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待望の退院


[よ] 子育て

4月21日、1334グラムの未熟児で生まれ、はや半年を迎えようとした先日、わが家の長女「さくら」は、やっと退院することができました。産声をあげたのは桜が散ったころ、そして夏が過ぎ、季節はすでに秋を迎えていました。

通常早産で未熟児として生まれても、とくに問題がなければ本来の予定日ころには退院できます。(さくらの予定日は7月8日でした)病室内でも、未熟児で生まれた多くのお子さんが予定日前後には退院していきました。
しかし、さくらは生後しばらくして発症した肺の炎症が完治せず、「酸素チューブを鼻につけ酸素補給で呼吸の手助けをする」という治療をずっと行ってきたのですが、なかなか良くなりません。長い間治療を続けるうち、未熟児病棟の患者とは思えないほど大きく成長してしまいました。病室内のベッドのお子さんが小さいベッドのままで退院される中、さくらの体はどんどん大きくなり、併せてベッドもどんどん大きくなります。
そして、ただおっぱいを飲んで眠るだけの新生児期をすぎ、遊び時間が増えてきました。周りのお子さんはまだ小さくてベッドには何もないのに、さくらのベッド周りは、彼女の退屈さを紛らわすためにどんどんおもちゃが増えていき、上を見上げればメリーさんが回っている始末。
これは順調に成長している証拠なのに、その成長をわが家で見守れない切なさのほうが大きく、複雑な思いのまま、私は毎日面会に通いました。家で一緒に過ごすことができない、なかなか病状が良くならない現状に、ベッドのそばで泣いた日もありました。
また、大きくなると両親への甘えも出てきます。面会中はたっぷり触れ合えますが、それ以外の時間は看護師さんのお世話になります。どのスタッフもたっぷりの愛情を注いでくださるのですが、勤務は交代制。できればいつも同じ人(私たち両親)がそばにいるべきなのにそれもかないません。
最近では朝から夜まで時間の許す限り病院にいる生活でした。そして私たちの体力も限界に近づいていました。

そんなある日「肺の炎症はまだ完治していないけれど、自宅で治療(「在宅酸素療法」といいます)を続けましょう!」という話が医師からありました。
これまで、同じ病状で酸素チューブをつけたまま退院されるお子さんを何人か見てきたので、いつかはうちも、と思っていました。
まさに「待っていました!」です。

これまでの「おむつ交換」や「お風呂」「ダッコ」などのほかに、新たに「酸素チューブの管理」「朝晩の飲み薬と吸入薬」が私の担当に加わります。
最近指を動かすようになったさくらは、私たちが少し目を離したすきに顔の酸素チューブのテープをはぎ取り、チューブを無邪気になめています。
「う、それはあなたの生命線なのよ」と心の中でつぶやくのですが、そんなこと通じるはずなく、
「さくら→テープをはぐ」
「私→テープを貼る」
のイタチゴッコとなりました。
顔のあちこちにテープの跡ができ、せっかくのすべすべ肌もテープかぶれを起してしまいました。
私は「ごめんね」と謝るしかありません。

それでも今、一日中一緒にいられる幸せをかみしめています。
正常出産の場合より半年も遅れてしまいましたが、私たち3人の生活は始まったばかり。少々の失敗や落ち込みも「それでも命ある」という喜びに変え、笑顔で過ごしたいと思います。

また、病院のスタッフには大変お世話になりました。
さくらの世話だけでなく、私たちの体を心配してくれたり、精神的な支えになってくれました。若いスタッフからは若さと元気を、小さなお子さんを子育て中のスタッフからは、育児のヒントや悩み相談を、すでに子育てを終えられたスタッフからは貴重なアドバイスをいただきました。
暑い日も台風の日も、毎日元気に面会に行くことができたのは、いつも暖かい笑顔で迎えてくれたスタッフのおかげ、とても感謝しています。

待望の退院、うれしさのあまり、広告や裏紙、家にある小物でこんな飾り付けをしてしまいました。(以下写真)
私たちの愛情がたくさん伝わりますように、これからの生活が笑顔多いものでありますように、と祈りを込めて!

わーい
メリー
ばんざ?い!ついに退院しました。
現在身長58センチ、体重4800グラムです。

ようこそ、「さくら遊園地」へ(笑)
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