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[K] 仕事・職場

小さな会社を経営していると常に不安があります。そのうち世の中の流れから取り残され、事業がダメになってしまうのではないという不安です。特に、業務マニュアルや教材制作に関連する情報技術の分野では、ちょっと気を抜くとあっという間に遅れてしまいそうな恐怖心があります。
そうは言っても最新の技術を常に取り入れていくのは簡単ではありません。そこで、新しい技術や製品が出たらムダでもいいから、取りあえず入手し、どんなものか、見るだけでも見ておきたいという衝動に駆られます。
そう、ムダになっても、使えなくても、新しい技術には常に触れておく必要があるのです。

ま、言い訳はこのくらいにして......。

9月の上旬。その日はアメリカでAppleのイベントがあり、新しいiPodが発表されると噂されていました。相変わらず深夜まで仕事をしていた私は、仕事の合間にAppleのサイトや IT系のニュースサイトをのぞいていたところ、ある時間からぞくぞくとそのイベントの速報の記事が掲載されはじめました。
目を引いたのは何といっても iPod touch 。 iPhone と同じマルチタッチスクリーンの iPod で、電話機能がないものの Wi-Fi 機能がついており、予想してなかった製品です。

「これは買いだな」と、すかさず社内のメーリングリストに一報を入れました。そしてすぐ、 Apple Store にアクセスして購入しようとしたのですが、真夜中だというのにアクセスが集中しているのか、まったく反応しなくなっていました。メールを書いていた分だけ出遅れてしまったようです。数回トライするも状況は変わらず、その夜はしぶしぶあきらめました。
翌朝、会社で[な]と新型 iPod の話で盛り上がり、Apple のサイトで改めて仕様を確認しました。一晩おいて冷静に仕様を読むと、iPhone に比べ、電話機能だけでなく、メール、スケジュールの登録、カメラなど、私にとって肝心な機能がいくつも削られていることに気付きました。[な]ともいろいろ相談した結果、「これは見送りだな」で一致しました。
それから数日後、やはり深夜に、仕事をしながら先日の Apple のイベントのときのスティーブ・ジョブズのキーノートスピーチのビデオ映像を流していました。その英語によるプレゼンテーションを聞き取れるわけではありませんが、プレゼンを見ているうちに、だんだん実物を触ってみたくなり......、

ポチッ!

ついに我慢できず、[な]を裏切って、Apple Store の購入ボタンを押してしまいました。
商品が届いたのはそれから数週間後。私が見送ったと信じ込んでいた[な]はもちろん驚きでした。私も「いや?、やっぱりこういう技術は早めに触れておくべきだし......」などと言い訳をしつつ、マルチタッチスクリーンの出来の良さに改めて驚嘆しました。
一通り機能を試し、不足している機能は Google カレンダーや Gmail などを経由して使えるように設定してみました。しかし、携帯やパソコンも持ち歩かざるを得ないことを考えると、おそらくモバイル端末としては使わないだろうと思います。ですが、こういう製品を見ると、改めて注力すべき方向を実感できます。こうした高機能の携帯端末が増えてくると、近い将来、学習教材や業務マニュアルなんかもモバイルを無視しては成り立たないだろうと、改めて痛感させられました。

もう一つ、私にはずっと欲しいと思っていたものがありました。デジタル一眼レフカメラです。こちらはデジタル一眼レフが発売された当初から気になっていましたので、かれこれ10年近く、ショップで手に取っては元に戻し、カタログだけ持ち帰るということを繰り返してきました。
デジカメ自体は、1994年ごろに Apple の QuickTake100 という、高価だけどたった8枚しか取れないデジカメを購入して以来、数台を購入しました。その QuickTake100 で大失敗したこともあるし、普段の用途としては高機能になった今あるデジカメで十分足りています。実際、欲しいと思っている私も、具体的に何に使うのか思い当たりませんでした。
それでも「欲しい」と思い続けてきたのですが、他のスタッフからは賛同が得られません。他にも必要なものはたくさんあるし、私も何度もムダな投資をしてきた自覚もあるため、用途がはっきりしない一眼レフを強気で押すことはできずにいました。
そうして数年が過ぎていったのですが、昨年、銀塩の一眼レフ使いである[ち]が中国から戻ってくることになりました。[ち]を味方につければ、今度こそ「必要だ。使う」とみんなを納得させることができます。
私は[ち]の帰国を待ちわび、会社に復帰して間もなく、満を持して[ち]にデジタル一眼レフの購入を相談してみました。すると......

