さて、上では5つの段階と書きましたが、活動の中身をみると「整理」「整頓」「清掃」までと、「清潔」「しつけ」とで性格が異なっているのがわかります。前の3つがきれいな状態をつくり上げていく活動で、後の2つはそれを維持するための活動となっています。
そのため、5Sといっても実態のある活動は整理、整頓、清掃まであり、3Sで十分だという考え方もあります。しかし「清潔」と「しつけ」は単に維持するだけの活動とはせず、レベルアップや最少労力で維持できるようにするための改善活動として位置づけることで、より体系的で効率よく、目的とする状態を実現することが可能となります。
5Sでは、最終的に「完全に管理された職場」をつくっていきます。しかし、環境も業務もどんどん変化するなかで、ベストな管理状態を一気につくり上げるのは簡単ではありません。やってみてはじめて気づく不具合や不便さもありますし、維持管理に手間がかかりすぎることもあります。
そこでまず一旦これがいいだろうと思えるきれいな状態をつくっておき、そこから改めて改善を積み重ねていくというステップを踏んでいきます。
その意味では、最初に進める「整理」「整頓」「清掃」までは5Sの助走段階であり、「清潔」と「しつけ」の段階にこそ、5Sの本当の価値があるといえるのかもしれません。
]]> それだけでなく、こうした位置づけの仕方は、管理者や推進チームのリーダーにパワーを与える効果があります。5Sの基準やルールつくりの過程ではいろいろ意見の対立がおきますが、やらないうちにはどの意見が正しいかのか結論が出ません。しかし、後からもう一度やり直す前提としておくと、ひと通り意見を述べたあとは管理者や推進リーダーに裁定を任せる雰囲気になりやすく、とにかく前進を促す効果が生まれます。ここでいう情報は文字情報に限りません。たとえば、職場の中から不要なものをすべて捨ててしまうと、職場の中にあるものはすべて「必要なモノ」という情報が与えられます。同じ性格のモノを同じ場所に集めて置くと、何も表示がなくてもそこには何置き場かという情報を発信するようになります。さらに種類別に色をつけると、同じ種類のモノが集まって置かれるようになりますし、台車置き場に台車の区分線が引くと、区分線が情報を発信し、誰が台車を持ち出しても同じ場所で同じ向きに戻されてるようになります。
あるいは、モノが乱雑に置かれてゴミやほこりにまみれた部屋に新たにゴミが落ちても誰も何も気にかけませんが、きれいに整頓され、チリひとつなくきれいに磨き上げられた床だと、小さなゴミが1つ落ちていればそこにそのゴミが落ちていることはおかしいという情報が発信され、誰かがすぐに気づいてそのゴミを拾い上げるようになります。
より詳細な情報を付与したほうがいいところには、文字による表示を行っていきます。文字情報自体は、情報量も少なく把握するのに時間がかかる情報ですが、細かく正確な情報を与えることができます。
5Sでは、こうして職場の隅々まで、1つひとつモノを点検し、情報を付与しながら正しい状態を作っていきます。それによって誰でも素早く正確な情報を把握して適切な判断行動ができるようにしていきます。
5S活動を通じた情報の整理は、非常に大きな利点があります。管理部門のスタッフが机上で考えた基準や分類が実態にそぐわず、使いづらいことが多いのに対し、5Sで完成する基準や分類、表記の仕方は、実際の活動や行動と踏まえて試行錯誤した財産であるため、業務や組織の改革や発展に大きく寄与る可能性を持っています。
モノに対してこういった管理をしていくのは、それ自体が目的ではありません。職場の中にはそれらのモノを使って仕事をする「人」がいます。この「人」が安全で、ムダなくスムーズに活動できるようにするために、モノの管理状態を徹底的に高めていくことが5S活動の目的といえます。
そのため、上述したモノの管理状態の要件の中には、使いやすさや便利さが考慮されている必要があります。ところが、使いやすいかどうか人によって異なります。ある人にとって使いやすい状態は、他の人にとっては不便な状態かもしれません。また、全員が自分にとっての使いやすさを追求すると、職場全体でみると多くのムダを抱えてしまうかもしれません。
いうまでもなく、ここでの人は職場メンバー全員をさしています。職場メンバーの中にはベテランもいれば入社間もない人もいます。担当業務の内容も違いますし、管理職と一般社員、あるいは非正規社員など地位や雇用形態の違いもあります。
