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No.34マニュアルは日本をダメにする?

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2009年3月17日

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少し前の記事ですが、2008年11月3日号の「日経ビジネス」の巻頭で、慶應義塾大学名誉教授の村田昭治氏が『戦後、日本を悪くしたものが3つあります。「能率」「マニュアル」「標準化」です』と書かれていました(インタビュー記事かもしれませんが)。
この記事の主旨は、『マーケティングは「愛」がなければいけない。カスタマーハピネスを追求すべき。経営側の都合を優先するような効率化路線が、商売のコモディティー化ひいては人間のコモディティー化を招いてしまった』といったことなのだろうと思います。
それについて否定するつもりはありません。ただ、それを招いた要因としてマニュアルが名指しされていることには、少々違和感を覚えました。

村田氏の批判の矛先は、フランチャイズ展開や店頭サービスのことであり、そこでのマニュアルとは作業手順書をイメージされているのだろうと思われます。マーケティングの専門ではないので、ここでは記事に対する反論というよりも、マニュアルの役割について考えてみたいと思います。

マニュアルはムダを省いてムダを生む

業務マニュアルの直接的な目的の1つに、ムダを削減し、効率化を進めるということがあります。しかし、マニュアルは"ムダ"を生み出すことにも貢献しています。

一言でムダといってもさまざまな解釈があります。ミスの後始末や手戻りというレベルもあれば、試行錯誤や創意工夫の過程で発生するムダもあると思います。個人的には、創造性とは制約とムダの上に生まれるものと考えていますが、マニュアル化することの一番のメリットとは、この"創造につながるムダ"を生み出す余力を得ることだろうと思うのです。その点についてあまり目が向けられないのはつくづく残念です。

業務には標準化できる部分と標準化しづらい部分とがあります。
限られた時間と労力の中で、標準化できることをどんどんマニュアルに落とすことによって、余力を「標準化しづらい仕事」に振り向けることが可能になります。この「標準化しづらい仕事」とは個別性の高い分野であったり、未知の領域であったりしますから、大いに試行錯誤や創意工夫が行われるべき部分です。
市場競争の中で個性を発揮するには、どの領域で試行錯誤をするかを決めることと同時に、それを行える余力を生み出すことが必要なのだろうと思います。
多くのムダのなかから、少しずつ共有すべき価値が沈殿する。その沈殿を練り上げて企業のノウハウにすることがマニュアルの役目の1つ。それによって新たな沈殿を促すことがもう1つの役目になろうと思います。
サービスの硬直化を招くのは、マニュアルを作ったからではなく、むしろマニュアル化を継続する努力を怠っているからではないでしょうか。
村田氏が批判されたのは、1つにはこうした状況を嘆いてのことではないかと想像します。

問題はミスマッチであること

また、マニュアルがマイナスに働いてしまう要因として、目的に対して作り方がミスマッチであることも挙げられます。
業務には、個人に「考え判断させたい」部分と「判断させてはいけない」部分とがあります。
前者で必要なマニュアルは「判断基準」となるものです。めざす状態や優先順位、権限範囲といったものが明示されているからこそ、個別対応の判断が可能になります。
これに対し、個人の判断に任せてはいけないものについては「手順」にまで落とすべきでしょう。これは会社の約束ごととして確定させる必要があるものです。特に品質や安全に関るものについては手順が重要になります。

マニュアル化する場合、このような目的と手段を履き違えてしまうと、「考えるべきところで考えず、判断してはいけないところで判断してしまう」事態をもたらしかねません。

例えば接客サービスにおいて、顧客へのきめ細かな対応を重視する場合、少なくとも以下のようなマニュアルの整備が考えられます。
まず初期教育用のマニュアル。標準話法や対応についてはある程度手順化しておく必要があるでしょう。これは、顧客の満足を引き出す以前に、不満を引き出さないようにするための最低限のスタートラインとなるからです。
とはいえ、現場では日々さまざまなお客さま、さまざまな場面に遭遇します。そのような状況下で必要になるのが「判断基準」です。どこに軸足を置くのか、何を優先すべきか、どこまで対応できるのか、そうした基準をマニュアル化しておくことで個人の創意工夫が会社全体としてのサービスとして生きてくるのだと思います。

この場合、個別状況下の対応についても逐一手順化しようとするのは現実的ではありません。まして判断基準が存在しないままに手順化を図ろうとするのはナンセンスな話です。
一方、判断基準までを個人の裁量に任せてしまうのは危険です。人によってサービスにバラつきが生じ、カスタマーハピネスどころか、不信感を招く恐れがあるからです。
このような誤ったマニュアル化は、村田氏の批判する"人間のコモディティー化"ということにつながってしまうのかもしれません。
しかし合目的的に作られたマニュアルであれば、決してカスタマーハピネスを阻害することはなく、むしろその創出に大いに貢献できるものと考えています。

氏は、『マーケティングは「愛」』と言われていました。業務マニュアルはその「心」を実務に折り込んでいくものでありたいと願います。
制作に携わる者としては、マニュアルに対しての批判を真摯に受け止めながら、これを企業活動の足かせとするのでなく、成長の原動力にできるよう努めていきたいと思います。

author : 上村典子 

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