タイムカードに打刻した瞬間から駆け足が始まる。
「利根くんはよく働きそうだから」という期待の言葉とインセンティブにかえって息が詰まり、玉砕した豆腐が申し訳なかったのもあって、じきに辞めることになるのだが、「働いてお金をもらう」ということについて熱心な指導を受けられたのはありがたかった。
未だに、"私は○○をします、だから給料は○○にしてください"とは言えないけれども、以前教わったことが経験を通じて腑に落ち、強化されてきたのを感じる。

桜の季節。新入社員の皆さんが、これまでの生活で得た知識を裏打ちする、あるいは刷新するような経験に出会うことで、さらに成長されるように。楽しみながら働いてくれることを願います。


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