「何に使うんですか? 特に必要ないんじゃないですか?」

これが決定打でした。実際に使っている人を味方につければという私の作戦はもろくも崩れさり、使っている人からの「不要」というお墨付きを引き出してしまったわけです。それからはまた、ショップで手に取っては戻し、カタログだけ持ち帰ること数回。10カ月近く我慢の日々を送ることになりました。

ところが、先日出張先である会合に参加したところ、これしかないと情報が飛び込んできました。テレビショッピングでおなじみの会社が、インターネットでのライブ放送をやっていて、数日後に一眼レフの特集をやるというのです。それも、インターネットのライブでは、かなりお買い得の価格になっているらしいという情報でした。
出張から戻るとさっそく近所の家電量販店に行き、価格をチェック。このあたりであればというのを2機種に絞り、またカタログだけ持ち帰ってきました。この2機種のどちらかが出て、店頭価格より安ければ買おうと固く決心しました。
ライブ放送は、3連休だった月曜日の夜でした。私は会社で仕事をしつつ、隣の席のパソコンを立ち上げて、インターネットのライブ放送が始まるのを待ちます。番組が始まったときはちょっとドキドキです。そしてついに商品の紹介。
「よし!」
候補に絞ったうちの1機種が当たりで、あとは価格です。「みんなに言い訳が立つ価格を出してくれよ」と祈っていたところ、「キター!」。

ポチッ!

私は迷わず購入ボタンを押しました。
購入したのは、EOS Kiss DEGTAL Xで、一眼レフでは人気の入門機です。それにしても、本体は最新機種だし、レンズ2本とメモリ1Gがついてこの価格は安い。
私は、この安さと長年欲しかったものを手に入れた満足感でいっぱいでしたが、仕事柄、感動してばかりはいられません。安くできる理由をあれこれ考えながら、仕事に戻るのを忘れ、もう用が済んだライブ放送をぼんやり眺めていました。
そのネットライブを放送していたのはジャパネットたかたです。普段テレビで見るときちんとスーツにネクタイを着ているMCの人も、その日は(インターネットでは)カジュアルな服装をしています。番組もアットホームな雰囲気で、アドリブを加えながら楽しい構成になっています。ちょっと興味を持って、ホームページのコメント欄に書き込んでみたところ、なんとすかさずそのコメントが読み上げられてしまいました。

う?ん、これはやられたな。
「地上波デジタル放送になったら」と言われているショッピングの形態が、インターネットのストリーミング放送で十分実現してしまっています。多くの商品は限定販売なので売上高はそれほどではないと思いますが、放送のコストは安いでしょうし、ターゲットを絞った展開も可能なようです。何より、一般のネット通販と違って、人を介して購入する安心感や親近感もあります。いつのまにか私は、一眼レフという商品より、このビジネスの形態のほうに興味を抱いてしまっていました。(これを知っただけでも、一眼レフを買って良かった、と自分に言い聞かせています)

さて、私にはもう1つ大きなハードルがありました。弊社では新しい機材や備品を購入すると、社内のメーリングリストへ[新着]情報を流すことになっています。しかし、今回は誰一人賛同者がいなかったデジタル一眼レフです。安かったからだけだと説得力がないので、適当な言い訳を考える必要がありました。
でも急ぎの仕事もあり、発注したのが月曜日の夜だったので商品が届くのは早くても木曜だろうと油断していたところ、水曜日の午前中に荷物が届いてしまいました。
しまった、まだ誰にも買ったことを言っていなかったのにー。恐るべし、ジャパネット!

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