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新人のころの思い出電話編


[の] 仕事・職場

新人のころ、私は妙に張り切ってました。世間知らずで恐いものなしで素朴でした。

私が配属されたのは企画課というところでした。本当は編集課に配属の予定だったようなのですが、当時企画課がとても忙しく、「ちょっと新人貸してくれない?」というわけで、とりあえず配属されたのです。そんなことを知ったのは数カ月も後のことでしたが......。
猫の手なので自分の机はありませんでした。でも同期の人たちは机が与えられたようなので、なんでかなー、いいなー、自分もいつか机ほしいなー、くらいに思ってました。
配属された部署では、課員たちは出払っていることが多く、紅一点のアルバイトのAさんが事務をやりくりしてました。私の最初の先輩です。
彼女の電話のとり方がとにかく早い。リ......とも鳴らないうちに出て、テキパキ応対します。他の課員(課長も含めて)も全員電話をとるのが早かったのですが、Aさんは断トツでした。「わぁ、すごいなぁ、電話ってのは早くとるもんなんだな」と思い、「私もとらなくちゃ!」と、ドキドキしながらその瞬間を待ちかまえていました。マナーの本では「ベルは2回以内に」なんていいますけど、鳴る前にAさんがとってしまうので、一瞬でもちゅうちょすると、もう出遅れるわけです。何も考えてはいけません。ハッとしては機会を逃し、ドキっとしては先を越されました。私は獲物を狙う猫のように全身緊張して身構えました。(他にやることもなかったし......)
そしてややもしたころ、やっとその瞬間がやってきました。
電話の赤いランプがつき、Aさんがちょっとよそ見をしているうちに、ええ?い、とひったくるように受話器をとったのです。どんな内容だったか忘れましたが、私は興奮して声がうわずってたように思います。Aさんが「あれ?」という顔でこちらを振り向いた、そのときの表情を覚えています。してやったり!です。

そのときから電話早とり競争が始まりました。赤ランプがつくかつかないかの0.0X 秒くらいの世界を競いあったように思います。他の課員もいるときは、この早とり競争に拍車がかかります。ライバルは多い方がゲームはおもしろいです。赤く光ったその瞬間、ガチャガチャガチャと電話をとる音が響き、またガチャガチャガチャと空しく電話を置く音が響きます。その中で勝者は1人、「はい、○○でございます」と何事もなかったような涼しげな顔で、意気揚々と名乗り出るのです。

今思えば、電話をかけた方はさぞ驚いたんじゃないかなぁ、とか、そもそもみんな仕事になってたのかなぁ、などという疑問もわきますが、これはこれで初々しい思い出の1つとなってます。

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