モノの管理に関する基準やしくみは、こうしたいろいろな違いを考慮したうえで、職場全体として最も効率がよく、スムーズに活動できるようにつくっていきます。その検討の過程では、多くの摩擦や軋轢も生じますが、一方で職場全体の業務の種類や量が把握され、仕事や人の動きに対する洞察が進みます。
「完全に管理されている職場」をつくろうとモノの管理を徹底していくプロセスは、実は職場の業務そのものを細かく把握していくプロセスとなります。こうした知識の獲得は、適当にきれいなっていればいいという活動では得られません。5Sで目標とする管理レベルをより高く設定し、徹底して追求することで得られる副産物であり、これが5Sが大きな効果をもたらす要因だといえます。
ところが、少しきれいにしようと思ったら相当に面倒なことになりそうな場合があります。あるいは整理整頓がほぼ完了してすっきりした職場の中で、どうしても納まりきらないファイルが1本だけ残ってしまうような場合がありますが、それに何とか対策をしたところで作業性にはまったくプラスはありません。
もし費用対効果を重視するとしたら、どちらのケースも「手を付けずそのまま放置」と選択するのが適切な判断となりいますが、5Sの場合はいずれも「やる」ほうを選択します。
なぜなら、当面の利益にはならなくても、徹底してやりきったときにもっと大きな利益につながると考えられているからです。
5Sには、もう1つの側面があります。5Sに取り組めば一定の効果が得られますが、5Sだけでもたらされる効果はそれほど大きくはありません。せいぜい数パーセントの作業性が上がり、スペースにいくぶん余裕ができ、一時的に消耗品や部品のコストが少し減り、職場がきれいになる程度です。
ところが、5Sが一定レベルに達してくると、5S以外の活動で急に大きな成果が出るようになることがあります。たとえば、5Sに本格的に取り組む前から何かの改善活動をやっていて、いくぶんマンネリ気味で目立った成果もあがっていない状態だったものが、急に大きな改善効果が出始めるといった現象です。
5Sはそれ自体での効果は大きくはありませんが、他の何かの活動と組み合わさったとき、他の活動のほうで大きな効果があがるといった特徴があるようです。
こういった現象は、そこそこにきれいにする程度だと表れることはなく、どうも5Sを徹底してやりきるか、徹底するための工夫の過程で表れてくるようです。要因はいろいろ考えられますが、乱れに気づいたらすぐその場で是正する、どうしても納まらないファイルが残れば、根本からレイアウトをやり直す、問題を先送りしたり他のせいにしたりせずに自分たちでできる工夫を重ねるといった5Sの文化と関係しているのではないかと感じます。
大きく捉えると、5Sを徹底してやりきろうとする過程で、業務の基盤が整備され、組織の体質が一段上がるためではないかと思えます。
それでも多くの企業が5Sを重視し、力を入れて取り組んでいる点が、5Sの最大の特徴といえます。
5Sに取り組んでいる企業には、短期間での利益は算定できなくても「やって良かった」「効果がある」と実感できる部分が少なからずあるためです。その実感を利益という側面で捉えるなら、おそらく間接的な利益、複合的な利益、長期的な利益となるのだと思います。
この点が、5Sのような基礎的な活動をさして「最も戦略的な活動」とまでいわれる所以だと思えます。表面的な利益は漠然として算定しづらいけれども、広い範囲で捉えたり、長い目でみたりすれば、確実に利益につながる活動と位置づけるべきもののようです。
さて最後に、その間接的、複合的、長期的な利益はどんなものがあるかをあげておきます。
まず最初は、5Sとは何かということから考えてみたいと思います。5Sの定義自体はネット上でもたくさん紹介されています。サイトによって多少味つけは違うものの、共通部分を要約すると次のようになります。
整理 | 不要なものを捨てること |
---|---|
整頓 | 使いやすく並べて表示をすること |
清掃 | きれいに掃除をしながら、あわせて点検すること |
清潔 | きれいな状態を維持すること |
しつけ | きれいに使うように習慣づけること |
こうして定義を確認してみても、5Sでやることは特別なことではありません。どれもあたり前のことであり、どの企業もやっているはずのことです。
