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社会人としての心得とマナー

何も教えられなかったOJT

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会社役員(男性)  2007-01-30

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何も教えられなかったOJT

私が経営する会社では昔から中途者を積極的に採用する傾向にある。
その理由は、経験者が他社で得た実務スキルがそのまま当社の財産になるという点はもちろん、社会人としての心得やマナーなどの基本研修にかかる時間を大幅に省けるメリットもあるからに他ならない。

ちなみに、当社のこれまでの採用実績から見ると、中小企業の出身者は社会人マナーや心得などの基本研修が少々不十分なものの、比較的実務経験値の高い人が多い傾向にあった。
大企業の出身者はその逆で、基本研修はこれ以上ないくらいきっちりと受けている人が多いものの、その反面、実務経験の幅や業務的な視野が狭い人が多い傾向にあった。

これは、それぞれの組織の特徴を考えれば納得させられる結果だと思う。
大企業の場合は資金も予備人員も豊富なので、研修には時間とお金をかけられる。しかしその反面、組織が大きい分どうしても個人の担当業務の幅は狭まってしまう。
中小企業の場合は、組織が小さければ小さいほど何でもやらせられるために様々な実務経験が積める。しかしその反面、たとえ新卒であっても何カ月も基本研修に時間をかけてられないという事情がある。

当社の規模は中小企業と呼ばれる部類に入るが、実は採用後の教育課程においては、このどちらのケースにも対応する用意がある。
いや、あるはずだった。あの時までは。

以前の当社のやり方は、採用した人材が中小企業の出身者であれば研修にできるだけ多くの時間をかけ、残りはOJTを通して実務に慣れてもらいながら都度覚えていただく。また、大企業出身者の場合は、マナーや心得といった研修は最低限のものだけにし、主にOJTを通した実務教育に力を入れて育てるやり方であった。
しかしながら、出身企業に合わせた柔軟性を持つ教育プログラムで効率化を計ったものの、とある採用にてこのやり方がまったく当てはまらず失敗をしてしまったことがあった。

今でこそ当社のスタッフには高い社会性と業務経験を伴う人材が多く在籍しているが、創業間もない当社は、募集してもなかなかライトスタッフと呼べる人材が応募してこない事が悩みのタネであった。

そんな折、募集広告を見て応募してきたA君。
履歴書を拝見すると、誰もが知っている一部上場企業に新卒で入社し、そこのシステム開発部で5年ほどSEを担当していたようだ。
その後短い期間に4社転職している点は少し気になったが、人柄はそれほど悪くはなさそうに見えた。

面接は、「大企業出身者なのだから社会人マナーや心得は問題ないだろう」という思い込みにより、そのあたりをろくに確認せずに進めてしまい、最終的には『3カ月の試用採用期間後に正社員登用』という条件にて採用通知を出すこととなった。

前もって言い訳をさせていただくと、あの時は1人でも多くプログラマが欲しかったという受注状況もあった。また、何よりも彼が基本研修を大幅に短縮できる大企業出身者であったことで、当時欲しかった人材の条件にマッチしてしまい、私の判断基準を狂わせてしまったのだと思う。

そして当初の予定通り彼には、初日に1時間程度の簡単な社内研修を受けてもらい、その後すぐにもOJTを兼ねた通常業務に入ってもらうことにした。

で、私の期待のホープだが、実はその初日からいきなり20分ほど遅刻してきた。

最初からいきなりクドクド言って「何だこの上司」と思われるのも嫌だったので、話しかけるタイミングを選び、明るくさり気なく切り出してみた。
「今日は少し遅くなっちゃったみたいだけど、もしかして電車とかの遅れかな〜?」
すると一言。
「いや、寝坊ですが?」

