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遠慮と配慮

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ナビゲート[お]  2008-11-21

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遠慮と配慮

これは、私が初めて勤めた会社での忘れられないエピソードです。

私は、歯科の専門学校を卒業後、歯科補綴物(ほてつぶつ)を製作・加工する歯科技工所というところに入社しました。その年は、私を含めて2名が採用されました。歯科製作はいくつかの分野に分かれているのですが、私は小児歯科と審美歯科に興味があり、希望どおりの補綴製作部(小児・審美歯科含む)へ配属されることになりました。

入社の日、新入社員に対して2人の指導担当者が紹介されました。
私の指導担当者は物静かでクールな感じのAさんでした。もう1人が快活で陽気なBさん。紹介された先輩は全く違うタイプでした。
一通り、会社と業務内容の説明をしてもらった後、新人2人に当面の仕事としていくつかの作業が割り振られました。私の主要な仕事は模型づくり(作業模型の製作)になりました。模型づくりとは、歯科医院からきた患者さんの模型(歯型)を元に、補綴物の製作をしやすいようにするための作業です。おおよそですが、私は1日50〜60人分の模型づくりをすることになりました。

模型づくりの流れを簡単に説明すると、以下の通りになります。
まず、歯科医院から送られてくる下記の2点がセットで送られてきます。
1.患者さんの石膏模型
2.歯科医院名・患者名・模型の状態などが記載された指示書(どんなものを製作するのか明示してあります)
そして、間違った模型が来ていないか、足りない添付品(対合歯、参考模型など)がないか確かめます。その後、患者さんの口腔内を再現するための交合器という装置に模型を固定して作業完了になります。
この作業は歯科製作の基本であり、全ての製作の前準備となる作業です。実際に患者さんの口腔内に装着される補綴物を作る作業ではありません。しかし、この模型づくりで失敗してしまうと、もう一度患者さんから同じ型を取ることになるので、非常に重要な作業になります。つまり、模型づくりの作業を終えて、初めて患者さんの口腔内に入る補綴物の製作に取りかかることができるのです。

もちろん、模型づくりは学生のときに何度も経験していました。ただし、それは既製模型(練習模型)での製作。臨床(実際の現場)の模型づくりはなかなか難しく、指導担当のAさんから学生時代の復習も兼ねて一から教えてもらうことになりました。
1週間が過ぎ、模型づくりに慣れてきた頃、私はある光景を目にしました。たまたまAさんの作業を見ていたとき、私が前日作業した模型に手直しをしていたのです。私は、何かミスや不備があったから手直ししているのかと、ちょっと聞いてみようかと思ったのですが、忙しいのもわかっていたのと集中しているAさんの姿を見て遠慮してしまいました。それからも、Aさんが手直しする姿を数回見たのですが、私に直接注意や指摘をしないってことは、今のところさして問題はないのだろうと思うだけで、その場は流してしまいました。

入社してから1カ月が過ぎたころには、模型づくりに関してはかなり自信がついてきていました。振り返れば、少し気になることもありましたが、大きなミスもなく作業時間もかなり短くなっていました。
私は、模型づくりはバッチリ!早く患者の口腔内に装着される補綴物を作りたい!それが仕事だ!なんて思い始めていました。
そんな折、Aさんと2人で残業をしていると、Aさんから「模型製作はできるようになったね。じゃ、少しずつだけど俺の仕事を分けていくよ」と言われました。
私は内心、ハイきた!そろそろ実際の捕綴物を作らせてくれないかなぁって思っていましたよ!と完全に舞い上がってしまいました。

Aさんから、次のステップに進む話があった矢先、事件は起きてしまいました。
ある日、いつもどおりの時間に出社すると、すでにB先輩が出社していました。私は、「おはようございます!!」と挨拶をしたのですが、挨拶がかえってきません。おや、何かがおかしい。いつもは「おはよう!」とさわやかな挨拶で返してくれるのに......。
先輩の机には、前日に私が作った作業模型が机いっぱいに並んでいました。そして、私の机の横にある納品棚には、袋詰めされた完成品が置かれていました。そうか、先輩は徹夜だったのか。どうりで、ご機嫌ななめなわけだ。私は、Bさんが疲れているのだろうと思い、配慮して声をかけませんでした。
それから、清掃を終え、自分の席で仕事の準備をしていると後ろの方から
「これじゃ、仕事になんねーよ」
という声と同時に、ガン!!模型を机に叩きつけるような音がしました。
振り向くと先輩の顔は見たこともない怒りの表情になっていました。そして、叩きつけた模型は、私が昨夜製作した作業模型でした。まさか自分が原因だと微塵も思っていなかったので、
「どうしました?」と訪ねると、
「自分で手に取ってみろよ」という言葉が返ってきました。
Bさんの席まで行き作業模型を調べると、いつも着脱できる部分が外れない状態になっていました。その数は20人分もありました。当然、次の作業を行えません。
確かに、前日はいつも以上の患者数の模型を作りました。でも、製作過程に抜かりはなかったことを思い返し、私のせいではないですよというメッセージを込めて、
「いつもどおりの作業をしました」と言うと
「じゃあ、なんで?」と強い口調で返ってきました。
私にも理由が見当たらず、少し強い口調で「わかりません!」と返答しました。
先輩も徹夜明けで疲れている上に、新人が作った作業模型がどうにもならないこと、私の受け答えも重なったため表情から憤りがうかがえました。いよいよ、2人の間が険悪な雰囲気になったころ、玄関のドアが開き社長が出社してきました。社長はすぐに場の空気を察し、開口一番「何かあったの?」と私たちに問いかけてきました。

その後、Bさんと私が一連の経緯を話すと、社長は
「技工や技術には、言葉じゃなかなか伝えられないこともあるんだよ」
「失敗しなければ気づけないことはまだまだたくさんあるよ」
「確かに模型づくりを失敗してしまうと、その時点で先には進めないからね。ドクターにはもちろん、患者に一番迷惑がかかるからね。たかが模型づくりされど模型づくり」
私は、模型づくりの重要性はわかっていたつもりでした。でも、社長の話を聞いて、大事なことを忘れてしまっていたことに気づかされました。また、ここ数日の間、浮かれていた自分を反省しました。
模型が着脱できなかった原因は、手順ではなく塗布する分離材の量が少なかったことでした。分離材は、筆を使って塗布するのですが、分量にして数ミリ。目視では塗られているかわからないくらいの差でした。
それ以降、Bさんとは何でも話す間柄になりました。年齢が近かったのもあり、私にとって職場の"兄"のような存在として、公私ともにとてもよい関係を築くことができました。

この一件で私が考えさせられたのは、指導を受ける側としての"遠慮と配慮"です。入社から1週間が過ぎた頃、Aさんが私の作業の手直しをしていたときに、その理由を聞かなかったことは遠慮だったのではないかと思っています。
確かにAさんに手直しの理由を聞いていてもこの失敗は起こっていたかもしれませんが、あのとき新入社員として遠慮はせず、気になったなら聞くべきだったなぁと思います。

相手への配慮を忘れずに。新人だからこそ遠慮せずに......


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