ところが、5Sを重視している企業は、わざわざ「5Sに取り組む」という表現を使います。5Sを意識していない企業では「整理整頓に取り組む」とか「清掃に取り組む」といった表現は用いません。
また、整理整頓や清掃はどの企業でもやっている何でもない活動ですが、5Sを重視している企業では5Sを重要な「経営管理手法」だと位置づけています。つまり、5Sに取り組んでいる企業では、ふつうに整理整頓や清掃をやってきれいにすることと5Sとでは、明らかな違いがあると認識しているわけです。
その違いは大きく捉えて次の3つがあります。
これらのうち一番本質的な違いは、整理整頓や清掃を徹底してやりあげることにあります。徹底してやると、それなりにきれいにしている状態とは違って、経営的に意味ある成果があると考えられてます。だからこそ、空いた時間で片手間にやるのでなく、時間と労力をかけて取り組むわけです。
しかし、徹底するのは簡単ではありません。そのため、きれいにする手順や維持する方法が研究され、ノウハウといえるレベルまで体系化されてきました。またノウハウという点では、きれいする過程と結果を経営成果につなげていくノウハウも存在しています。
整理 | 必要なものと不要なものを分け、不要なものを捨てること。 |
---|---|
整頓 | 必要なものがすぐに取り出せるように、置き場所、置き方を決め、表示を確実に行うこと。 |
清掃 | 掃除をして、ゴミ、汚れのないきれいな状態にすると同時に、細部まで点検すること。 |
清潔 | 整理・整頓・清掃を徹底して実行し、汚れのないきれいな状態を維持すること。 |
しつけ | 決められたことを決められたとおりに実行できるよう、習慣づけること |
この組織は、企業や事業所の規模やしくみによってアレンジが可能です。また、実際の組織の中に多数の委員会や会議体、あるいはサークル活動があるはずですので、新たに5S用の組織を作らず、何かの組織に兼ねさせることも可能です。以下はそのアレンジ例です。
さて、「5Sの組織を立ち上げる」とは、推進組織のメンバーを決め、初回の会合を開くことを意味します。5Sに本格的に取り組むことが承認された時点では、承認組織と事務局、および全体の組織図あたりまでが決まっているはずです。そこで、次に推進組織のメンバーを具体的に決めて、必要な検討を開始していきます。
会合は、会議形式でも構いませんが、2日間程度の研修を開催し、5Sに関する学習と共通事項や調整事項の検討も同時にやってしまうのが効率的かと思います。事務局は、その会合で推進組織のメンバーに説明すべき項目を決め、その資料を作成するところまでの準備を進めていきます。
以降の解説では、推進組織のことを「5S推進委員会」と表現していきます。また活動の単位となる活動組織のほうは、部署、部屋、ライン、改善サークルなどが位置づけられますが、以降では「各部署」と表現していきます。
]]> 以降の解説では、推進組織のことを「5S推進委員会」と表現していきます。また活動の単位となる活動組織のほうは、部署、部屋、ライン、改善サークルなどが位置づけられますが、以降では「各部署」と表現していきます。5S活動を開始するまでの準備は、洗い出していくと多岐にわたります。5Sの場合、それらの全てが準備できてないと活動が開始できないというものではなく、活動を開始してから順次揃えていけばいいものもたくさんあります。そこで、できるだけ早く活動に取りかかることを意識しますが、スムーズに活動を開始し、また混乱が生じない程度のことを準備するようにします。
一連の準備は、まず推進事務局を中心に進め、5Sの組織を立ち上げてから推進組織、各職場へと展開していきます。
組織 | 準備のゴール | 準備物 |
---|---|---|
推進事務局 | 5Sの組織を立ち上げる | 基本的な枠組みを具体化する 初年度の基本計画を作る 5Sの組織を立ち上げる 啓蒙方法を決め、啓蒙する |
推進組織 (5S推進委員会など) |
各職場での準備を開始する | 目的と推進方法を理解する 全社(全事業所)共通事項・調整事項を決める 対象エリア・管理エリアを決定する |
活動組織 (各部署やサークルなど) |
職場で活動を開始する | 活動に必要なツールを揃える 対象箇所の管理責任者を決める 部署の実施計画を作成する |
以降の記事で、それぞれをもう少し詳しく解説したいと思いますが、理解しやすくするために5S組織の立ち上げから触れていくことにします。