フムフム、なかなか度胸はあるようだ。
こういったキャラなら多少は強く言っても大丈夫だろう。
次に何かあった時は少し注意も交えながら言う事にしよう。

が、次のチャンスは1日と空けずに到来することとなる。
出社2日目は約15分の遅刻だった。
が、相変わらず彼に悪びれた様子はまったく見えない。

今度は少し口調を強めて言おうと思っていた。
しかしながら、この時点ではまだ彼がライトスタッフだと信じて疑っていなかった私は、「きっと彼なりの特別な事情があるのかもしれない」と思い、優しく聞いてみる事にする。
「初日から2日続けて遅刻してるわけだけど、何か特別な事情でもあるのかな? もし個人的な悩み事とかがあれば聞くけど?」
すると一言。
「いや、単に朝が弱いだけですが?」

フムフム、彼はなかなかの大物のようだ。
次の機会には多少強く言う事に決めた。

が、また1日と空けずにチャンスは到来する。
出社3日目に30分遅刻してきた彼。 他のスタッフの前では彼も立場がないだろうと思い、出勤したら会議室に呼んで少し長めの講義でもしようと考えていた私は、自席を立ち彼のところまで歩き出した。

が、その移動中、私は信じられない光景を目の当たりにする。

彼は自分の席に着くなり、おもむろにコンビニの袋から唐揚げ弁当と紙パックのピルクルを取り出し、優雅なお食事タイムに突入し始めたのである。
「な、何してんの......?」
「いや、今朝は時間がありませんでしたから、そこのコンビニで朝食を買ってきたんです」
「遅刻してるのにコンビニ寄ってたわけ? つーか、何で今飯食ってんの?」
「あれ?研修で伺った話では、休憩の1時間は各自の仕事の進行に合わせて、いつでも好きな時にとってよい、との事でしたが?」

その瞬間、何かが私の中でハジけた。

「仕事の進行に合わせてって、まだ今日はまったく仕事してねぇーだろーが!! しかも初日から3日も続けて遅刻して平気な顔してんじゃねーよ!!」
と叫びながら、弁当を持つ彼の腕を蹴り上げ、私物のカバンと飲みかけのピルクルを窓から外にほおり投げ、彼の胸ぐらをつかみながら玄関まで引きずってゆき背中を蹴り飛ばし、言った。
「二度と来るんじゃねー! これまでの給与だって払うつもりねーからな!」

たぶん目の前にいる私ほどどう猛な人種を彼は今までの人生で見た事がなかったのだろう。
鬼のような形相で予測のつかない恐ろしい行動に出る私に対し、ご飯粒まみれでワナワナと恐怖している彼。
その彼の姿を見て、「あースッキリ」と心の中で思う自分がいた。

と、そこで空想の世界から我にかえる。

目の前にはまだ優雅に弁当を食っている彼がいた。
深呼吸して動悸を整え、
「ちょ、ちょっといいかな?」
と彼を会議室に連れてゆき、そこで改めてきちんと説教をする。

が、グダグダと言い訳ばかりする彼。

「ダメだこりゃ」って事で、試用期間中でもあった期待のホープには3日目にして早くも舞台からご退場いただく事となる。
もちろんこの期間の給与は現金で手渡し、購入済みの定期代もきっちり支払った。

当然ながら、今回のケースで一番責められるべきは採用担当者である私であり、「大企業出身者なので研修に時間をかけずにすむ」という安易な発想のもとに彼を採用してしまったことがその原因だったわけである。
その点については退社してもらった彼にも、当時在籍していた全てのスタッフにも申し訳なく思っている(つまるところ本記事は私のざんげなのかもしれない)。

ただ、彼のケースでは教育以前の問題もあったので、「基本研修に時間をかければこういった問題は出なかったのか」と聞かれれば、その答えは『NO』だったと思う。
しかしながらこの一件の後、当社の基本研修に関する方針は変更を余儀なくされることとなる。
たとえ大企業の出身者であっても最初の基本研修に時間をかけるようになったのはもちろん、各上司にはOJTを通し、必要に応じてマナーや心得なども部下に伝える事を意識させるようにしたのだ。
しかし一番の変更点は、私1人で人事採用を担当する自信が無くなったため、面接を他の責任者にも手伝ってもらうようになった事かもしれない。

会社の方針とはこのようなケースを乗り越えながら徐々に修正されてゆくものなんだと、経営2年目にして私が初めて教えられた出来事でもあった。


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