]]> 事務局にノウハウや権限がない場合は、とりあえず推進組織を立ち上げ、そこで全てを検討してもらうというケースも少なくありません。組織は、意思決定を行う承認機関と、事務局機能を担う組織が必要となります。
意思決定が必要となる事項は、年度の方針提示や活動評価といったことのほか、研修の実施、集中活動日の確保、固定資産の除去、備品の購入など多岐にわたるため、事業所単位のトップ機関を位置づけておく必要があります。事務局は、新たに設置することもありますが、特定の部署や衛生委員会などの既存の委員会が兼ねることもあります。
実際の活動単位にする組織(活動組織)は、部署単位、部屋単位、改善サークルの単位など、実情に応じて活動しやすい単位で構成します。承認機関の配下には、実行責任と調整機能を持った推進組織を設置します。推進組織は、活動組織のリーダーと事務局が参加した委員会組織となるイメージですが、活動組織を部署単位とした場合は、課長会議などがその機能を兼ねることになります。
5Sを進める過程では、大きなラックや高機能の清掃用具を購入するなど、高額の費用が発生することがあります。
しかし、初期段階では備品購入は最小限にし、まずは費用をかけずにできることに取り組むようにします。他の費用については、既存の予算の範囲か、あるいは内容の差し替えで対応できるものが多いはずだと思います。
活動時間について、空き時間や時間外で取り組むとしているところが多いですが、可能であれば所定の時間内で一斉に行う5S時間を確保することを推奨します。
]]>活動の初期段階で大きな備品購入を避けたほうがいいのは、失敗することが多いからです。たとえば「置き場所が足りない」という意見を受けて、まだ整理が進まないうちから大きなラックを購入すると、器の分だけ余分にモノを持つことになります。そのあげく使いづらいと言い出して、購入したラックが不用品になったという笑い話もあります。 ある程度活動が進んでくると、本当に何が必要で、どんなものが使いやすいかがわかってきますので、購入するのはそれからでも遅くはありません。
初期段階はお金を使わず、手を動かし、頭を使って取り組むことが肝心です。 ただし、テプラやペンキやエポキシなど、それがないと活動にならないものは購入するようにしてください。
]]>項目 | 内容・例 |
---|---|
目的と方針 | ・何のために5Sをやるのか ・どういう考え方でやるのか(特に優先順位を明確にする) |
想定期間 | ・5Sのステップごとの必要期間や期限 |
組織体制 | ・承認組織、推進組織、推進事務局 ・活動組織とリーダー(職制や改善サークルなど) |
予算 | ・教育予算、人件費(残業代) ・最低限の備品購入予算(テプラやデジタルカメラなど) ・廃棄予算、修繕費 など |
時間 | ・可能な限り、所定の時間内に5S時間を設ける |
5S活動は、その他のもろもろの活動やしくみの基礎工事と捉えるのが妥当かと思われますが、目的は、組織として落ち着きのいいものを掲げればいいと思います。
品質向上、コスト削減、顧客満足の向上、現場のムダ取りなどを掲げていることもあれば、人材育成としている場合もあります。
問題は方針です。ここでは、どの程度力を入れて取り組むのかをはっきりさせるのがポイントです。できれば活動開始後の一定期間は、本業の次に優先して取り組む活動くらいに位置づけておきたいものです。
期間は少し長めの想定が必要です。最近では、新たに5Sに取り組む場合、清掃が一定レベルに達するまでに3年程度を要することが多くなっています。
とは言え、最初から長い計画を作っても仕方ありませんので、「3年を想定しておき、2年で計画する」というのが妥当かと思います。
組織体制、予算、時間については、次の記事で解説します。
ここでは、これまで5Sが進んでこなかった理由が存在していることを確認することがねらいです。5Sが乱れている場合、業績優先の方針や人の意識の問題もかかわっていますが、ここでは人の問題ではなく物理的な阻害要因を並べるのがコツです。
項目 | 内容・例 |
---|---|
5Sの阻害要因 | ・要員数の推移(1人あたりの生産量) ・生産品目数の推移 ・生産体制や直体制の変化 など |
5Sが進まない理由や要因を乗り越えて5Sを進めていくには、それなりの体制をつくって進めていく必要があるということを幹部クラスが理解できれば、取りあえずこの段階はクリアとなります。
]]> 5Sは経営成果に直結する活動ではありません。そのためか、5Sの重要性を認識できていない経営者や部門のトップは、業績を上げるために頑張ろうと考えているときに「5Sから」と言われると、足踏みをさせられてしまう感覚になることがあるようです。仮に事故が発生したのなら対策をすればいいし、品質やコストで問題があるのなら改善をすればいいわけです。それを「5Sができてないから」と言われると、言い訳をされているように感じてしまい、逆にもっと即効性のあることを求めてしまうこともあります。ここでは、いろいろなデータや発生した問題の分析結果を提示し、5Sとの関連を確認していきます。
項目 | 内容・例 |
---|---|
各種のデータ | ○主な管理指標のデータの数年間の推移 ○事故や品質などのトラブルの発生件数 |
問題の分析結果 | ○トラブルの原因分析の一覧 (5Sが「共通要因」であることを示すもの) |
有効なデータは2種類あります。1つは生産性、コスト、効率、スピードなど主な管理指標のデータで、数年間の推移がわかるとベターです。こちらは上がったり下がったりしていると思いますが、細かく見ると経営のちょっとした動きと連動して変化している場合があります。たとえば人員を削減したあと、品種が増えたあと、設備やプロセスを変更したあとなどに何かの指標が下がっていることがあります。これらは、5Sに代表されるような管理レベルの低さが影響している可能性を示しています。
もう1つは、事故や品質などのトラブルの発生件数に関するデータです。こちらはとにかく現状を確認することが目的ですが、そこで発生している非効率の程度によって、5Sという根本的な活動からやり直す効果が期待できるかどうかの判断材料になります。
問題の分析結果とは、発生したトラブルの原因が何だったかの分析です。事故や品質トラブルは、5Sのレベルが直接原因となっていることは多くはないと思いますが、間接的な要因まで広げていくと5Sの状況が遠因となっていることがよくあります。そのため、複数のトラブルの原因分析を並べてみると、5Sのレベルの低さが「共通要因」として確認でき、5Sに取り組まないとトラブルが無くならないという論理が成り立ちやすくなります。
ここでは、乱れた箇所、汚い場所の写真を撮りまくって見せることが近道です。
項目 | 内容・例 |
---|---|
現状写真 | ○自社の乱れた箇所、汚い場所の写真 ○比較対象として、他社・他事業所の好事例の写真 |
5Sができていないと言われる事業所でも、トップがよく通る場所、目に触れる場所、あるいはトップがたまに来るときには、それなりにきれいにしています。ところが、しくみで5Sに取り組んでないところは、トップの部屋や通り道から離れるにつれて乱れがひどくなってきますし、隠れたところ、目に留まらないところにはたくさんの不具合箇所が隠れています。そういうところの写真を撮りまくり、事業所のなかに5Sという観点でたくさん不具合があることを確認することが効果的です。トップの逆鱗に触れたとしても、しかられるのは1回だけですから、思い切って問題を表に出してしまいましょう。
できれば、5Sに取り組んでいる会社や事業所と比較すると、自社がいかにひどいかが一目瞭然となります。見学可能なところがあれば、ダメ元で視察を申し入れてみるのも近道です。
さて、「3.小手先ではレベルアップができないことを確認すること」は次の記事で記述します。
準備活動 | 内容 |
---|---|
5S活動について組織としての承認を得る | ○組織で問題意識を共有する ○5S活動の基本的な枠組みの承認を得る |
現場で開始するための準備をする | ○5S活動をスムーズに開始するための準備 ○先々で5S活動の停滞を予防するための準備 |
以降では、上記の具体的な内容について解説していきます。
ただし、前段階の「組織としての承認」とその後の「現場で開始するための準備」で、項目が重複するものが出てきますが、「組織としての承認」のところで概要を解説し、「現場で開始するための準備」のところで具体的に解説するという流れにしています。
少しでも有益な情報を提供していきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
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